インタビュー
ロブテックス モノづくり事業本部 技術開発部 商品企画チーム 担当責任者 管田 剛史 氏
- 投稿日時
- 2024/06/25 14:48
- 更新日時
- 2024/06/25 14:55
次世代エアーリベッター登場、使いやすさに正面から挑み形に
軽さを突きつめ、ロングセラーとなったロブテックスのエアーリベッター「R1A1/R1A2」。それから十年超を経て、いよいよ次世代エアーリベッター「R2A1/R2A2」が登場した。企画を担った管田剛史氏の言葉を借りれば「むやみにカタログスペックを追い求めるより本当に使いやすいツール」を志向した商品。開発で注力した点を詳しく聞いた。
ロブテックスが次世代機と位置づけるエアーリベッター「R2A1/R2A2」は、やや異色の工具と言える。男性を意識したデザインが大半を占めるパワーツール市場にあって、女性デザイナーの知見で角の取れた優しいデザインを採用したのだ。
もちろん理由がある。技術開発部商品企画チームの担当責任者・管田剛史氏が視察で目にしたのは、女性ユーザーが想定と違うエアーリベッターの使い方をする光景だった。「トリガーを人差し指でなく中指で操作されていました。すると本体の重さを手全体に預けられて疲れにくいようです」。こうした潜在ニーズは速さや軽さなどのスペックを上げるだけでは解決できない。そこで同社は開発にあたり、現場の声から必要な要素をイチから積み上げ直す道を選んだ。
R2A1/R2A2は全体が優しいカーブを描く独特のデザインだ。手に持つとわかるが、自然と手全体に重さがかかる重心バランスのためグリップを握り込むような余分な力が必要なく、角が手に食い込むこともない。単純な軽さなら軽さに特化した従来機に分があるが「取り回しても疲れないのはR2A1/R2A2」だと管田氏は言う。「持った瞬間は『あれ、ちょっと重くなった?』と仰る方もいます。ただ使うと反応が変わる。1度使ってもらえば期待通りの反応を頂けています」
数値的なスペックを追求する傾向が強い動力工具。数値以外の使いやすさに注力するのは勇気が必要ではなかったかと聞くと、管田氏は「確かに勇気は要りましたね」と笑った。「ただ、ユーザー目線に立つと大切なのは重いか軽いかより、使っていて疲れにくいかどうかです。特にエアーリベッターは多いと1日千本以上打つので、些細な継ぎ目など数字に現れない細部が気になってくる。数十㌘軽くしたりコンマ数秒速度を上げるのも重要ですが、それよりユーザーの声に寄り添うことで生まれる価値を重視しました。もちろんスペック的な命題もクリアしたうえで、むやみに数値だけを求めず本当の使いやすさを目指しました」
昨年発売した軽量のR2A1は広い場面で、今年6月21日発売のハイパワーモデル・R2A2はφ6・4など太いリベットを使う現場で活躍する。特に太いリベットを打つ際は反動も大きく、R2A2も本体の剛性感・安心感にこだわったという。「多少ラフに扱っても大丈夫」と管田氏もタフさに太鼓判を押す。
シール性を高め油漏れを激減させたのもユーザーの「メンテナンスが手間」という声からだ。100万回の動作でもストローク減少量を0・2㍉以下に抑制。オイル補給の回数を大きく減らす。消耗品であるジョーを交換しやすいようフレームヘッドを工具レスで外せるようにもした。
「現時点でのロブテックスの最適解」というR2A1/R2A2。「ぜひ使ってほしい」。管田氏はそう力を込めた。
(写真=軽量のR2A1(手前)とハイパワー仕様のR2A2(奥))
(2024年6月25日号掲載)