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インタビュー

大日金属工業 会長 小山 章 氏 
造船好調、高剛性・高精度の機械で産業支える

投稿日時
2026/03/10 14:46
更新日時
2026/03/15 12:14

小物から長尺~大物の加工まで、豊富な、精密CNC旋盤のラインナップをもつ大日金属工業。とりわけ横形旋盤による大型長尺加工では際立った存在感を放つ。船舶の舵棒やプロペラシャフトなど、同社の大型旋盤でなければ加工が難しい。国策による造船再生ロードマップで、建造量を倍増すると掲げられる中、同社の加工機が担う役割は増している。しかし小山章会長は「造船に限らず、航空機やエネルギー、製紙関係など、あらゆる産業に適用できる工作機械作りをする」とどっしり構える。目先を追わない機械づくりの姿勢は剛性と高い精度にこだわりと実績があるからこそ。産業のトレンドが目まぐるしく変わる昨今でも、変わらないモノづくりを貫く姿勢を表す。

大日金属工業 代表取締役会長 小山 章 氏

――造船業界が注目されていますが最近の事業環境は。

「造船は好調です。受注残があるというほどではありませんが、新たな引き合いは入ってきています。特に関西では8割ほどが心間距離10㍍の大型機が多いですね。重量物を加工できるCNC旋盤『Wシリーズ』が重厚長大の看板製品です」

「従来のユーザーからも、昨年末に今治に『W16R』を納めたところ。新造船ができた際、現地でプロペラシャフトを通し、巨大なブッシュを装着します。この精度を追い込むために現地加工で使われるもの。お客様によると『2030年までは仕事が埋まっている』とのこと。16㌧のワークを加工できるW16Rは重量物の加工が多い造船業界では引き合いが多いです」

「当社では70㌧までのワークが加工可能な大型機を手がけていますが、この辺りのサイズの機械を作れるところはなかなかありません。五面加工機や、ベッドを削る40㍍ほどの住友重機械工業の平面研削盤など、設備を揃えるだけでも難しいですから。一昨年には岐阜の塗装工場を刷新しましたし、換気性能を高めたエアコンも完備して働きやすさやにも投資しています」

■流されないからこそ追求できる機械づくり

――造船で大きな機械設備の需要が来ていますが。

「数は追いません。1品1品オンリーワンで作り上げており、大型機は納期が1年半~2年ほど。重厚長大の加工に耐えうるどっしりとした機械を作り込む必要があります。高い剛性と、丈夫さ、そして高精度――。大型機でありながら、小型機並みの精度を出せるのがうちのこだわり。面粗度の良さもお客様に驚かれるほどです。妥協は許さないという作り込みが機械をここまで高めているのです。うちの旋盤に砥石をつけて仕上げまで行うところも。ワークが重量物である分、機械に載せ替える手間を省けます。加工中の振動を極限まで抑えられる旋盤本体の高い剛性で主軸が圧倒的に振れないから可能なことです」

――丁寧な機械づくりを貫くと。

「大型機は基本的に受注生産ですから。また、新しく増えているのは造船だけではありません。航空機や宇宙、発電ガスタービン関連なども有望です。精度、剛性どちらもあらゆる産業で求められる要求に応える大型機です。例えば航空機ではチタンを削れる旋盤としてニーズがありますし、高硬度の製鉄用圧延ロールの荒加工もできます。一つの産業に特化せず幅広いユーザー層で支持の厚い大型機を届けていきます」

――いち業界の好不況に飲み込まれない強さがありますね。

「かつて数年前まではEV電池部品のフィルム関係の需要が多かったのですが、最近は大人しいですね。あらゆる産業に適用する機械づくりの姿勢で、安定しています。昨年も例年通り一定で、販売量も生産量も変わりません。従業員の数も85人ほどを維持しており、最近は機械工としてベトナム人と、日本で技術系の大学を出たモンゴル人も採用しました。優秀ですし、中途入社の社員の定着度も良いです」




船の重要部品にDAINICHIあり


同社の大型旋盤で作られる船舶のプロペラシャフトやスクリューシャフト。海外の大手造船企業に納入するピストンリングも同社の旋盤で削られている。「高耐久が求められる基幹部品のため非常に高強度ですが、30年前の機械もまだ精度が出ると評価されています。新たな受注も引き続きいただいています」と小山会長。一つの業界に特化していないと話すが、一台に込めたこだわりが昔も今も造船業界の生命線でもある。



(日本物流新聞2026年3月10日号掲載)