最新コンプレッサ・周辺機器特集
- 投稿日時
- 2021/10/22 09:58
- 更新日時
- 2021/10/22 10:07
世界を変える、モノづくりを変える空気のチカラ
モノづくりの鼓動を生む心臓部とも言える「コンプレッサ」。世界レベルでも市場規模は拡大の一途を辿っており、特にアジア圏を中心に今後も伸長が期待されている。また従来のコンプレッサには稼働率の高さや耐久性が求められてきたが、昨今は省エネや環境への対応など、ユーザーニーズが変化しつつあるようだ。
市場調査及びコンサルティングを行うモルドール・インテリジェンスによると、世界の産業用エアコンプレッサ市場は、2019年に140億4000万米ドル(約1兆6000億円=1ドル114円換算)に達した。同市場は2020年から2023年にかけて3.33%のCAGR(年平均成長率)で成長する見通しで、2025年には約170億ドル(1兆9300億円)に達すると予測されている。
産業用コンプレッサは、石油やガスといったエネルギー関連から建設・鉱業、一般製造業、さらには医療分野まで幅広い分野で活用されており、特に近年はアジア圏を中心に需要が拡大している。一方で、EUをはじめとした欧米諸国ではCO2排出量の削減をはじめとした様々な環境規制が可決されており、今後メーカー各社は、エアの供給能力や耐久性・信頼性に加えて、環境性能や省エネ性能を含めた機種開発、ソリューション提案がシェア獲得の鍵となると見られている。
こうした中、半導体、食品、医療など油分を含まないエアを必要とする需要業種の伸長を背景に、オイルフリータイプのコンプレッサのニーズが高まっている。
いまから約40年前の1982年、各メーカーに先んじて水潤滑方式のオイルフリーコンプレッサを開発、市場投入したのが三井精機工業だ。独自構造の「Z-Screw」は絶妙な圧力バランスによりベアリングに余計な負荷をかけない。さらに潤滑媒体の水が圧縮室内の隙間をシールすることで圧縮空気の漏れを防ぐ。これにより低速回転でも充分なエア吐出量を実現。また潤滑水の冷却効果によって圧縮時の温度上昇を抑制し、耐久性にも優れる。
同社の最新機種「i-14000AX-R」は従来機種比で、吐出空気量5%増大を実現。工作機械メーカーならではの最新技術によって加工されたSUSロータが高耐久性かつ高効率で高品質なエアを生み出す。
IHIの水潤滑式オイルフリースクリューコンプレッサ「GPシリーズ」は、ドライヤーの除湿時に発生する純粋に近いドレンをコンプレッサ内部に戻し、循環水として活用する。運転しながら純水を供給することで、水に関わる維持管理の手間を最小限に留めた。またセラミック樹脂コンポジットローターの採用により、高い圧縮効率を長期間維持する。
IHI「GPシリーズ」
ローコストでの運用を実現
明治機械製作所のオイルフリーコンプレッサ「DPFMシリーズ」は、空気圧縮機の使用状況を監視し、最適な停止圧力に自動制御を行う事で省エネに繋げる。内部は断熱材を成形し熱を伝えにくくしたヒートカットピストンピンの採用で、ニードルベアリングの温度上昇を抑制。バルブシートをオールステンレス化し、錆によるトラブルを低減したほか、ピストンリングを新樹脂製にし耐磨耗性をアップした。このことによりオーバーホールは1万時間と省メンテナンスを実現。500時間前になるとメンテナンス警報ランプが点灯し知らせる。
明治機械製作所「DPFM」シリーズ
屋外設置タイプに強みを持つ北越工業はSMAD、SAD、SWDシリーズと幅広いオイルフリーコンプレッサを展開。独自のACCS制御が省エネに大きく貢献する。またすべてのオイルフリータイプの機種は圧縮空気の品質供給においてもっとも清浄度の高い「クラス0」レベル認証を受けている。
日立産機システムはオイルフリーコンプレッサにスクリュー・スクロールの両圧縮方式と、オイルフリー/給油式ともに小型から大型まで豊富なラインアップを揃える。また稼動状態を可視化するクラウド監視サービス「Fitlive」を用意。状態監視によりユーザーの設備環境の問題を抽出し、メールによる警報を自動送信することで設備のダウンタイム短縮を図る。