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インタビュー

ブラザー工業 執行役員 寺倉 達雄 氏 
グローバル全地域で成長、拠点より強化へ

投稿日時
2026/03/11 13:35
更新日時
2026/03/11 13:39

設備投資が軟調な中、ブラザー工業が工作機械分野で昨年度比で大幅な成長を見込んでいる。執行役員の寺倉達雄氏は「前中計からの戦略的な商品拡充が実を結んでいる」と総括、5軸や100本マガジンなどの戦略機種の浸透が受注に結び付いたとみる。アジアに強い同社だが欧州拠点の拡張と強化も鮮明に打ち出す。寺倉氏に足元の市況と今後の戦略を語ってもらった。

ブラザー工業 執行役員 マシナリー事業 産業機器事業担当 寺倉 達雄 氏

――2025年の振り返りをお願いします。

「昨年は工作機械進出40周年、また累計出荷20万台を達成した節目の年でした。売上は2324年と中国市場が芳しくなかった反動もあり、今年度は24年度比30%~35%の大幅な上昇を見込んでいます」

――日工会の受注統計では微増の予測ですが、貴社の突出した伸びを牽引した市場は。

「最大の要因は中国市場です。関税の影響を感じさせずEVを含めた需要が堅調に伸びました。一方で国内は設備投資が弱含みで計画に対し伸び悩んでいますが、前中計からの戦略的な商品拡充が実を結んでいます。5軸や横形マシニングセンタ(MC)に注力し、制御系も一新して機能を向上させました。さらに昨年にはBT30ながら“100本マガジンを備えた画期的なMCを投入。40番の領域に、30番の加工能力や機能を充実させ切り込んできました。それらが浸透した結果、半導体や航空機、一般機械など非自動車分野の顧客層が着実に増えています。国内の伸び悩みはあれど受注額は24年度を上回り、グローバルでは日本、中国、その他アジア、米国、欧州の全地域で前年度実績を上回る見込みです」

――国内外で拠点の新設・拡充が相次ぎましたが、この効果は。

「まさに我々が描いていたタッチポイント強化の効果が出ています。国内はショールーム機能を持つブラザーテクノロジーセンター(BTC)を3月には長野にも展開し7拠点体制になります。これまで仙台や九州の拠点もBTCに拡張しましたが、実際に九州は半導体需要を取り込んで成長、東北も伸びています。半導体も航空機も大手メーカーのサプライヤー層に浸透しています。『40番で加工しているワークを30番で加工できる』と実加工で示す戦略を、今後も全国で徹底します」

■欧州、徹底強化へ

――グローバル戦略をお聞きします。インド市場の現状は。

「非常に可能性を感じますね。2412月から現地工場で生産開始し、丸1年が経ちましたが計画通りの進捗です。モビリティ分野は二輪・四輪とも確実に伸びており、医療や航空機分野も期待できる。欧米の部品加工がインドへシフトしており、2627年にかけ早期に大きな市場に育てる計画です」

――池田社長は欧州市場への注力も公言されています。

「欧州の売上比率は現在10%以下と低いものの、世界全体で見れば大きな市場。40番が主流で欧州メーカーの層も厚く、30番が受け入れられづらい市場と捉えていましたが、代理店との連携強化で100本マガジンや5軸、さらには3軸のMCも十分に商機が見込めるとわかりました。今後は徹底して力を入れます。フランクフルト拠点は体制を5人から15人に増員しました。他にもトルコやフランス、イギリス、イタリアなど各地の代理店への提案を強化するため、ローカルスタッフを配置し地域ごとのニーズに応える体制を整えています」

――40番機の本場ですが商機はどこに。

「自動車産業が落ち込んでいますが、航空機、医療、宝飾などの分野に5軸機や100本マガジン機を駆使した提案が可能です。エネルギーが高騰する欧州では、スピーディオの環境性能も追い風になります。3月にドイツ拠点を移転拡張し、10台展示可能な大規模ショールームを開設します。整った基盤で26年度は欧州を大きく伸ばします」

――東南アジア、特にベトナムでの動きも活発です。

「昨年ハノイに事務所を構え、今後はハノイ、ホーチミンを中心にベトナムに注力します。バンコクのBTCも拡張します。中国系メーカーの生産移管や欧米からの需要集約で、ベトナム・タイ・マレーシアが活性化しています。我々も人員を増やし提案力を引き上げます」

――今後の目標と足元の見通しを。

「足元は総じて堅調ですが、我々は27年度に工作機械の売上1000億円という高い目標を掲げています。達成へもう一段ギアを上げたい。100本マガジンは日欧米の自動化ニーズにマッチし、高評価を得ています。また先日発売した横形5MCはより大きなワークの加工を可能にし、提案の幅を広げました。これらの効果が本格化するのが26年度。5軸や100本マガジンを駆使した自動化提案と、国内外での拠点戦略。この両輪でシェアを拡大し、27年の目標達成へ邁進します」

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BT30MCながら100本のマガジンを搭載し、さらにそれを機内に収めた「S700Xd2-100T/U500Xd2-100T」を25年に投入




環境性能に商機


202512月に環境省主催の「気候変動アクション環境大臣表彰」で、コンパクトMC・スピーディオのSシリーズが最高賞の「気候変動アクション大賞」(開発・製品化部門の緩和分野)を受賞した。同機の省エネ性能が高く評価されたもの。寺倉氏も「我々の新機種は従来機種と比べ明確に省エネ性能を向上させている。関連する補助金の活用時も申請がしやすく、採択率も非常に高い」と力を込める。