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インタビュー

前田シェルサービス 代表取締役社長 前田 達宏 氏 
機械設備に標準搭載進む、クリーンな圧縮空気

投稿日時
2026/03/31 09:28
更新日時
2026/03/31 09:33

製造現場の品質や、機械トラブルの原因となる「見えない不純物」に、独自のフィルター技術を展開してきた前田シェルサービス。三品業界はもちろん、近年では機械設備の標準搭載として採用が拡大中。昨秋にはタイに駐在事務所を設け、海外でもさらなる圧縮空気用フィルターの売上強化を図る。グループ会社の前田技研では3Dプリンターによる自然由来の材料を活用したインテリアブランドを立ち上げるなど、独自の取り組みでも存在感を発揮している。

――昨年を振り返っていかがでしたか。

「そこそこいい数字で終えられました。複合加工機やマシニングセンタなど止められない設備が増える中で、エアー品質の重要性が見直されており、工作機械メーカーからの採用台数が増えています。国内の設備導入では苦戦しましたが、機械メーカーの海外出荷分に関しては伸びましたね。工作機械の故障を防ぐために取り付けたいという現場のお客様も多いです」

――工作機械メーカーへの標準搭載をすすめていらっしゃる。

「機械が止まった時にまず呼ばれるのは工作機械メーカーですが、エアー由来の不具合も少なくない。当社は空気に含まれる不純物の粒子を測定する特許技術があります。パーティクルカウンターで0・3㍈以上の不純物をカウントでき、フィールドテストで当社のフィルター性能をしっかり確かめられます。圧縮空気由来のトラブルが減って、サービス人員が呼ばれる件数が減ってきたと効果を感じていただいて採用数が増えてきました」

「フィルターの面積が大きく、きっちり水分除去した後に段階的に濾過するため、エレメントの寿命が比較的長いのも特長です」

――機械のトラブル対策に。

「エアーに不純物が含まれていると、主軸の故障やリニアスケールの不具合に繋がります。ベアリングや主軸内部に不純物や水分が入るのを防ぐため機械自体の長寿命にも貢献し、保全サイクルも伸ばせます。圧縮空気用フィルター『3in1マルチ・ドライフィルター』は同軸上に3種類の特殊エレメントを内蔵。第1エレメントでは水滴・油滴を分離し、第2エレメントは5㍈以上の固形粒子や水滴・油滴を除去。そして0・01㍈以上の固形粒子を取り除くオイルミストエレメントで、最もクリーンなエアーをお届けします」

「機械以外で、長くお使いいただいているのが三品業界。大手製パンメーカーやサプリメント製造ライン、パッケージメーカーなど、安全と品質が厳しく求められる現場でクリーンな空気は不可欠ですから」

――現場や設備によって求められるエアー流量が変わりますが。

「工作機械でも使えるようエアー流量を増やし、本体コストを低減した『3in1・エコ×ドライフィルター』も2024年からラインナップに追加しました。これまで流量が多いタイプだとかなり大型で高価格になりがちでしたので、中間となる流量に対応したバリエーションを加え、選びやすくしました」

3in1マルチドライフィルター.jpg

機械トラブルを防ぎ、三品業界のエアー品質を守る「3in1 マルチ・ドライフィルター」

■海外営業力強化と新規ブランド展開

――昨年はタイに駐在事務所を設立されましたね。海外のクリーンな圧縮空気ニーズに対応する。

「タイをはじめとする東南アジアに進出し、売上を伸ばしていきたいですね。10年ほど前からタイでは現地代理店を通して営業サポートはしておりましたが、タイ現地のローカル化の流れに対応します。一昨年に女性タイ人を雇用し、1年9カ月ほど国内で教育した後、昨年10月よりタイ駐在員事務所の社長として活動を開始しました。とても前向きで積極的に展開を進めてくれており、高温多湿の地域へ高性能圧縮空気用フィルターの浸透を目指します。さらに人員強化したいですね」

――グループ会社の前田技研で3Dプリンターを活用した新ブランドも発進されています。

「前田技研では50年以上金型や自動車の部品加工を行っていますが、自動車業界以外の仕事もしたいと思いまして。ベンチャー企業のExtraBold社に出資し、社員も出向させて開発した3Dプリンター『EXF―12』を導入しました。お茶やコーヒーの残渣、ゴミや殻も生分解性プラスチックと混ぜてリサイクル材料として使える3Dプリンターで「孚美(FūūBi)」というブランドで家具を作っています。大阪・関西万博に出店した大手菓子メーカーの店舗では、卵の殻を原料とした椅子を提供しました」




SDGsでありつつ高デザイン性


コーヒーの残渣などのリサイクル材料を使える3Dプリンターによるブランド「孚美」は「意外とアンティーク家具との相性もいい」と前田社長。2023年に社屋をリニューアルし、ショールームに孚美のプロダクトとフィルターを一緒に展示中。社員食堂に孚美のランプシェードを使い「たまにカフェと間違われて一般の方が入ってきたりしますよ」と笑う。社屋建て替え後、その効果か人員採用も3人ほど順調に集まったという。



(日本物流新聞2026年3月25日号掲載)