インタビュー
宮川工業 取締役 部長 藤井 崇 氏
造船は上り坂の始まり、人手不足に面取り効率化ツール訴求
- 投稿日時
- 2026/01/08 13:59
- 更新日時
- 2026/01/08 14:03
宮川工業は橋梁や造船に特化した鋼材加工機のニッチトップ企業だ。船舶用の鋼材のうち、バラスト水に触れる箇所は適切なR面取りを行うことが必須とされている。同社はR面取り用のハンドツールや自走式面取り機を展開し、造船におけるR面取り機で推定8割のシェアを握る。取締役営業部長の藤井崇氏に製品の特長や造船業界の景況を聞いた。

宮川工業 取締役 営業部長 藤井 崇 氏
――造船向けの鋼材R面取り機で高いシェアをお持ちです。
「造船向けでは8割のシェアを握っている手応えがあります。元は橋梁向けの面取り機を手がけていましたが、約15年前に造船業界のルールが変わり、バラストタンクなど特定の箇所に使う鋼材の面取り処理が厳しくなりました。一般的なグラインダーと我々の面取り機によるエッジ処理では塗料ノリがまったく違う。ただ橋梁と同じ製品では対応できず、造船業界に足繁く通ってニーズを聞き出し、造船に最適化した面取り機を揃えました。ものすごく手間と時間がかかりましたが、結果的にこれがトップシェアに繋がったと見ています」
――競合も多かったのでは。
「当時はエアツールメーカーなどが一斉に造船向けに参入しましたね。ただ経験上、造船は手厚いサポートが重要です。カタログ商売は難しく、我々はそこに特化し深く入り込んだ。だからこそ他社を跳ね返せたと思います。R面取り機はハンディタイプと自走式の展開で、2年前に裏面取り機も発売しました。鋼材の表面からのアクセスで裏面のR処理が可能で、鋼材を反転する必要がなく効率化につながります。省人・省力化ツールとしては価格も手ごろです。造船業界の人手不足は年々深刻化しています。今後はこの裏面取り機と自走式の面取り機の需要を今いちど掘り起こす方針です」
――円安もあり造船業界は活況が伝えられます。足元の感触と2026年の見込みは。
「数年前までは線表も埋まらず暗い話ばかりでしたが、足元で悪い話はまったく聞かない。潮目が変わったのを感じます。我々は業界の景気が冴えない中でも安定的な売上を維持してきましたが、今後は建造する船舶が次世代船へ切り替わり、設備投資も活発化する期待がある。ただ造船業界で大型設備を含めた本格的な設備投資需要が見込めるのは、私の感覚ですがもう少しばかり先ではないでしょうか。上昇基調は確かですが業界は人手不足が深刻。予算があっても足元の受注を捌く方が優先で、大型の投資計画を行う余力がなかなかないようにも感じます」
――自動化の需要はどうでしょう。
「モノも大きく複雑で様々な部材を扱うため、完全な自動化はなかなかハードルが高いのは事実です。とはいえ人手不足は深刻で、構内も明らかに海外からの人材が増えている。中長期的に自動化は間違いなく大きなテーマになります。今後、建造量が増えるに従っておそらく溶接機など小型の商材から大型の商材へと、順を追って需要が増えてくるのではないでしょうか。面取り機を展開する我々からすると、今は登り坂が見えてきたところ。ただ国防という面でも造船はモノづくりの中核ですから、今後にはかなり期待しています」

裏面取り機「BakROS-NEO」は鋼材に表側からアクセスして裏側のエッジ処理ができる。鋼材を反転させる手間がなく効率化に貢献。なお開発には10年以上かかったと藤井氏は振り返る。「造船は浮き沈みが激しい。試作してフィードバックをもらって…と熱を入れても、開発が途中で凍結したり、その間にニーズが変わったり、大変なんです」
(日本物流新聞2026年1月10日号掲載)