インタビュー
伊東電機 伊東 徹弥 社長
- 投稿日時
- 2024/02/27 09:53
- 更新日時
- 2024/02/27 09:57
MDRを駆動源にモジュール開発
コンベア駆動用モーターローラ(MDR)は「マテハンの万能細胞」と位置付ける伊東電機の主力商品だ。MDRを駆動源としたマテハンの機能別モジュールを組合せ、現場のスペースに合わせて手軽に自動化・省人化を実現する「idPAC」や、2月29日から3月1日に愛知県の刈谷市産業振興センター(あいおいホール)で開催されるプライベートショー「id-Fair」について伊東徹弥社長に話を聞いた。
「手軽」に仕分け自動化
――パワーモーラ(MDR)の特徴は。
伊東 直流電源24Vブラシレスモータを内蔵したコンベア駆動ローラであるMDR(モータ・ドリブン・ローラ)は、米国郵便公社(USPS)での標準採用をきっかけに世界各地のネット通販ロジスティックスを中心に大きく発展を遂げました。搬送の必要に応じてMDRの駆動を止めることができるのが特徴です。コンベア全体を動かすのではなく搬送に必要な時だけ搬送に必要な場所を駆動させるので消費電力を大きく下げられ、脱炭素につながります。条件にもよりますが、ひとつの大型動力でコンベアラインを構築したシステムに比べ多くの場合60%プラスアルファの電力削減が可能です。またMDRは、低推力(75N以下)のモーターですので、安全に人と協働ができる自動化システムの構築ができます。
――2024年問題にどのような役割をはたすか。
伊東 2024年問題では、トラックドライバーさんの負担軽減にもつながる、工場・物流センター内の仕分け作業など、荷物を積むまでのロスタイムを如何に少なくするか、と言った課題について、我々のMDR式マテハンで貢献していきたいです。MDR式マテハンは大掛かりな重厚長大システムではなく、もちろん軽薄短小システムでもなく、両者の良い点をさらに進化させた「柔(柔軟性)拡(拡張性)短(短工期)省(省エネ)【じゅう・こう・たん・しょう】」システムです。今まで人手で行っていた作業を、各現場にフィットした最も手軽な方法で自動化・省人化します。
――モジュール化というのがカギになってくるのでは。
伊東 パワーモーラ(MDR)を駆動源とし「運ぶ」「仕分ける」「揚げる」などのマテハン機能別のモジュールをもって自由自在につなぎ合わせることができるコンベア
構築モジュールプラットフォーム「idPAC」で劇的に簡単にラインが構築できます。またパソコンの画面上で「Point and Click」で誰にでも扱えるものにしています。画面上のアイコンを動かして並べて繋げるだけでコンベアの設計が完成します。プログラム上で動かして問題がないか確かめてからパソコン上でレイアウトしたアイコンと同じ様にモジュールを並べてLANケーブルでつなぐだけ。
■愛知県刈谷市でプライベートショー
――idPACは設計者不足も解決できるのでは。
伊東 物流に関わる作業者だけが不足しているわけではなく設計者や専門の技術者も不足しています。制御付きモジュールなので専門の技術者を必要としません。導入後、ユーザー側でラインの配置を変えることはもちろん、出荷の午前と入荷の午後でライン構成を変えて運用することさえ可能です。
――自己診断機能も。
伊東 「id-PAC」にはライフカウンタ機能があり、故障する前に計画的なメンテナンスを実施できます。またMDRはネットワーク対応基板を接続しておりハイエンドなものはインターネットに繋がり、リモートで操作や監視ができます。トラブルが起こっても実は現場での簡単な作業で対応できることも少なくありません。我々が遠隔で状況を確認できるので、電話などで対応してすぐに再稼働できるケースも多いです。
――ユーザーの反応は。
伊東 新学社さんという大手教材出版社の草津物流センターへの導入事例ですが、同社はそれまで人手で仕分けしていました。より早く正確に運送業者に荷物を渡したいと複数のマテハン業者に提案を依頼したそうですが、ソーティングシステム設置には建屋の改築が必要とされたそうです。そんな大掛かりなことをすれば多額の費用と3年以上の時間がかかります。3年も待てないと悩んでいた折、ある展示会で当社のシステムを見て、お話を頂きました。我々ならidPACを用い、既存のスペースに応じた、コンベアシステムで解決できるとご提案し、しかもわずか3日で、既存設備の撤去から設置、そして稼働を完了しました。ユーザーの求めるものを実現した事例です。
――2月29日から3月1日に愛知県の刈谷市産業振興センター(あいおいホール)で開催される「id-Fair~POWER MOLLER 運び方改革展 in刈谷~」で実際にさまざまなソリューションを体験できる。
伊東 ハードウエアのご紹介はもちろんのこと、コロナ禍の間に培ったソフトウエア面の進化を見ていただきたい。高速化、運搬量の増加など処理能力がアップ、「止めない物流」を実現するソリューションなど多く準備しています。id-Fairの意味ですが、伊東電機のid、創造力、理想、工夫等アイデアのidを表しています。そして、当社のキーコンポーネンツ 、パワーモーラで運び方を改革し、働き方を改革するソリューションをご提供する場として名付けました。ご来場の皆様、展示会にご協力頂いたパートナーメーカー様を含め、皆様と新しいアイデアを創出する場にしたいと考えています。是非、ご来場ください。
idPACのイメージ図
(2024年2月25日号掲載)