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インタビュー

山善 梅森 雅秀 部長
商社機能活かし、最適マッチングと総合ソリューション

投稿日時
2025/12/24 11:33
更新日時
2025/12/24 12:34

日鍛工統計(内需)の2ケタ占有目指す

昨年10月、山善機械事業部のなかに産業機械部ができて1年と少し。同部が取り扱うのは板金加工機、プレス機械、ダイキャスト機、射出成形機などをはじめ関係するソフトだ。部門発足来、板金大手メーカーや関連する専門商社出身の人材を集めており、販売力と専門性を高め、ゆくゆくは(一社)日本鍛圧機械工業会が取りまとめる内需受注統計の「10%超えのシェア」を狙うという。

部門を指揮する梅森雅秀部長に聞いた。

山善 機械事業部 産業機械部 梅森 雅秀 産業機械部長

――山善機械事業部は従前から工作機械の販売を中心としながら、板金・プレス機械も取り扱ってきました。専門部門ができたことでどう変わるのでしょう?

梅森 板金機械もプレス機械(鍛圧機械)も、工作機械とは最終ユーザーが多くは異なり、また材料も周辺機器もソフトも、さらに商流にも違いがあります。社内では過去から板金・プレス機械に注力すべきとの意見があり、取り組みを強化した時期もありましたが、活動の本格化には至っていなかったかと思います。

――鍛圧板金分野に特化した部門を作ることで、市場に専門商社としての価値を問う形になると。

梅森 ええ。正直にいえば、産業機械部は計画より半年ほど前倒しで発足していて、この分野で商社として力をつけるにはこれからの面もあります。しかし幸い、多くの有力メーカーさんと長年ビジネスを行い、信頼関係もありますからアドバンテージは大きいと考えます。

■商社らしい深堀に挑む

――ビジネスを広げるうえでのキーポイントは?

梅森 いま申し上げたように多くのメーカーさんと関係づくりができていて、それだけいろんな引き出しを持って市場に問えることがひとつ。いろんな引き出しの中身をつなげ提案幅を広げることが役目です。これは商社だからやれることでしょう。そこに付加価値を付けていきたいですね。プレスや板金のみならず塑性加工(※1)全般をビジネス領域にしていきます。

――業界にはハードからソフトまで提供できるビッグプレーヤーもいますが。

梅森 それ以上に商社であれば、特長をもった機械をつなげて工場全体の効率化につなげたり、関連する金型をはじめ前後工程の提案、あるいは工場新設のお手伝い、エネルギー系、材料系、自動化と山善の他部門といっしょになって提案・供給できます。

――そこまでは近い? まだ遠い道のり?

梅森 会社からはすぐやるように言われていますが(笑)。人材集めや人の育成、トータルに提案できるだけの知識と経験、やるべきことはいろいろとあります。

■情報と提案

――モノづくりはどんどん高度化し変化もしています。レーザーだとファイバー全盛ですが、他のレーザー種も出ていて、他方で安値攻勢をかけるアジア製の追い上げなど…

梅森 そのあたりはアンテナをしっかり張って価値ある提案をしていきたいですね。○○機械を〇台売るのも非常に大事ですが、ここは金属3Dプリンターに置き換えた方がいいなどと提案を深めたい。トータルに最適解を出すことがお客様にも我々とっても、長い目で見てプラスだと思います。

――モノ売りからコト売りへということでしょうか。

梅森 各メーカーさんがもつストロングポイントを「足してつなぐ」ということです。質問に出た海外勢の追い上げも注視し、彼らが新しいメリットを生みだせるのなら注目していきたい。まだ生まれて1年と少しの部門ですが、鍛圧板金分野で内需シェア10%超えに目標を置いています。近い将来はMES(※2)の提案なども行いたいと考えています。


※1)塑性加工…材料に力を加えて目的の形状を得る加工法の総称。

※2)MES…製造実行システム。生産計画~生産実行~進捗管理~品質管理~データ分析などをリアルタイムで行い、QCDの最大化につなげるシステム。



(日本物流新聞2025年12月25日号掲載)