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MECT2025【メカトロテック2025】開幕

投稿日時
2025/10/15 09:13
更新日時
2025/10/15 10:51

過去最多524社・団体で開幕へ
ポートメッセなごや全館使い4日間

2年に一度の工作機械見本市「メカトロテックジャパン(MECT)2025」(ニュースダイジェスト社主催)が10月22〜25日の4日間、名古屋市港区のポートメッセなごやで開催される。今年国内で開かれる同分野の見本市としては最大規模。出展者数は前回より32多い524社・団体と2回続けて最多を更新。前回同等の7万5千人の来場を目指す。


MECTは西暦奇数年に開催される工作機械を中心とするFA技術専門展だ。国内では偶数年開催のJIMTOF(日本国際工作機械見本市、会場は東京ビッグサイト)に次ぐ規模。1987年にスタートし、今回で通算20回目の節目を迎える。

今回のテーマは「この発見、激アツ」。出展者は過去最多だが、小間数は2092と過去2番目で、前回より11少ない。ただし近年は、改装した新第1展示館を含む全館を用いてほぼ満杯状態にあり、「出展者ブース間に設ける必要のある通路の関係で若干減った」(主催者)にすぎない。

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となると出展者に変化がなさそうに思えるが、ちゃんと「新陳代謝」もしている。出展者524社・団体の2割弱を占める実に84社が初出展となる。加えて第1展示館には「中小・スタートアップゾーン」を新設し、10社が出展。プレゼンコーナーを設け、毎日この10社が約10分間の発表をする。会場内に展示される工作機械および鍛圧機械(プレス系および板金系機械)は大小含め281台、新製品(1年以内に発表されたもの)は554点が披露される。国際色も豊かで、世界27カ国・地域から製品が一堂に集まる(2025年9月18日現在)。

■好評の加工実演、今年は「医療」

毎回、注目度の高い催しとなっているのはコンセプトゾーン(主催者企画展示)だ。世界最先端の技術を実演するもので、今回は「医療を支える加工術——異業種に学ぶ成功のヒント——」をテーマに3社が加工実演を披露する。「驚きのスゴ技を持つ企業の加工実演を通じて、技術ニーズに応えるためのヒントを提示するとともに、これからの加工の可能性に迫る」と言う。

また主催者企画のセミナーではトヨタ自動車やマツダ、ボーイング、インターステラテクノロジズ、日立製作所、HILLTOPと各分野に精通した6人の講師が「自動車」「航空機」「先進工場」をテーマにモノづくりの最先端事例と将来像について講演する。

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5月に社長に就任して初めてのMECT開催を迎えるニュースダイジェスト社の八角秀氏は「中部地域で40年近く開いてきたこの展示会は、工作機械業界にとっても大切な財産になる。我々にできることは多くはないが、関係者の期待に応えられるよう主催者としてとことん突き詰めていきたい」と意気込む。

■新製品ラッシュ

どのような提案が見られるのか。やはり国内初披露の工作機械は見どころになるだろう。

複数の新製品を持ち込むヤマザキマザックは複合加工機「INTEGREX i-250NEO」を披露。『NEO』が付く機械の特長は「高生産性・高精度・環境対応の3本柱」で、同機はミル主軸の形状が見直され切粉が堆積しづらい仕様に。クーラントの吐出量を見直し、主軸冷却回路の最適化で熱変位対策も強化した。新たな2タレット2スピンドル旋盤「QRX-50MSYSG」は従来機種(HQR)より15%サイズが小さく省スペースだ。

省スペース、という点に着目した国内初披露の2タレット2スピンドル複合旋盤「NT-Flex+」を中村留精密工業が出す。「NT-Flex」のR主軸にX軸、下タレットにY軸を追加し重畳加工など複雑な加工パターンに対応しつつ、奥行1380ミリのコンパクトなサイズは維持。複合加工に特化した新たな対話プログラムソフト「Protona」も搭載する。ニデックオーケーケーが10月に発売したばかりの立形マシニングセンタ(MC)「VN5」は、従来機VM53RⅡと比べ設置面積を24%削減した。

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新製品の投入スパンが早い中村留精密工業は複数の新製品・技術を見せる

太陽工機の新たな立形研削盤「Vertical Mate 55 2nd Generation」は砥石軸スピンドルが従来比23%の出力アップ、96%のトルクアップと性能向上が目覚ましい。放電分野では西部電機が油仕様のワイヤ放電加工機「M35LP」(今年11月発売)を持ち込む。従来機をベースに精度と剛性と軸移動量を強化し、直径250㍉を超える大径真円加工にも対応できる機械だ。

ロボットによる新たな複合加工システム「ロボットマルチプロセッシング」をこの分野で先行するトライエンジニアリングが披露する。ロボットがワークを把持したまま穴あけ、面削、研磨、計測まで1台で担うといい、会場でも注目を集めるだろう。

周辺機器の新製品にも着目したい。津田駒工業は大型ワークを意識し、最大で直径800ミリのワークを振り回せるNC傾斜円テーブル「メガワーク加工モデル」を参考出展。ミツトヨが9月に発売したスマートビジョンシステム「QM-Fit」は、ラフにワークを置くだけで登録した設定手順が自動で実行され素早く測定できる。熟練技術者の不足へ有効だ。

■MECTも自動化旋風

9月にドイツ・ハノーバーで開かれたEMO2025でも自動化は最も会場を席巻したトレンドだった。製造業の人手不足は世界共通の課題でメーカーもこの領域の提案に力を注ぐ。MECTでもその進化が見られるだろう。

ソディックは9月に発表した最大18キロの電極・ワークを自動で交換する装置「SZ25」を出品。実用可搬重量9キロだった従来機より扱えるワークが大幅に広がるが機体はコンパクトに。会場では新型スケジューラーによる自動運転を見せる。

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ソディックは「SZ25」と放電加工機を連携させ電極・ワークを交換

DMG森精機が新たに開発した「MATRIS WPH」は、1つのシステムでパレットとワークの直接ハンドリングを両立した自動化システムだ。その特性上、変種変量生産に強く柔軟。会場では5軸MC「DMU 50 3rd Generation」と接続する。

自動化が難しいとされてきた円筒研削。ジェイテクトは松本機械工業とコラボしこの分野の自動化に挑む。松本機械工業のケレー自動交換システムと円筒研削盤「G1P50G」を組み合わせ、多品種の自動研削や週末夜間の無人運転を可能にするコンセプトだ。

自動化と非熟練化の双方に対応する正面型ターニングセンタ「MD100」を村田機械が参考展示する。ローダーで工具を自動交換し、ローダーの操作もワーク径や全長を入力して教示開始ボタンを押すだけの3ステップ。

自動化の敵は機械の停止要因となり得る切粉。オークマはこの点を意識した横形MC「MS-320H」を出す。テーブルが“横から生えた”ユニークな機構で切粉が真下に落下しトラブルを防ぐ。

このように工作機械の自動化は選択肢がいっそう充実。製品もプレイヤーも顔ぶれが多彩になってきた。スター精機はこの分野へ新たに進出。同社は射出成形機の取り出しロボットが主力で、近年は直交ロボット技術を軸に物流業界向けパレタイザーなどへ事業を拡大している。MECTではガントリーローダー「SGLW-807W」を披露する。

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(日本物流新聞2025年10月10日号掲載)