インタビュー
新コスモス電機 インダストリ営業本部 東京インダストリグループリーダー 高橋 章郎 氏
- 投稿日時
- 2025/07/25 11:43
- 更新日時
- 2025/07/25 11:45
防爆エリアの熱中症ゼロを目指すファン付きウェア
ガス検知器のリーディングカンパニーである新コスモス電機は6月24日、防爆ファン付きウェア「AIR FLOW PRO(エア フロー プロ)」を発売した。防爆性能「ⅡBT3」に国内で初めて対応した本製品について、新コスモス電機・インダストリ営業本部の高橋章郎東京インダストリグループリーダーに聞いた。

――防爆対応のファン付きウェアを新たに出されました。
「AIR FLOW PRO」は、小型のファンを搭載したウェアで、国内で初めて防爆性能「ⅡBT3」に対応したことが特長です。これまで活用が難しかった環境でもファン付きウェアが使えるようになります。
――貴社として衣料分野への進出は初ですか。
そうです。1960年の設立以来、ガス警報器・ガス検知器以外の製品はほとんど扱ってきませんでした。数年前から防爆エリアで働くお客様から夏の暑さの困りごとをお聞きしており、「防爆エリアでの熱中症をゼロにしたい」という想いから開発に着手しました。
――防爆製品は他社からも出ていますが何が違う。
ⅡBT3に対応した点が大きな違いです。これまでの製品は比較的着火しにくいガス種を扱う分類エリア「ⅡA」への対応でしたが、本製品は一酸化炭素やエタノール、エチレンなど比較的着火しやすい分類エリアⅡBに対応し、石油プラントや化学工場など活用範囲が広がりました。
――対応にあたりどのような工夫をした。
ガス検知器でも用いられる「本質安全防爆」構造を採用しています。これは「爆発を起こすような火花や熱を発生させない」という考え方で、電気回路に流れる電流などを極めて低いレベルに抑えることが重要になります。一方で、ユーザー様にとっては一定水準以上のファン性能がなければ意味がないので、安全性と機能性のバランスに当社ならではの知見を施しています。
――こだわりのポイントは。
現場での使い勝手です。風量「強」で約8時間の連続作動が可能なので、仕事中のバッテリー交換は不要です。一方で、バッテリーの質量は200㌘と軽量に抑え、作業性を高めました。衣類側にもファンを吊り下げる構造を採用し、ファンの重さや身体への密着を防ぐ工夫をしています。
――お客様からの反応は。
6月1日に職場での熱中症対策が義務化された影響もあり、発売以来、多くのお問い合わせをいただいています。これまで取引のなかったお客様からも関心をいただき、順調な滑り出しです。
――今後の目標などがあれば教えてください。
防爆エリアでのファン付きウェア市場は昨年始まったばかり。市場規模などが明確には把握できていません。今年は、お客様の反応を調査しながらどういったニーズがあるのかしっかりと把握していきたいです。また、より引火しやすい分類エリア「ⅡCT3」は、新エネルギー分野で活用が期待される水素などを含みます。今後の技術開発により対応を検討していきたいと考えています。
ファンやバッテリーユニットだけでなく、ウェアにもこだわった。新コスモス電機らしいガス検知器固定用ループや効率的に気化熱を排出する首元の立体構造、保冷剤を入れられるスペースなどを用意。カラーも太陽光のエネルギーを反射しやすいグレーを採用した。
(日本物流新聞2025年7月25日号掲載)