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インタビュー

常陸放送設備 代表取締役 田村 弘 氏

投稿日時
2024/12/11 13:24
更新日時
2024/12/13 08:50

27年末で蛍光灯の製造・輸出入が禁止に

昨年、スイスで行われた国際会議で、2027年末までに蛍光灯の製造・輸出入が禁止されることが決定した。国内メーカーも同年で生産をやめることを発表しており、2、3年内にLEDへ切り替えることが求められている。一方で、駆け込み的な急激な需要の高まりによって、約2億台もの照明が不足するといった試算もある。本問題に危機感を示す常陸放送設備の田村弘代表取締役に話を聞いた。

駆け込み需要でLEDが2億台足りなくなる?

田村弘代表取締役は現在、職業能力開発短期大学校「東京建築カレッジ」で木組みなど建築の基礎を学んでいる。宮城県石巻市出身であることから「災害が起きた際の仮設住宅は、お年寄りにとって終の棲家となるケースが多い。少しでも良い住環境をつくれるようにしたい」と話す。

常陸放送設備は、旧日立電線にいた田村弘代表取締役の「日立市にFM放送局を創りたい」という思いから始まった。現在は田村代表の経験を活かし、発電所などで使用される超高圧電力ケーブルの敷設や光ファイバーケーブルの設置といった国内外の大規模な工事から、オフィスや工場の照明の交換工事などまで幅広い電気工事に対応する。

同社をまとめる田村代表が懸念するのが「照明の2027年問題」だ。昨年10~11月にスイス・ジュネーブで行われた国際会議「水銀に関する水俣条約 第5会締約国会議」において、2027年末までに蛍光灯の製造・輸出入を禁止することが決定した。それに合わせて、70年以上蛍光灯の生産を行ってきたパナソニックも生産終了を発表し、政府も30年までに照明ストックの100%LED化を目標に掲げるなど、外堀は埋まっている状況だ。

一方で、(一社)日本照明工業会の22年の調査によると施設用照明非住宅(屋内用)のストック約7・6億台の内、既にLED化が済んでいるものは57・8%と4割超が未だLED化できていない。加えて、同工業会に所属するメーカーの年間の供給台数を鑑みると、毎年供給台数分いっぱいにLED化が進んだとしても27年以降に約2億700万台もの未交換照明が発生する可能性さえ示唆されている。

さらに、田村代表は「駆け込みによる急激な交換需要増に対応できるほど電気工事士は潤沢ではありません。また、オフィスや工場での工事は家庭で電灯を入れ替えるのとは訳が違います。稼働時間外での切替や意匠性などが求められると、さらに移行は難しくなります」と警告する。

蛍光灯とLEDでは何が違うのか。蛍光灯が雷のようにガラス管の中に封入されたガスと電極から放たれた電子のスパークによって発光しているのに対して、LEDは半導体チップ上でのエネルギーの変換によって発光している。そのため、蛍光灯では必要になる安定器がLEDでは必要ない。

「安定器を付けたままLEDに切り替えること自体は可能ですが、安定器のところで電気を熱に変換してしまうので、1割程度のロスが発生し続けることになります。家庭などでは問題になりませんが、オフィスや工場ともなると数十、数百灯もの照明を使用しています。全体で考えると大きなロスですので、基本的にLED化する際に安定器は全て取り外す作業を行うのが一般的です」

他にも、給電箇所の違いからケーブルの取り回しを変える必要があったり、改修後の蛍光灯の産廃処理など、「想像いただく以上に手間のかかる作業」である。

「今後、LEDが普及し始めた2010年代に導入いただいた企業でリプレイス需要も高まると見ています。最近は照明メーカーも簡単に交換できる製品を出していますし、電設向けの作業工具も省力化しやすいものがどんどん出て来ています。我々もそうした最新の製品情報を商社さんからいただきながら、段取りをしっかり行って現場での施工時間を短縮するなど工夫はしています。それでも限界はあると思うので、LEDへの移行がこれから必要な方は早め早めの計画をオススメします。導入後の省エネ効果などは間違いないので」


Profile


常陸放送設備株式会社
東京都足立区/32人

田村弘代表取締役が、ラジオ局が無かった茨城県にFM放送局を立ち上げるために創業。現在は超高圧電力ケーブルの敷設技術を用いた電設だけでなく、消防設備関連の工事も手掛ける。また、里子支援や日立市に安全講習スペースを設けるなど、「次の世代の人たちに電設業界や建設業界の面白さを知ってもらいたい」と技術継承にも力を入れる。


(日本物流新聞2024年12月10日号掲載)