インタビュー
フジ産業 営業部 部長 池田 智之 氏
- 投稿日時
- 2023/12/25 16:13
- 更新日時
- 2023/12/25 16:19
鉄向けの高トルク長尺加工機で存在感
オーダーメイドの長尺加工機を手がけるフジ産業。アルミ加工のイメージが強いが、実は鋼材加工を得意とする高トルク仕様のマシンも強い分野だ。高い価格競争力とエンドミルまで自作してしまう対応力がユーザーニーズを捉え、今や鉄向けの機械がアルミに次ぐ柱に育った。営業部の池田智之部長は「認知が広がればまだまだ成長できる」と意欲を見せる。
——得意のアルミ加工向け長尺加工機に加え、鉄加工向けの高トルク仕様機が好調とか。
「おかげさまで近年は継続して忙しく、鉄向けの高トルク仕様の長尺加工機もアルミに次ぐ事業の柱に育ちました。体感的にはアルミ向けと鉄向けが半々です。重く長い鋼材はハイエンドな機械でしか加工できない認識が強いのか、ある程度の企業規模でも設備導入を諦め手作業で孔あけを行う現場が少なくありません。しかし現場は人手不足で、残業も今までのようにはできない。またそもそも鉄向けの長尺加工機は市場でも数が少なく、形鋼以外も加工するなら選択肢はより限られます。そこへカスタマイズ可能でリーズナブルな我々の設備を提案すると、『まさにコレを探してたんだよ』とトントン拍子に導入が決まる例も多い。鋼材商や製罐板金業など幅広い業種でニーズに刺さっている手応えがあります」
——他社との価格差はどのくらいですか。
「肌感ですが大手工作機械メーカーの大型機と比べて3分の1程度、他社の鋼材加工機と比べても3~4割は安いと思います。鉄向けの機械は孔あけやタップ、切削による長孔や切り欠きが可能です。実は我々の機械は内製化率が抜群に高い。フレームとCNC装置以外はほぼ自社で担うレベルで部品も自ら加工します。これが競争力やカスタマイズ力の源です」
——カスタマイズに関して、エンドミルも自作すると聞きました。
「我々のユーザーは工作機械の導入経験を持たない方が多い。工具選定で悩まれる場合が多くエンドミルはそのユーザー向けです。加工内容に即したリーズナブルな刃物を提供し、推奨の加工条件も提示します。機械操作も簡単で、実行したい加工の絵を選び座標と寸法を入力するだけ。初めて工作機械を使う方も2日で操作を習得されます」
——アルミ加工のイメージが強いと思います。高トルク機の認知は進んでいますか。
「まさにそこが課題で、アルミ業界で知名度が高いぶん鋼材加工のイメージにつながりづらい。ただ知ってさえ頂ければ即導入につながる場合も多く、潜在需要は相当です。極端な話、我々の機械はボール盤を使っているすべての現場へ提案できると思っています。少ない投資で孔あけの省人化を果たしつつ加工の幅を広げられますから。逆に、『高価な五面加工機で行っている加工を我々の機械に代替しませんか』という提案も行っています。高価な加工機は付加価値の高い加工に回し、それ以外のちょっとした加工を我々の機械で行えば会社としてもプラスです」
——鉄加工の認知が進めばさらに忙しくなりそうですね。
「新しくしたばかりの工場もすでにかなりパンパンですが、そうなるように頑張りたいですね。長くて安い機械をオーダーメイドで作るのは、大手メーカーがやりたがらない3要素。我々は小回りが利くからこそそのニーズを拾えます。他にはない面白さのある企業だと自負しています」
鉄向けの高トルク仕様機が第二の柱に
(2023年12月25日号掲載)