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インタビュー

山善 品質管理部 QC課 小嶋 祐太郎 氏 
YAMAZENブランド支える品質管理

投稿日時
2026/03/10 09:00
更新日時
2026/03/11 15:36

値ごろ感と安全を同時に届ける

手ごろな価格と確かな安全性----。一見相反するこの二つを両立させることこそが、山善ブランドの核心である。品質と値ごろ感のバランスに日々向き合う同社 品質管理部 QC課の小嶋祐太郎氏に、その取り組みを聞いた。

山善 品質管理部 QC課の小嶋氏。「部品と部品の接続部は壊れやすいポイント。壊れやすい箇所はねじの掛かり具合が足りているかなども検証する」

「百人が製品を買ったら、百通りの使い方が生まれる」

山善 品質管理部 QC課の小嶋祐太郎氏がそう言うように、製品が市場に出れば、設計者が想定しない使い方をするユーザーが必ず現れる。特に机や椅子、ベッドなどの家具製品は、想定より大柄な人が使う、上に子供が乗る、そこで飛び跳ねるなど、想定外の使い方には枚挙にいとまがない。

例え、「まさか」と思うような使い方でも、もし重大事故が発生し情報が拡散されてしまったら、山善のブランドイメージを大きく毀損しかねない。一方で、全ての危険に対処しようとすれば、当然コストは嵩み、ユーザーにとっては手に取りにくいものになってしまう。

「万人にとって安全な『家庭用製品』を作る事もできるかとは思います。しかし、もしその製品が高過ぎて市場に受け入れられなければ、消費者の手は届きません。この場合、はたしてその製品は生活に貢献できたと言えるのでしょうか。品質と値ごろ感のバランスこそが市場で必要とされる製品を届ける重要なポイントだと考えます」(小嶋氏)

市場には極端に安価な製品も増えている。しかし、実際に購入しJIS規格に基づいた耐久試験をしてみると100回にも満たず破損してしまうものも存在する(山善製品は8000回の耐久試験をクリア)。特にECサイトでは品質の差は見えてこないが、その差が事故という形で消費者に降りかかる。

かつて山善でもパイプ椅子による製品事故を経験し、ユーザーに迷惑をかけた苦い過去がある。「過去の失敗を繰り返さないため、価格競争に負けたとしても安全性に関わる品質要求は曲げない」

■製品の安全な提供方法模索

安全な製品の提供は、製品そのものの品質だけでは完結しない。パッケージや同梱物、説明書、注意書きなど、消費者にとって製品を構成する要素は様々だ。例えばキャスター付き製品で、潤滑に必要なグリスが包装袋内部に付着していたために「油汚れがある」と返品が続いたことがある。グリスを丁寧に拭き取るには手間がかかりすぎる。一方、グリスの量を減らしては動作不良につながる可能性もある。そこで、小嶋氏は油が付いている可能性を示唆する注意書きを同梱。コストや現場負担を大きく掛けずに問い合わせ件数を大幅に減らした。

「ただ闇雲に注意書きを入れればいいというわけではありません。文言や入れる場所など、現場の負担が少ない形でユーザーに届けられるよう試行錯誤をしています」

こうした市場からのクレームや問い合わせは、「クレーム管理表」にデータを蓄積・共有し、過去の不良事例を製品改善に生かす仕組みも整えている。気にしなければならないポイントは製品や担当者、売り先によっても異なる。ユーザーになるべく安心・安全な形で製品を届けられるよう、最適な塩梅を模索する。

「品質管理の仕事は、製品を安全にすることだけではありません。お客様が疑問を感じないよう、お客様目線で考え続けることが大切だと思っています」と小嶋氏は語る。製品の設計、耐久試験、そして使用方法の伝え方まで——トータルな取り組みの積み重ねこそが、山善ブランドへの信頼を支えている。

山善インタビュー画像02.jpg

起震車を使いテレビスタンドの耐震性を試験した際の様子

(日本物流新聞2026年3月10日号掲載)