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26年夏も高温予報――【義務化】余波で職場の熱中症対策製品に早くも品薄の兆し

投稿日時
2026/04/09 13:09
更新日時
2026/04/09 13:29

25年の「過去最高に暑い夏」を教訓に対策急げ

統計の残る125年間で最も暑かった昨年の夏。列島が熱波に包まれるなか、法改正で職場の熱中症対策の強化が事業者に義務付けられたことに伴い、夏物商材の需要が爆発した。夏真っ盛りに暑気対策商品が品薄になった事態を教訓に、今年の夏商戦は早くも活気づいている。夏の気温が全国で「高い」と見込まれる中、早めの対策が求められる。

この時期になると、悪い意味で記録づくめだった昨年の夏を思い出す。夏の平均気温は平年(30年平均)と比べ2.36℃も高く、3年連続で観測史上1位に。過去最多の全国のべ30地点で40℃超えを観測し、群馬県伊勢崎市では8月に日本記録となる41.8℃がマークされた。熱中症患者も大幅に増加。59月の全国の熱中症による救急搬送者数は10510人と初めて10万人を上回り、特に梅雨明けが早かった影響から、6月だけで17229人が全国で救急搬送されている。

ここから得られる教訓は、対策が後手に回ると甚大な被害が出るということだ。昨年61日には職場の熱中症対策に関する労働安全衛生規則の一部を改正する省令が施行され、職場の熱中症対策の強化が事業者に罰則つきで義務づけられた。課される義務は体制整備と手順作成、関係者への周知だが、関連して夏物商材の駆け込み需要が多発したことで、昨夏は全国的に暑熱対策製品が品薄に。メーカーの生産が追いつかず、対策を実施しようにも必要なツールがなかなか手に入らない状況が全国的に頻発していた。日新被服の桑田充啓営業部部長は「昨年は6月頭に空調空冷服の在庫が底をついた。例年にない早さだった」と振り返る。

現在は異常気象の最中にあることに留意しなければならない。昨今の夏は早々に始まったかと思えば、とことんまでしぶとく居座る傾向がある。気象庁は「近年の猛暑事例のいくつかは、地球温暖化による気温の底上げがなければ起こり得なかった事象」だと見解を示した。今後も人体に危険を及ぼすレベルの暑さが、程度の差こそあれ日本を襲うと身構えておくべきだろう。製造現場の暑さ対策は福利厚生から「遵守すべきコンプライアンス」へとフェーズが移りつつあり、未対策の現場には働き手も集まりにくい。今年も早期の対策が強く望まれる。

■夏の気温は全国で「高い」

今年の夏はどのくらい暑いのだろうか。気象庁は2月発表の暖候期予報で、今夏(6~8月)の天候を「暖かい空気に覆われやすいため、夏の気温は全国的に高いでしょう」と見通した。北・東・西日本および沖縄・奄美すべての地域で、気温が高くなる確率が50%以上と見込まれている。上空の偏西風が日本付近で平年よりやや北を流れ、太平洋高気圧とチベット高気圧が日本付近に張り出す予報だ。梅雨明けもやや早い可能性があり、今年の夏もまた長く厳しい暑さを覚悟しておくべきだろう。

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暑さの片鱗はすでに現れつつある。気象庁は46日に「高温に関する早期天候情報」を発表し、関東甲信~沖縄・奄美までの幅広い地域で4月中旬から下旬にかけ気温が平年よりかなり高くなる可能性があるとした。早期天候情報はその時期としては10年に1度程度しか起きないような著しい高温や低温、降雪量となる可能性が、いつもより高まっているときに注意を呼びかけるものだ。

これに呼応するように、本紙のヒアリングでも夏商戦はすでに本格化の様相を見せはじめている。暑気対策製品を扱うメーカーは「今年は夏物商材の動き出しが早い」と異口同音に言う。いざ夏本番を迎えたときに、何も対策できていない事態だけは避けるべきだろう。「即行動」で現場を今夏の暑さから守りたい。






明日から導入即効」暑さ対策


2026年の夏もまた猛暑が見込まれる。思い出すのは昨夏、法改正の影響で夏物商戦の品切れが続出したことだ。今年も夏商戦の出足は早く、「予算があってもモノがない」事態を避けるべく早めの対策が望まれる。そこでここでは、即効性の高い暑熱対策製品を中心に紹介する。




ナカトミ、低GWPスポットクーラーを一挙24機種に

除湿機・送風機にも新製品投入


昨年の熱中症対策の義務化(罰則付き)を受け、職場環境の改善が急務となっている。前シーズンでは業界全体で夏物商材が品薄に。その余波で今期の夏商戦は例年より1カ月以上早く始まり、すでに本格化の様相を呈してきた。

ナカトミは環境負荷の低い冷媒「R32」を採用したスポットクーラー「プレミアムシリーズ」を強化。今夏、新たに12アイテムを追加し、合計24アイテムへと大幅に拡充した。

目玉は業界でも珍しい「4ダクトスポットクーラー」(SPC-88、三相200V)だ。従来の最大3口から4口へダクトを増やし、冷房能力も8.8㌔ワット(60Hz)へと引き上げた。1台でより広範囲かつ複数の作業スポットへ効率的に冷風を届けられる。延長ダクトを併用すれば、さらに広いエリアに風を送ることが可能だ。他にも大風量、ドレンレス、強冷却など様々な機種を用意し、現場に適した1台を提案する。

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4ダクトスポットクーラー「SPC-88

■管理の手間を省く除湿機も

熱中症対策において、見落としがちなのが湿度管理だ。湿度が高いと汗が気化しにくくなり、リスクが急増する。ナカトミは今夏、除湿機のラインナップにノンフロン仕様の「NDM-18C」を追加した。新冷媒「R1234yf」を採用しておりフロン排出抑制法の対象外だ。専門業者による簡易点検やガス回収の義務がなくなるため、導入後の管理コストと手間を大きく減らせる。

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ノンフロン型除湿機「NDM-18C」は5%刻みの湿度管理が可能

除湿機は結露対策にも有効だ。特に昨今はゲリラ豪雨で湿度が急変しやすい。空調を使う現場も増えているが、空調エリアとの境目は温度差が激しく結露が発生しやすい。除湿機で湿度を管理することで、熱中症対策だけでなく在庫のサビやカビも防げる。

冷気を効率的に循環させ、空調効率を高める送風機では、5月発売のキャビネットファン「CABF-550Z」が注目される。最大の特徴は前面吸気・前面吐き出し構造により、壁面にピタッと密着設置できること。現場のデッドスペースを有効活用しつつ、自動スイング機能により最大16㍍先まで直進性の高い風を届ける。羽根がキャビネット内に収まっているため巻き込み事故の危険も少なく、安全性と省スペース性を両立させた。

同社によれば今年の夏商戦は昨年の法改正の影響もあり動き出しがかなり早いという。現場も早めの対策を打ちたい。




丸山製作所、作業現場・工場・倉庫で使える本格ミスト


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夏本番を前に、丸山製作所はミスト発生装置による暑熱対策を提案している。同装置はポンプで生み出した微細な霧が蒸発する際の気化熱で周囲の温度を下げる、環境負荷の低い暑熱対策だ。冷房効率が上がりにくい大空間や半屋外など、開放的な空間でも涼感を提供できる利点がある。漂う水霧は視覚的にも涼やかで、潤いによる癒し効果も期待できる。加湿効果による防塵・静電気抑制など、現場の作業環境改善にも寄与する。

微細なミストを手軽に演出できるエントリーモデルの「MUM602-1」に加え、同社はパワフルかつ100V稼働の「MUM0704DX」を投入した。さらに、内蔵タンクやタイマー制御機能を備えたプロモデルの「霧爽園シリーズ」も展開する。

同社は「豊富なミストアクセサリーを用意しており、導入先に合った選定を全国ネットワークの丸山製作所スタッフがアドバイスする」とする。




パレス、間仕切りで大空間も省エネ冷却


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工場や倉庫は天井が高く空間が広いため、空調が効きにくい。熱が屋内に伝わりやすいスレート屋根だとなおのことだ。こうした環境で全体空調を導入すると夏場の消費電力が嵩みやすい。そこで間仕切りメーカーのパレスは工場内にブースを設置して空調効率を高める「ファクトリーブース」を暑熱対策として提案している。   

ブースは天井付きで自立するため、内部空間を快適に保つことが可能に。同社は「要望に応じた快適空間(床・壁・天井)をワンストップで提案し、責任施工まで対応する」とする。




鎌倉製作所、夏場のフォークリフト運転を快適に

深部体温を確実に冷却、産業医大で効果実証


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記録的な猛暑が続く中、エンジン排熱やアスファルトの照り返しに晒されるフォークリフトの作業環境は過酷になりやすい。鎌倉製作所はフォークリフト運転者の体を効率的に冷やすフォークリフト用クーラー「COOLEX-Vシリーズ」を展開している。チラーで冷やした水を座席に設置する冷却シートに循環する仕組みで、血液量が多く熱がこもりやすい背中、尻、太もも裏をダイレクトに冷やすことで、効率的な体温調節をサポート。産業医科大学との評価試験でも、直腸温や食道温といった深部体温の上昇抑制や発汗量の有意な減少が確認されたという。

COOLEX-Vの特徴はフォークリフトの特性に合致していることだ。従来の送風機型は走行時に冷却効果が下がるが、同システムの場合は座面に冷水が巡るため走行時の風の影響を受けない。さらに振動対策を施したフォークリフト専用チラーにより、リフトの激しい揺れにも耐える。45℃での環境下でも約10℃の冷水を安定供給することが可能だ。

防塵・防水の高機能タイプから汎用タイプまで、現場のニーズに応じたラインナップを揃える。昨夏は需要が爆発、6月時点で一部製品が完売する事態となった。今季もチラー在庫がなくなり次第、販売終了となる見込みだ。同社は現場で冷却効果を試せる1週間トライアルの無料キャンペーン(2026年5月末まで)を実施しており、「検討中のお客様は早めに相談を」と呼びかける。




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空調空冷服商戦が早期本格化


【インタビュー】スイデン 取締役 川合 雄一 氏 




(日本物流新聞2026年4月10日号掲載)