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インタビュー

ニデックドライブテクノロジー 社長  辻田 穣治 氏 
センサー内蔵減速機でヒューマノイドの安全規格をリード

投稿日時
2025/12/26 09:00
更新日時
2025/12/26 09:00

ニデックドライブテクノロジーの社長執行役員辻田穣治氏に国際ロボット展の会場で、成長戦略からヒューマノイドへの向き合い方まで、幅広く聞いた。

ニデックドライブテクノロジー 代表取締役社長執行役員 (CEO) 辻田 穣治 氏

――ロボット市場をどうみますか。

「国際ロボット展では、高精度大型減速機『KINEX』のラインナップを拡充し、可搬重量130~300㌔級の大型ロボット向けサイズを積極的に訴求しました。他方、中国・米国を中心にヒューマノイドロボットの著しい伸びが明確になってきています。アメリカでは人件費の高騰が急加速しており、自動化が進めばロボットは人型の比重が高まるでしょう。2~3年後からヒューマノイド市場は毎年20~30%成長すると見ています。減速機の引き合いも明らかに増えている」

「産業用ロボットは6軸・7軸ですが、ヒューマノイドは関節が桁違いに多くなる。減速機の必要数は現在の数倍規模になる可能性があります。ただし問題は、どのヒューマノイドメーカーが持続的に成長するか読めないこと。残るのは100社に数社程度かもしれません。ヒューマノイドに適したフィジカルAIの進化と歩調を合わせつつ、どの様なお客様と進めてゆくかは極めて慎重に行う必要があります」

――ロボットの重要部品である波動歯車減速機の需要はどうですか。

「波動歯車減速機は多くのメーカーが参入しており競争は激しい市場です。これから重要になるのは 性能、品質と価格のバランスです。精度と価格の要求は当たり前ですが、改めて安全性の担保が焦点になり、それによるセンサー技術の勝負になってきています」

「当社は、トルクセンサー、温度センサーを内蔵した減速機『Smart-FLEXWAVE』といった競争優位性を成長の柱にしていきます」

■現状センサーなしで稼働も

――ヒューマノイドに安全規格は必要か。

「協働ロボットには安全センサーの搭載が義務づけられていますが、ヒューマノイドにはまだ安全規格がありません。極端に言えば、センサーなしでも動けてしまう。しかし、人と同じ空間で働く以上、衝突して怪我をさせることは許されない。今後規格は整備され、安全を証明できる技術〟が必要になってくると考えます」

「現状、センシングに関しては各社試行錯誤されている様子ですが、産業用ロボットと同じ様に外付けセンサーが採用される場合、軸数が多いヒューマノイドロボットでは重量が極端に増え、現在の軽量化の流れに逆行してしまいます。一方当社のSmartFLEXWAVEであれば、薄型で軽量の一体型のセンサー内蔵型構造のため劇的にニーズが高くなると確信しています。EV用モーターの領域で軽量化・ダウンサイジングが求められたように、ヒューマノイドでも軽く、小さく、安全に〟 Key Success factorになると思われます」

――生産体制とグループシナジーは。

「ヒューマノイド市場が伸びると予想されるなか、それに使われる減速機の需要も大きく成長すると予想されています。そのため当社も更なる自動化の推進を進める必要があります。加えて、同グループのニデックマシンツールとの連携を強化してゆきます。歯車加工機のトップメーカーであるマシンツールと協業しながら高度な減速機の加工、生産体制を構築してゆくことを視野にいれております。さらに当社の持つプレス機の事業と合わせ、サービス・メンテナンス領域も可能な限り統合し、『QCDS』で競合他社に負けない圧倒的な優位性と効率化を図りたいと考えています」 



(日本物流新聞20251225日号掲載)