インタビュー
碌々スマートテクノロジー 取締役社長 矢野 雄介 氏
- 投稿日時
- 2025/03/17 09:00
- 更新日時
- 2025/03/17 09:00
過去最高レベルの受注獲得 生成AIが需要を牽引
ミクロン台の加工精度を要求される微細加工において圧倒的な支持を誇る碌々スマートテクノロジー(以下、碌々ST)。デバイスの小型化に伴い、切削加工にもミクロン台はおろかサブミクロンの精度が求められている。そうした需要に応え続ける同社の矢野雄介社長に、直近の需要動向と加工トレンド、同社の考える「微細加工の自動化」について語ってもらった。

——直近の業況はいかがでしょう。
「上半期の受注はいまひとつ伸び悩みましたが、昨秋あたりから台湾や韓国、中国といった東アジア諸国における半導体関連、特に生成AIがらみの案件が本格的に動き出すとともに受注が一気に増えましたね。特にJIMTOF期間中は活発な引き合いがありました。あれほど手応えを感じたのは入社以来はじめてでした。現在もかなり高いレベルでの受注が継続しています」
——半導体や生成AI向けのどのような加工で活用されているのでしょうか。また貴社の加工機が選ばれる理由は。
「主に検査用治具の穴あけ工程に使われています。狭小ピッチの穴あけは当社の微細加工機が最も得意とするところです。機械だけではなく当社で提案をさせていただいている穴あけに関する加工ノウハウも含めて難しい加工が安定して出来るようになるという点で選ばれているのではないでしょうか」
——同様の加工が出来るライバルは。
「一部、レーザーによる加工を提案している海外メーカーもあります。レーザーの方が有利な加工もありますが、狭ピッチ対応、歩留まりや加工速度といった生産性の部分で当社の微細加工機による切削加工にメリットがあるケースもあります。今後はレーザー加工を行っているユーザーに対しても、切削のメリットが出る領域を広げる提案をしていきたいと思います」
——ミクロン台の加工となると加工機だけではなく、切削工具やツーリングも含めた加工提案になると思います。
「日本国内の切削工具メーカー様やツーリングメーカー様にご協力頂きながらお客様に最適な加工を提案しています。現状は海外からの引き合い問い合わせが多いのですが、そちらにも超高
難易度な要求に対しては、日本のメーカーの工具やツーリングを推奨しています。現地にも地場のメーカーがあり、価格が安価というメリットはありますが、当社機での加工に求められる要求を安定して加工していくためには日本製であったり、日本で特定加工用にチューニングしたものが勝ると思っています」
■精度を出すための「自動化」
——昨年のJIMTOFでは様々な自動化提案をされていました。加工時間が比較的長くなりがちな微細・精密加工において自動化は果たして必要なのでしょうか。
「省人化のみを考えた場合は自動化の必要が無いケースもあると思います。ですが、当社の掲げる微細加工の自動化は『精度を出すため』のものです。ミクロン台の加工は人的要因で加工精度が変わってしまうケースも少なくありません」
——ロボットによる位置決めは微細加工が求める領域には程遠い精度かと思います。
「JIMTOFで出展した、協働ロボットによるワークの表裏加工の自動化デモンストレーションですね。あちらは加工時のワークの位置を1ミクロンレベルの精度で固定できるよう、治具と芯出し測定に工夫を凝らしています。これまで微細加工、高精度加工はワーク搬送の自動化が難しいと言われていましたが、昨今では精密治具とロボットハンド、機械側の測定、補正を活用した自動化ソリューションを行うことで微細、高精度加工における自動化も可能となると思っています」
——参考出展されていた複合加工機やワンランク上の追い込み加工が出来る「COSMOS」も自動化を意識された提案ですね。
「ワークの脱着が精度に大きな影響を与えてしまうのが微細加工です。コンセプト機として出展した複合加工機は、切削から研削までをワンチャッキングで行うことで精度を確保できますし、工程集約にも繋がります。『COSMOS』は機上でワークを洗浄し、測定を行い、さらに追い込み補正をかけます。これによりワークを着脱せずに追加工が行えます。近年登場した超低接触圧のタッチプローブを活用すれば、ワークへの打痕も最小限に留められます」
JIMTOF2024で披露した協働ロボットによるワーク表裏加工の自動化
先端産業のニーズを掴む「顧客密着型」営業
スマートフォン黎明期の大口受注獲得から今日の生成AI需要の波をキャッチするなど、先端産業のニーズを的確に捉えている碌々ST。微細加工機という大きな強みもさることながら、やはりユーザーの課題に寄り添う「顧客密着型」の営業スタイルが奏功している。矢野社長は「業界事情に精通した『オタク営業マン』が活躍してくれています」と目尻を下げる。
(日本物流新聞2025年3月10日号掲載)