インタビュー
Sansan 友澤 祐太 氏
取適法施行で増す現場負担、従業員数把握に課題
- 投稿日時
- 2026/04/07 09:00
- 更新日時
- 2026/04/10 14:55
今年1月、下請法が「中小受託取引適正化法(取適法)」として施行され、取引対象の判断基準に従業員数が新たに加わり、物流委託も規制対象となるなど、大きくルールが見直された。取引先の従業員数の確認、既存契約の洗い出し、手形払いの見直し----対応すべき課題は山積みだ。契約書管理システム「Contract One」を提供するSansanにも、施行を前後して問い合わせが急増している。同社の友澤祐太氏に取適法対応の現場の実態と今後の展望を聞いた。

Sansan・Contract One Unit マーケティンググループの友澤祐太氏
——下請法が改正され、1月に取適法として施行されました。貴社も契約書管理システム「Contract One」などで機能拡充を進めています。改正法をどう受け止めていますか。
「特に委託する側の企業が対応しなければならないことが、大幅に増えたと感じています。今回の改正法は名称変更にとどまらず、取引の構造そのものを見直す大きな改革でした。旧法では取引先を資本金の規模で判断していましたが、取適法では新たに従業員数による基準が加わりました。こうした変更により、委託事業者が取引先の従業員数を適宜確認したり、既存の契約内容を洗い出したりと、対応しなければならないことが山積みになっているというのが率直な印象です」
——委託事業者が特に頭を悩ませているのはどの部分でしょうか。
「やはり取引先の従業員数を定期的に確認していく作業が、最も負担の大きい部分だと思います。極端な話、昨日まで300人超だった企業が翌日に299人になっていると、取適法の対象要件に該当する可能性が生じます。資本金と違い従業員数は日々変動しうる。その確認に頭を抱えている企業も多いです」
——施行された今、現場はどのように対応している。
「発注のタイミングで書面に従業員数を記載してもらうケース、取引先に定期的にアンケートを送るケース、営業や調達担当者が口頭で確認するケース、主にこの三つのパターンが多いようです。ただ、どの方法が正解かはまだ定まっておらず、各社手探りで対応を進めているのが実情だと思います」
——企業ごとだけでなく、企業内でも対応にグラデーションがありそうですね。
「そうですね。基本的には法務部門が中心となって取り組んでいると思いますが、営業や調達の現場にまで上手く情報が行き届いていないケースも想像できます。取引先が取適法の対象かどうか確認しないまま、従来と同じ条件で契約を履行した結果、法令に違反すると、罰金や遅延利息の支払いに加えて、社名公表などレピュテーションリスクに発展しかねません。企業全体で取引情報を把握できる体制を整えることが重要になっています」
■Contract Oneで負担軽減
——そうした現場課題に応えられるよう1月、Contract Oneに機能追加しましたね。
「はい。取引先が取適法の対象かどうかを判断するには、契約内容と企業情報の両方を横断的に確認する必要があります。そこで今回、取引先の従業員規模や資本金を契約情報と並べて一覧で把握できる『ビジネスデータ連携』を実装しました。Contract Oneはもともと契約書を企業単位で管理できる点が特徴ですが、そこに企業情報が加わることで、取適法の対象要件を満たしているかどうかの確認が格段にしやすくなります。また、AIが製造委託・物流委託といった取引区分を自動で仕分けし、企業ごとの該当契約件数を確認できる『対象契約洗い出し機能』や、API連携により営業や経理など現場の担当者が普段使いのシステムから契約条件を確認できる環境も整えています」
——受託事業者側でも対応が求められますか。
「もちろんです。例えば受託事業者が、委託事業者とどのような契約を結んでいるかを正確に把握していれば、コスト上昇を理由とした値上げ交渉の際に契約内容を根拠として示すことができます。逆に、把握できていなければ、交渉する権利があっても行使できないまま取り残されてしまいかねません。実際、契約書の管理を改めて見直したいという企業からの問い合わせが取適法の施行を前後して増えており、受託・委託を問わず契約情報の管理に対する意識が高まっていると感じています」
——最後に、今後の取り組みについて聞かせてください。
「取適法への対応はまだ試行錯誤の段階にある企業が多く、対応が完了したと言い切れる企業はそれほど多くないというのが実感です。引き続きプロダクトの機能拡充を進めるとともに、弁護士と連携したセミナーなどを通じて、企業が適正な取引管理を進めるための情報発信にも力を入れていきたいと考えています」