1. トップページ
  2. インタビュー
  3. 大阪ラセン管工業 小泉 星児 社長

インタビュー

大阪ラセン管工業 小泉 星児 社長

投稿日時
2025/11/28 10:45
更新日時
2025/11/28 10:50

大阪・関西万博に出展
日本最古のフレキ管メーカーが挑む未来
「折り畳める」「超極細」、先進産業に将来性

まさに人が人を呼び込むように、終幕につれて熱気が高まった大阪・関西万博。閉幕までの最終週に、大阪ヘルスケアパビリオンのリボーンチャレンジに出展した大阪ラセン管工業(大阪市西淀川区)。1912年創業と日本最古のフレキシブルチューブとベローズのメーカーでありながら、「柔らかい金属」で産業を支える独創的かつ新たな製品を、飽くなき探究心で追求している。出展を通して得たものを小泉星児社長に聞いた。

畳める金属製ベローズを手にする小泉星児社長

――出展内容について改めて聞かせてください。

「まずフレキシブルチューブとは自在に曲げて使える気密性のある金属製チューブで、インフラから半導体製造装置の真空配管まで幅広く使われています。蛇腹形状の金属の成型加工を伴うため極細化は技術的に難しく、一般的に内径3㍉メートル程度。当社は最小径1.0ミリメートルの超極細径フレキシブルチューブ『ナノフレックス』を出品しました。医療分野で求められる極細径チューブは樹脂製が主ですが、管が細くなるほど医療分野での可能性が広がると開発しました。ガイディングカテーテルなどに使う樹脂製チューブよりも耐久性が上がります」

「もう1製品、『畳める』金属製ベローズ『ORIGAMI』を会場で初公開しました。伸縮させて使う金属製ベローズは縮めても力を解放すれば元の形状に戻りますが、縮んだ状態を維持し『畳める』点が特長。伸ばすと倍ほどの長さで柔軟性も上がる。機器同士を繋ぐために自在に伸縮し、使わない時はコンパクトになり宇宙開発分野の機能面を広げる製品と期待しています。限られた空間を有効活用する省スペース化と利便性を兼ね備え将来性が詰まった開発品です」

――超極細径フレキシブルチューブは医療、畳めるベローズは宇宙分野に。

「有望と感じていますが、特にこちらから分野や用途は限定しません。求められる産業に自由な発想で使ってもらいたい。ナノフレックスは細さを重視する医療へ、とまず考えました。なお2019年に販売開始した、内径1.6ミリメートルの『マイクロミニフレックス』はギネスに挑戦中です。ORIGAMIは宇宙だけでなく深海といった空間でも使用されたら面白いなと思っています」

大阪ラセン管様_極細フレキ.jpg

超極細径のフレキシブルチューブ「ナノフレックス」

――製品として上市するタイミングは。

「超極細径フレキシブルチューブは来年春には。ORIGAMIは径のラインナップを増やし、性能試験などして1年以内には世に出したいです。万博は終わりましたが、これからが本番です」

――万博出展の率直な感想は。

「効果測定は難しいですが、多くの人に見ていただいた点では非常に充実し、満足しています。一般の方があまり知らない製品ですので、血管内を通るフレキシブルチューブや、宇宙空間での想定用途をVR空間で映像経験として表現しました。会場で来場者の反応を見ましたが、代わる代わるブース内に立って、楽しんでくれる様子を目にしました」

――技術革新の契機としても。

「やはり万博は大きなきっかけでしたね。出品条件が『まだ世の中にないもの』ということで、社の力を合わせて技術力を上げようと奮起し、新製品を生み出す原動力になりました。初めてエンドを決めて開発した製品で、それも2製品も生み出せた。企業のマイルストーンとして、開発に携わった社員が後々も『万博に出した製品』と思い入れを持ってくれる点でも嬉しいです」

――社内での変化は。

「若手の育成としても万博は有効に働きましたね。印象的なのは30歳ほどの若手社員の活躍。社員の能力も上がりました」

「畳めるベローズの原型でもある超柔軟・長寿命フレキシブルチューブ『ワームフリーフレックス』は国際宇宙ステーション(ISS)『きぼう』の実験装置に採用されましたが、PR動画用にワームフリーフレックスをきぼうに乗せて宇宙空間で飛ばして撮影しました(きぼう有償利用制度のCM公募により)。ブースの製品説明欄のところに、QRコードを載せて密かに展示していました(笑)」

大阪ラセン管様_VR空間.jpg

大阪・関西万博のヘルスケアパビリオンの出展ブース。VR空間の没入感でフレキシブルチューブの大きな可能性を表した



(日本物流新聞20251125日号掲載)