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インタビュー

関西石油販売 会長 青木 俊一 氏 
ナフサ不足、切削油と潤滑油に「目詰まり」の懸念

投稿日時
2026/04/12 09:00
更新日時
2026/04/22 17:49

供給正常化には最短でも6カ月か

米・イスラエルのイラン攻撃に端を発する、ホルムズ海峡封鎖を巡る応酬から、ナフサの供給不安が金属加工現場を直撃している。石油製品販売の半世紀を知る業界の生き字引、青木俊一関西石油製品販売会長は、現状を「過去のオイルショックとは異質。『経済が目詰まり』を起こすリーマンショックに近い怖さがある」と警鐘を鳴らす。一部元売りではすでに製品供給の停止や総量規制が始まっており、現場の「油の入手困難」は深刻さを増している。混乱の出口はどこにあるのか。4月17日時点の現況を聞いた。

――4月17日現在、潤滑油や切削油の供給状況はいかがでしょうか。

「いくつかの元売りでは、一部製品で出荷停止措置が取られ、例えば油圧作動油や摺動面オイルなどは、番手を問わずストップがかかっている状態です。現時点で供給が完全に途絶しているわけではありませんが、前年比での総量規制は厳しくなっています。

また、近隣諸国との争奪戦により、物流も不透明です。コンテナを開けるまで、どの製品がどれだけ日本に届いたか把握できない。最終ユーザーの体感としては、注文の50%程度しか手に入らないという厳しい局面ではないでしょうか」

――貴社の出荷状況や新規問い合わせへの対応は。

「既存ユーザーの必要量はなんとか確保していますが、他社で入手できなくなった新規ユーザーからの問い合わせが殺到しています。供給が逼迫する中で当社からの出荷量は前年比20〜30%増で推移しており、このままでは既存ユーザーへの供給に影響が出かねないという危機感を持っています。

仮に今すぐホルムズ海峡が正常化したとしても、物流の回復には3カ月を要します。この不安定な状況は、少なくとも今後6カ月は続くと見ています」

――加工油(切削油等)への影響は。

「加工油については、潤滑油に対して3カ月程度のタイムラグがあるため、現時点ではまだ余裕があります。しかし、このままだと出荷規制がかかり、いずれ目詰まりを起こすのは避けられません」

■オイルショックではなくリーマンショック型

――業界内では新規取引を拒否する動きもあると聞きます。

「電話を取らないといった対応をする業者もいるようですが、それは業界全体の信用失墜に繋がります。大切なのは、ユーザーに接点を持つ我々販売業者が、油圧タンクの入れ替え時期の延長や過剰購入の自制を直接お願いし、調整することです。不安に駆られた『溜め込み』こそが、最も混乱を加速させます」

――過去のオイルショックと比較して、今回の危機の性質をどう捉えていますか。

「私は第二次オイルショックを経験していますが、今回は当時の原油価格高騰・絶対量不足とは性質が異なります。例えるなら、リーマンショック発生時の『経済の目詰まり』に近い怖さです。

リーマンショックでは資金繰りが滞り、産業全体が疲弊しました。今回は需要があるのに品物が届かないことで、我々販売事業者もユーザーも疲弊しています。本来1缶で済むところを10缶確保しようとするのは、現場が『怖い』からです。しかし、パニックに陥る必要はありません。原材料自体は、冷静に分配すれば足りる量は存在します。元売り、政府、そして我々現場に密着する販売業者がやるべきことをやり、この目詰まりを一つずつ解消していくしかありません」



(日本物流新聞2026年4月25日号掲載)