最新CAD/CAMが導く劇的「生産性向上」
- 投稿日時
- 2022/07/25 13:28
- 更新日時
- 2022/07/25 13:41
モノづくり「設計革命」
近年、3DCAD/CAMによる設計が急速に拡大している。加工データの3D作成は、加工時のミスやロス、サイクルタイムの低減など生産性をより向上させられる。加えて作成した3Dデータはさまざまな部門で利活用することで、業務効率化や製品開発全体の改善、さらにはトレーサビリティや需要予測まで、多くの付加価値を導入企業にもたらしている。
モノづくりにおける付加価値向上に欠かせない設計工程において、大きな役割を果たすCAD/CAM。その国内市場動向を見てみると、ゆるやかながら右肩上がりの成長曲線を描いている。矢野経済研究所がまとめた市場調査を見ると、国内におけるCAD/CAMシステム市場は毎年5~10%の成長を続けており、2019年度には3911億円を記録。コロナ禍により20年度は3865億円と若干落ち込んだものの、21年度はコロナ以前の2019年(3785億円)を上回る結果となった。
また、ものづくり補助金や事業再構築補助金といった手厚い施策の後押しを受け、2021年の工作機械受注実績は2018年以来3年ぶりとなる1兆5413億円。内需も前年比57.3%増の5104億円を記録した。
「機械が売れればCADも売れる」という方程式通り、矢野経済による2021年度の国内CAD市場規模は初の4000億円台突破を予測している。しかし、様々なソフトメーカー、ベンダーの声を総合すると、もはや4000億円台突破は確実で、どこまで数字を伸ばすかが焦点となっている。
ここで注目すべきは2020年の市場規模だ。工作機械受注が1兆円を割り込む中、国内CAD市場は実質1・2%しか落ち込んでいない。このことからも、ものづくりにおいて設計ソフトへのリソース投入がトレンド化しつつあることが窺い知れる。
特に昨今では3DCAD/CAMの導入が急速に進められている。その背景にあるのは5軸加工機の普及だ。5軸機は、加工物または工具を回転させたり、傾けたりできるため、取り付け面を除けば一度のチャッキングで多面加工が行える。そのため、高精度を維持し、段取り替えの時間を大幅に削減できるなど、大幅な生産性向上が見込める。
こうした5軸機の導入は企業にとって大きな投資であり、それを最大限に活用できるのが3DCAD/CAMである。とあるソフトベンダー営業マンは「コロナ禍においても3DCADのニーズは旺盛だった。5軸機を持っていない現場からも設計を3D化し、5軸導入に備えたいという引き合いも多々あった」と語る。
■オンラインを活用で知識を習得
これまで日本のモノづくり現場において主流だった2DCADは、名前の通り縦横で構成される設計図をパソコン上で作成するもので、基本的な設計思想は手書きの製図と変わらない。
人材育成が3DCAD導入のカギを握っている
一方、3DCADは、2DCADの延長線上にあるソフトではないので、2Dの扱いに慣れているベテランでも3Dモデルを作成するにはそれなりの知識を習得しなければならない。モノづくりのデジタル化が叫ばれ、3Dデータが主流になるのは明白でありながら、いまだに2Dでの設計から一歩先に進めないのは、3DCADを使いこなせる人材育成がままならないケースが多いという声もよく聞く。
だが、コロナ禍によってもたらされたオンラインの有効活用が、3DCAD人材育成に一役買っている。Mastercamのトップベンダーでもあるジェービーエムエンジニアリングは、初心者を対象としたWEBトレーニングを開催。仕事の合間や自宅など時間や場所を選ばずに学習できるようにしている。
Mastercamによる3D設計イメージ
「当社のMastercam技術サポートにご加入いただいているお客様は無料で参加できます。動画の受講ですので、巻き戻しや早送りが可能なため、お客様の好きなペースで学習できます」(同社)
同様の取り組みはhyperMILLを扱うAiソリューションズも行っている。同社では、hyperMILL初期講習会の内容を動画にまとめ、オンラインで視聴できるトレーニングビデオを配信。「新たにCAD/CAMをはじめる方の自習ツールとして、また操作の復習ツールとして活用頂いています。この6月からは5軸機能を勉強できる中級コースも追加しています」(同社)
これからのモノづくりにおける競争力の源泉となる「デジタル化」。その推進への第一歩となるのがCAD/CAMデータの3D化である。DXの推進やGXへの対応など、激変する製造業を生き残るために、勝ち抜くためにも今後ますます設計ソフトの重要性が高まっていくだろう。
AiソリューションズによるhyperMILLオンライントレーニング
(2022年7月25日号掲載)