インタビュー
グルーヴノーツ社長 最首 英裕 さん
- 投稿日時
- 2022/05/16 09:50
- 更新日時
- 2024/08/19 13:17
「ポッといれるとパッと出る」量子コンピュータ
難易度が高いとされる惣菜盛付けの自動化が経済産業省の旗振りで進められている。難しいのは仕事量・内容が変化しやすく、惣菜は形が一定でなく、力を加えると変形するためだ。3月末、マックスバリュ東海(静岡県浜松市)に導入されたのはポテトサラダのような扱いにくい対象物を産業用スカラロボットを使って盛付けるシステム。この実現にグルーヴノーツ(福岡市中央区)の量子コンピュータによるシフト計算が貢献した。最近よく耳にするが従来のコンピュータと何が違うのか。
「たくさんの条件のなかから最もよいものを選ぶ『組合せ最適化』は、組合せの数が多すぎると計算が簡単に行えない。そんな時に役立つのが量子コンピュータだ」と同社の最首英裕社長は説明する。ではどうやって計算するのか。
「計算はしない。その代わりに物理法則によって答えを導く。量子コンピュータは計算を一切やっていないからプログラムもない。物理法則に置き換えられる式を書いてあげると答えが観測できるというだけ。がんばって計算するのではなく、ポッといれるとパッと出るイメージ」
条件を与えてから答えが出るまでに要する時間はおよそ10万分の1秒というから、これを使わない手はない。最首社長によると量子コンピュータが使われるのは、組合せが非常に多くて複雑な作業。「たとえば自動車製造や物流、交通、金融。それに建設会社での土砂運搬、鉄道の車両編成の最適化などもそう。これらは一切計算していない」
同社は今回、人をどう配置すると最も効率よく盛り付けられるかに着目した。そのために必要となる作業量の需要予測には従来型のコンピュータとAIを使ったと言う。
(3月29日、東京・文京区で開かれた経産省および日本惣菜協会による記者発表から)
(2022年5月15日号掲載)