インタビュー
リモートロボティクス 代表取締役社長 田中 宏和 氏
- 投稿日時
- 2025/05/26 14:05
- 更新日時
- 2025/05/26 14:10
食品業界の人的課題を遠隔操作で解消
ロボットの異常をリモートで把握・復旧
世界最大級の食品製造総合展「FOOMA JAPAN 2025」に出展
深刻な人手不足を理由に、食品業界でもロボットなどの自動化システムの活用が進んでいる。一方で、自動化システムが現場に新たな課題を持ち込んでいることもあるようだ。2021年に川崎重工業とソニーグループの合弁出資で設立したリモートロボティクスは、遠隔操作プラットフォームサービスで自動化システムと現場の隙間を埋める。同社・代表取締役社長の田中宏和氏に、食品業界で自動化システムの遠隔操作が求められる理由を聞いた。

――FOOMAで提案する貴社の遠隔操作プラットフォームサービスについて教えてください。
当社は生産年齢人口の減少や人手不足などの喫緊の社会課題と、働きたくても働くことのできない人がいる現状を、新しいワークスタイルや働き方を提案することで解消することを目指しています。そこに向けて、ロボットをはじめとする様々な自動化機器・システムに関する遠隔操作のプラットフォームサービスを提供しています。
――具体的には。
ロボットなどの自動化システムを遠隔で操作できるようにするクラウドサービス「Remolink(リモリンク)」を含め、4つのサービスを提供しています。リモリンク導入の前段階で活用いただく開発者向けのソフトウェア「Remolink Tools」と開発の伴走支援サポートサービス、運用フェーズで活用いただくクラウドサービスリモリンクと遠隔操作業務を行う人材のアウトソーシングサービスを提供しています。
――なぜ食品業界で遠隔操作が求められている。
生産人口の減少により、食品業界でもロボットなどの自動化システムへの関心が高まっています。特に協働ロボットやAGV・AMRなど人と一緒に作業する機器の活用が進んでいます。人とロボットが同じ環境で働けるのはメリットでもありますが、距離が近いがゆえに現場作業者とロボットが接触してシステムが停止してしまうケースが見られています。食品分野はロボットに不慣れな方も多く問題が発生しやすい環境にあることに加え、ロボット人材も不足しているため、一度問題が発生すると生産がストップしてしまったり、一部の従業員への負担が大きくなってしまうことも多いです。
――リモリンクで課題を解消できる。
リモリンクは異常を検知したら担当者に通知をし、担当者は遠隔から状況を把握・復旧などの処理を行うことが可能です。自動化は進めていきたいが、生産や現場への影響は増やしたくないというお客様にとって、自動化システムを補完するための一つの手段として導入が進んでいます。食品分野ではないですが、ダウンタイム短縮を目的とし、現在リモリンク導入に向けた取組みを行われている企業さんもいらっしゃいます。
――他の遠隔操作システムとの違いは。
当社のシステムは、すべての動作を遠隔で操作するのではなく、ロボットなどが自動で行えるところは自律的に動かし、対応できない、迷ってしまった、停止状態から復旧できないなど緊急時に人間が遠隔から指示・操作することで、自動化システムをサポートできる点が特徴です。また、メーカー問わずサービス対応しているため、複数のメーカーのシステムを活用している現場でも、同一のユーザーインターフェースで操作できる点も評価いただいています。
――FOOMAへの意気込みを聞かせてください。
遠隔操作のメリットを感じていただくには、実際に体感いただくのが一番大事だと思っています。会期中はビッグサイトと当社の品川オフィスをネットワークで繋いで、遠隔操作を体験できるライブデモンストレーションを常時展開しようと思っています。まずはリモリンクに触っていただき、少しでも多くの方に遠隔操作のメリットについて知っていただきたいです。
Remolinkの活用イメージ
(日本物流新聞2025年5月25日号掲載)