インタビュー
柳瀬 営業本部 機工部 部長 森 清 隆 氏
- 投稿日時
- 2025/04/28 13:05
- 更新日時
- 2025/04/28 13:43
6ミリシャンクの軽量コードレスサンダーが好調
工具と研磨材の総合提案
『ケンマのヤナセ』がパワーツールで存在感を高めている。昨年発売した6ミリシャンクの「コードレスフラップサンダー」は、軽さと絶妙なサイズ感が奏功し売れ行きが好調だ。あえて回転数を落とすことで磨きに適した低速サンダーなど、研磨の知見を活かした工具を開発し、研磨材もトータルで提案する姿勢が成長を呼んでいる。「今後さらに工具を伸ばしたい」と機工部の森清隆部長は意欲的だ。

――6㍉シャンクのコードレスフラップサンダーを昨年発売しました。このサイズのサンダーは珍しいとか。
「φ100のディスクを装着するアングルサンダーは大手も手掛けており、すでに数多くが出回っています。我々の研磨材はφ100のディスクに次いで6㍉シャンクのフラップ系の需要が多く、そこに焦点を当ててコードレス+軽量化の提案ができないかが開発の出発点でした。全長280ミリ、重量830グラムと知る限りクラス最軽量。有線で近いサイズのサンダーは他にありますが、一般的には1キロを超える重さです。砥石や超硬バーなど荒研削系の研磨材とはそこまで相性が良くない反面、軸付きフラップホイールやバフ系を使った磨き作業に非常にマッチします。毎分4500回転と低速ですが、ペーパーを使った磨きやバフ研磨は低速の方が仕上がりが良い。高回転だとワークに焼けや歪みが生じますから」
――軽さが活きる場面は。
「製罐は溶接で組んだ大型ワークに人が入り込み、工具を頭上に掲げて磨く場面が珍しくありません。従来のサンダーはコードが邪魔で腕も相当の負担がかかりますが、コードレスフラップサンダーは長時間作業でも疲れづらい。ちょっとした作業のたびに電源を準備する…という煩わしさから解放されます。塗料はがしや溶接ビード、スラッグ、黒皮の除去、バリ取り、サビ取りなど用途は様々。材質もステンレス、アルミ、鉄、樹脂…と限定しません。LEDライトで奥が見えづらいワークも照らして繊細に作業できます」
――売れ行きは。
「非常に評判が良く、大ロットで購入いただくユーザーも増えています。パワーツール自体の売上比率も年々伸長し、今では柱の1つになりました。先端の消耗品を柳瀬で、パワーツールを工具メーカーで購入するユーザーにとっても、ソフト(研磨材)とハード(工具)をセットで展開する『研磨の総合提案』に魅力を感じて頂いています」
――貴社の工具を選ぶことで、研磨材の能力を引き出せるなどのシナジー効果は。
「あると思います。例えばφ100のアングルサンダーは通常1万2000~3000回転ですが、我々は7600回転の低速サンダーを出しています。これは我々の得意なバフ系の研磨材に適した回転数で、綺麗に磨ける。発売から5年が経ちますがリピートが多く好評です」
――今後はより工具に力を入れますか。
「研磨材と同じくらい主力商品として注力し、伸ばしたいですね。もちろん工具が伸びれば消耗品が伸びる相乗効果もある。かなり種類が増えたので工具専用カタログも制作しました。工具と対応する研磨材を集約しています。工具探しもさることながら、やりたい研磨に最適な研磨材の情報にたどり着くのはより難しい。このカタログを使うことで工具と研磨材を一発で選定できます」