インタビュー
キャドマック 事業推進部 開発課 倉岡 めぐみ さん
- 投稿日時
- 2022/07/26 16:41
- 更新日時
- 2024/08/19 13:21
板金加工の生産性を飛躍的に高めるデータの「最適化」と「有効活用」
板金向けCAD/CAMの開発、販売を手がけるキャドマック。2500社超のユーザーに愛される同社ソフトだが、モノづくりの変化にともない着実な進化を遂げており、近年は3DCADによる設計・データ管理にも注力している。こうした板金向け最新ソフトウェアソリューションを同社・倉岡めぐみさんに伺った。
――4月から相次いで貴社主力ソフトのMACsheetシリーズをバージョンアップされました。まずはMACsheet「SEG5」についてお聞かせ下さい。
SEG5は初心者でも使いこなせるダイレクトモデリングや、板金部品をスムーズに作成できる板金コマンドを搭載しております。板厚や曲げRを付与した形状も直感的に作成できることに加えて、既存の2Dモデルの活用も可能ですので、3D板金モデルを効率よく作成できます。
また標準的なCADフォーマットのDXFやDWGだけではなく、他社板金CADの2Dデータを取り込んでの3Dモデリングも可能で、SEG5Ver2022では、SEG5以外の他のCADから取り込んだデータもSEG5同様に編集できます。
――新版における機能面での追加ポイントを教えてください。
主な改善点は、インポートされた不完全な穴形状をフィーチャとして認識できるようにしました。また薄いパーツからシートメタルを作成できる板金化モードや、マルチボディをアセンブリに出力可能にした点、フレーム機能の重点強化などを盛り込みました。
さらに螺旋モデリングを追加しています。こちらはライブラリコマンドで数値を入力するだけでそのまま加工可能なデータが生成されます。この生成されたモデルを利用して製作図をワンクリックで作成できます。
――自動化や効率化に主眼を置いたMACsheet「ΣZEROⅡ」についてもお聞かせ下さい。
ΣZEROはもともとブランキング作業を自動化するというコンセプトで、業務負荷の低減や効率化を目的として開発され、2010年にリリースしました。リーマンショックの直後とあって作業効率の向上が特に求められたこともあり、大変好評でした。この12年の間に少しずつブラッシュアップしていましたが、今回は実際に使用されているお客様の声を中心に様々な強化を行いました。
従来は生産管理システムから生産指示書や作業指示書を経て加工データを作成し、ようやく実作業という流れでした。しかし、ΣZEROⅡは生産管理システムから生産内容をCSV出力したものを取り込みCSVマッピングするだけで、オーダーファイルやネスティングデータ、NCデータ、レポート出力の作成が一気に出来ます。
また、ネスティング機能を大幅に強化しました。材料費が高騰し続ける昨今において、歩留まりの向上にも貢献します。
――実作業以外の部分での業務効率化が図れそうですね。
生産管理のデータからの数量変更や、複数台の機械設定もひとつの画面で行えます。さらに特殊な部品の際は、実行ステップを変更するだけでネスティング終了後のIST画面が立ち上がりますので、かんたんに確認や修正作業ができます。
材質や板厚が異なる時も自動で振り分けてネスティングできますし、カット後の仕分けも納期や工程の優先度など加味した上で設定できます。
■3Dへの移行を バックアップ
――MACsheet「IST」の新バージョンについてもお聞かせ下さい。
バージョン20では多数の新機能を追加していますので、主だった点を紹介させていただきます。まず、「スマートDXF解析機能」は1ファイル多部品のデータを自動的に部品ごとのデータへ分ける際に、部品ごとの属性を自動で判断して保存を行いますので、作業ミスの削減や作業時間短縮に繋がります。
「レーザーCAM機能」はQRコード生成とマーキング割付が可能になりました。マーキング加工時に加工ヘッドを上昇させず、加工時間を短縮するようなNCコードの作成も実現します。またコーナースリッティングや3Dでの開先加工シミュレーションにも対応します。
「ネスティング機能」には新しいオートシートIDオプションとしてXYT残材IDチェックボックスが追加されました。こちらは材料のX寸法、Y寸法、板厚、残材IDを簡単に表示し、ケガキやインクジェット印字設定が行なえます。加えてCAMレイヤボタンの配置を変更しました。こちらは使い勝手を向上させ、使用する機械ごとに異なるCAMレイヤを設定できます。
――板金加工では、現在も2Dデータで作業している現場が数多くあります。こうした現場に向けて貴社では3Dデータへの乗換えを支援されているそうですね。
「3Dは難しいから」と諦めてしまうお客様も少なくありません。ですが実際はそこまで難しいものではありませんし、どなたでも導入できますので「3Dはカンタンです」というアプローチをさせて頂いております。
当社ソフトにはMACSheet「3DPocket」がございますが、こちらは文字通りポケットにモノを入れる感覚で、2Dデータを3Dデータに変換できます。今後のモノづくりにおいて、3Dデータの優位性はますます高まります。当社ではお客様の現場に合わせたソフトウェアソリューションを多数用意していますので、お気軽にご相談下さい。
(2022年7月25日号掲載)