インタビュー
ダイヘン 取締役専務執行役員 金子 健太郎 氏
現場に選ばれる溶接機とロボットで市況を乗り越える
- 投稿日時
- 2026/01/21 09:00
- 更新日時
- 2026/01/26 10:54
設備投資に様子見の姿勢が続くなか、2024年に溶接電流350Aのハイエンド半自動溶接機「Welbee The Short Arc(ウェルビー ザ・ショートアーク)」を上市し、昨年の国際ロボット展では新型AMRと可搬質量8㌔の協働ロボットを出品したダイヘン。同社・金子健太郎専務執行役員は「現場の課題にフィットする製品を提供することが機器メーカーの使命」と語る。1月には厚板鉄骨向けの500Aタイプのウェルビー ザ・ショートアークを発売し、マルチユースで顧客の多様なニーズにマッチした高品質溶接ができる溶接機を厚板鉄骨業界に送り込む。

――昨年を振り返ると。
「市況はあまりよくなく、国内の溶接関連では造船の仕事が多く賑わっているものの新規の設備需要の勢いまでは生まれていません。鉄骨系やその他産業はプロジェクトが先延ばしになるなど投資は抑制傾向。FA・ロボットも同じで、大きな案件はあまりなく端境期です。しかし現場では技能不足や労働力不足の悩みや、脱炭素の取組みや異種金属といった難易度の高い溶接など課題は存在しています。市況にとらわれすぎず、機器メーカーとして今の課題にマッチする製品を提供することが肝要です」
――ニーズのすくい上げに力を注ぐと。具体的な製品群で言うと。
「昨年の溶接・接合事業部の国内売上はざっくりと言えば横ばいですが、半自動溶接機5機種を統合した『ウェルビー ザ・ショートアーク』は今の流れやニーズに合致している製品として認知と浸透が進みました。統合した旧機種の販売台数に対して10%も伸びており、当初の想定を上回る好調さです。やはりニーズにマッチした製品は強い。協働ロボットについては人手不足を切り口に、タブレットによる教示レスシステムやダイレクトティーチング含め、ロボットを初めて導入するお客様から使いやすいと受け入れられました」
――堅調な造船業界に向く新しい溶接機をリリースされました。
「1月にウェルビー ザ・ショートアークの溶接電流500Aタイプを投入しました。造船や建設鉄骨など厚板溶接に向く製品として大きく期待しています。サイリスタ機から高性能デジタル機までの合計25機種を屋内・屋外用途の2タイプに集約し、誰でも簡単に高い溶接品質を実現できるマルチな製品です。350A機で寄せられたお客様の声を多く反映し、アークの安定化や新しい溶接モードの搭載などブラッシュアップしています。幅広い現場や仕事に対応できることがウェルビーザ・ショートアークのコンセプト。今後、TIG溶接やパルス溶接も同様のコンセプトで開発していきたい」
――省スペース化した新型AMR「AiTran500」も注力製品です。
「AiTranの上に協働ロボットを載せた提案に力を入れたいですね。中小の製造現場ではスポット的に自動化を進めていく提案がフィットしますから。ロボット自ら必要な作業場所に移動し、離れた工程の作業にアクセスすれば色んな役割を持たせられる。今後、可搬質量1トンタイプやリフト・牽引タイプなどバリエーションも増やしたいです」
――新接合技術の展開は。
「アーク溶接を応用した金属積層造形(WAAM)が特に有望ですね。大型構造物や大物試作品を短納期かつ低コストで実現するならWAAMがいずれ事業の一つの柱になるでしょう」
――溶接機の統合などで生産拠点の再編も。
「ハードを共通化・単純化して機種を絞るということではなく、共通のプラットフォームを活用し、多くのバリエーションに対応しソフトウェアで差別化していく考えです。生産機種の絞り込みのなかで、中国やタイ、ヨーロッパでそれぞれ何を作るか役割の再配置をこの数年で変えていきます」
――今年の見通しは。
「現状、海外では溶接もFA・ロボットも欧州は厳しい。しかし中国が思いのほか堅調なビジネスができていますし、米国も前年度に比べると少し上り基調で来ている手ごたえがあります。国内でも造船の機運が高まっていますし、鉄骨や建築関係のプロジェクトや関西IRなども動き出しています。競争力のある製品を作り的確にプロモーションをしていけば成果に必ず結びついていきます」
(日本物流新聞2026年1月25日号掲載)