インタビュー
イケザキ 池崎 陽大 社長
関西最古参のプレス機点検・修理の技術集団
- 投稿日時
- 2025/12/24 11:37
- 更新日時
- 2025/12/24 13:14
プレス機を使う仕事は国内で衰退していると思っていましたが、働いてみて認識を改めました―。そう語るのはプレス機械の総合メンテナンスで70年以上の実績を持つイケザキ(本社・大阪市淀川区)の池崎陽大社長。大手投資銀行で役員を務めた後、2代目社長として3年前に家業を継いだ。池崎社長は「国内に現存するプレス機は22万台ほどと推計され、10年前から1万台程度しか減っていません。ビジネス機会は相当にあります」と言葉を足した。

池崎陽大 代表取締役社長
同社は動力プレスの特定自主検査登録業者として関西最古だ。法定点検をこなした数は累計ざっと5万回以上、いまも年間1000件を超す点検や修理を行う。リピート率8割以上で仕事は確かに減っていない。
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常に顧客の現場に足を運ぶという池崎社長は「60年前のプレス機が稼働する現場もザラ。様々なメーカーのプレス機が混在する町工場も多い」と言い、そうした古い機械や、メーカーが無くなってしまった機械、機構の全く異なる機械の修理点検を「まとめて一手に引き受けられるのが私どもの強み」とした。その自信は「経験の数から来ています」という。面白いことも聞いた。半世紀前のプレス機でも「当時の丈夫な鉄からできたものはしっかり稼働し、経年劣化が少ない」と。
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修理やオーバーホールでは多様な要求に遭遇する。「動くようにしてくれ」はもちろん「周辺機器を含めリビルドしたい」、「電気系統を刷新しサーボ化もしたい」など。自社で対応できない場合はメーカーなどとタイアップして要望を満たす。
付言すれば、顧客にとってプレス機の不具合は生産停止に直結するため、救急車ばりのスピードも必要だ。そこで同社は365日いつでも対応を標榜・実践する。「だから顧客の多くはクルマの往復で1日圏内の関西が多いですね。早朝から静岡などへ駆けつけることもありますが。もっとも、急ぎを除けば栃木から山口県あたりまで、広くお世話になっています」(池崎社長)。
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プレス機の修理は100~500トンクラスが中心だそう。小型も行うが、さすがに数千㌧クラスともなるとメーカーに頼る。本社工場には汎用の旋盤やフライス盤が並び、欠落部品や消耗した部品づくりに忙しい。設計図が無い場合もノウハウを駆使して部品を作る。
課題を聞くと、ここでも技術者の高齢化や人不足問題にぶちあたった。同社は同業者の事業継承(友好的M&A)も進めており、ノウハウをより広く、そしてそれを引き継ぐことに努力中だ。
最後にもう一点。プレス機は年一回の自主点検が義務だが、行っていない事業者が一定数いることは業界で知られる。来年には法定検査の改正(厳格化)も見込まれる。同社は「職場の安全に向けても、お役にたてるようにしたい」と強調していた。