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インタビュー

大有 営業部 部長 正野 浩一 氏

投稿日時
2025/12/10 14:32
更新日時
2025/12/10 14:39

『困ったら大有』が浸透
引き合い好調、粉体ほぐし自動化装置も投入

オーダーメイドのマテハンを得意とする大有の引き合いが好調だ。特注の比率は標準品の4倍と際立っており、必要な設備を製作、あるいは仕入れ品を調達して工程を繋ぎ合わせるエンジニアリング力に強みがある。さらにこのほど固化したフレコンバッグ内の粉体を全自動でほぐす新製品「ハードブレーカ」を発売した。営業部の正野浩一部長に新製品の特徴と合わせて話を聞いた。

――オーダーメイド(特型)のマテハンに強い印象です。特型品のボリュームはどのくらいですか。

「今は自社で製作する製品の約8割を特型が占めています。標準品は2割ほどですね」

――特型が標準品の4倍、とは業界でも珍しい。

「さらに言えば我々は他社製品を取り扱える体制も整えており、仕入れ品のボリュームもまた大きい。自動倉庫や垂直搬送機など他社製も含めたマテハン機器を総合的に扱い、繋ぎ合わせます。マテハンは各社得意な領域があります。大有に相談いただければそれぞれの分野に長けたメーカーを探して相見積もりを取り…という手間を省き、各社の長短を踏まえた一貫対応が可能です。(商社としては)『もし自分が買うなら』という目線で、性能も価格も最適な製品を選びますよ。その上で世の中に無い物は自分たちで作りますから。これが大有の武器であり、なかなか稀有な存在だと自負しています」

――マテハンは業界や工程ごとにメーカーの得意分野が細分化されているので、それをまとめてフラットな目線で提案できる存在はユーザーからすると便利です。

「本当にその通りで、例えば医薬が得意なメーカーは医薬に、化学が得意なメーカーは化学に特化して活動することが多く、しかもそれらがほぼ『縁切り』されている。従って化学業界でクリーンルームが必要になっても、マテハンメーカー側にノウハウがない事態に陥ります。我々はそこへ医薬が得意なマテハンメーカーの製品を、という具合に業界を横断し最適なマテハンを届けるパイプ役になれる。この立ち位置は大きいです。専門性が必要で営業の育成に時間がかかるのが難点ですが、結果的に鍛えられた人材揃いだと思います」

――忙しさは。

「以前は困りに困った末、言伝をたどって大有を探し当てるお客様が大半でした。ただ最近はオーダーメイドのイメージが定着したのか早々に声がかかるように。“ドラム缶の大有”の印象から“困ったら大有”に転じたのを強く感じます。そこへ人手不足と安全意識の高まりが相まり、今は非常に多くの引き合いをいただく状況に。とはいえ1件ずつ丁寧に作り込みたいので、キャパシティと特型の折り合いが課題です」

■もうバットでは殴らない

――そんな中、フレコンバッグ内の固化した粉体を全自動でほぐす「ハードブレーカ」を発売しました。

「海外から輸入する粉体材料は吸湿や積み上げ保管のために内部が固化しやすく、人が野球バッドで叩いたり、フォークリフトで落下させるなど荒っぽい手法でどうにかほぐしています。ただ特に固化しやすい塩系の材料はほぐす際に『バキバキバキ』とものすごい音がするほどで、危険で負担の重いこの作業をどうにかなくせないかと相談が寄せられていました。そこで10年以上前にスイッチ操作により半自動で固化した粉体をほぐす『フレコンバッグブレーカ』を発売、継続的に注文の来るロングヒット商品になったんです。ただ昨今は人手不足。連続で全自動かつ高速に解砕したいとの要望が強まり、ハードブレーカの開発に至りました」

――仕組みと対象の粉体は。

「まずはコンベヤにフレコンバッグをセット。そこから挟み込むように二面から一気に圧力をかけ、反転装置で向きを90度変えて再び力を加えてほぐします。ユーザーの求める『ほぐれ具合』でほぐすレシピも変わり、圧力や回数はテスト次第です。直径1000㍉×高さ1000㍉、1000㌔までのフレコンバッグに対応し、ナトリウム系原料や尿素、マグネシウムなど幅広い粉体を扱えます。また自動倉庫やAGVと組み合わせれば粉体ハンドリングの全自動化が可能に。私の知る限り類似品はほぼありません」

――需要は多そうですが類似品がないのはなぜ。

「(ニーズの存在が)見えていなかったのでしょう。誰もが『こんな作業をしているのはウチだけだろう』と諦めながらバットやフォークリフトでほぐしていた。それにメーカーも気付きませんでした。カスタムを是とする我々が要望を受けて開発し、それを何度か繰り返すうちにこうして標準的な商品になった。オーダーメイドが得意な大有だからこそ開発できた製品です。今まで手掛けた特型品の中にも、同様に標準化し発信すれば需要が見込める製品はまだあると思います。ですから今後にご期待ください」

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ハードブレーカは全自動で固化したフレコンバッグの中身を解砕する




商社から見た大有

山善 産業ソリューション事業部 名古屋営業部長 岡田 一之 氏


三品や化学業界はいわゆる“鉄を削る業界”とまったく荷姿が違う。そうした業界で流通する専用容器やパレットの搬送・反転・荷役をまとめて担い、しかも防爆も含めて対応できるのが大有さんです。防爆対応の電気工事は対応不可のメーカーが多い中、自社製品だけでなく様々なメーカーの製品も入れながら設備全体をまとめ上げられる存在は非常に希少。唯一無二と言って良いかもしれません。

またお客さんの要望を幅広く聞き入れてくれる点も大きい。助かりますし、お客さんの「困りごと」からスタートできるので色々な提案が持っていけます。30年来の付き合いですが、過去とあるユーザーにドラム運搬台車を複数台納入する案件がありました。安全仕様が今ひとつ不明確でしたが、大有さんが「ここはハネ防止でアクリル板を付けましょう」「キャスターはこの仕様で」とスラスラ決めてくれました。他にも寸法制限が極めて厳しい中、垂直搬送機とドラム運搬車の難しい移載工程を成立させてくれた例もあったと聞きます。

三品業界は我々がより深掘りせねばならない分野です。また三品以外にもデバイス製造など、クリーン環境が必要な現場は増えています。ぜひそうした場面での協力を今まで以上にお願いしたいです。



(日本物流新聞2025年12月10日号掲載)



(日本物流新聞2025年12月10日号掲載)