脱炭素実現へのストローク

温室効果ガス排出量の大幅削減を国際的に求められる中で、脱炭素社会実現への多種様々な取組みが推進されている。日本は2050年のカーボンニュートラル実現とともに、30年度の排出量を13年度比で46%削減を目指す。家庭部門では66%の削減を目標としている。

省・創・蓄エネが生み出す暮らし

加えて昨年からのエネルギー資源の高騰という状況下では、部門問わず省・創・蓄エネルギーへの意識が一層高まった。また、近年の災害激甚化や予測できないインフラの断絶により、家庭単位でも創・蓄エネに対する注目が集まっている。

環境省と国立環境研究所による2020年度の温室効果ガス排出量の調査で、電気・熱配分後排出量について家庭部門では、CO2排出量は1億6600万t(前年度比720万t〈4.5%〉増、13年度比4110万t〈19.8%〉減)となった。

前年度からの増加要因は「新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で在宅時間が増加したことによる、電力等のエネルギー消費量の増加等」、13年度からの減少要因は「電力のCO2排出原単位が改善したこと、省エネの進展等によりエネルギー消費原単位(世帯当たりのエネルギー消費量)が改善しエネルギー消費量が減少したこと等」としている。省エネ機器普及による排出量削減効果が、エネルギー消費量による増加を上回り、省エネ機器導入による温室効果ガス排出量の低減効果を表した。

同調査の二酸化炭素排出量の主体別の内訳では家計関連が全体の21.7%で、うち冷暖房・給湯、家電の使用等が15.9%、家庭の自家用車が5.0%を占める。

なお、国立環境研究所の調査では、1世帯あたりの二酸化炭素排出量は約3900kg-CO2/世帯で、その内訳は照明・家電製品などからが32.4%、自動車からが22.7%、暖房からが15.9%、給湯からが15.0%となっている。これらの項目製品を取り扱う企業では、温室効果ガス削減目標に寄与する省エネ対応がビジネス上の重要な課題だ。

地方に向けては、環境省が21年に「地域脱炭素ロードマップ」を掲げた。地域課題を解決し地方創生に貢献する脱炭素に対し、30年までに集中して行う取組みや施策を取りまとめ、地域戦略ともなる地域脱炭素の行程と具体策を示した。

「自家消費型太陽光や、省エネ住宅などを全国で実行し、30年までに少なくとも脱炭素先行地域を100か所以上創出する」(同省)。

脱炭素の基盤構築に向けて地方自治体・事業者が何をすべきか、できるのかすべての地域に対して重点対策として、「屋根置きなど自家消費型の太陽光発電」「住宅・建築物の省エネ性能等の向上」「資源循環の高度化を通じた循環経済への移行」などを示した。

脱炭素先行地域づくりと重点対策の全国実施を後押しするため「地域の実施体制構築と国の積極支援」「グリーン×デジタルによるライフスタイルイノベーション」「社会全体を脱炭素に向けるルールのイノベーション」といった3つの基盤的な施策を行う。

カーボンニュートラル実現のために、家庭や地域単位からも脱炭素に向けて動きを加速させていく。

(日本物流新聞 2023年3月25日号掲載)

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