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インタビュー

Mech−Mind 共同創業者 中国事業COO 代表取締役社長 楊 培 氏 
ピッキングと検査用の3Dカメラに特化

投稿日時
2026/03/31 09:20
更新日時
2026/03/31 09:28

ドイツ・ミュンヘン工業大学卒の技術者が中国で2016年に設立したMech-Mindは、産業用3Dカメラや画像処理ソフトを販売する(日本法人は22年設立)。3Dカメラは50以上の国・地域に1万7千台以上納入。この5年間はマーケットシェアナンバー1を維持する。この夏、新製品を投入する。

世界各国で増える自社拠点とパートナー拠点を紹介する楊培氏

――貴社の日本での売上高は非常に好調だそうです。

「去年は約50%アップしたので、今年の売上も去年に比べて35〜40%アップすると見ています」

――日本のロボット業界全体の成長率よりもはるかに大きい伸びですね。

「日本でのロボット出荷台数は年間約7万台です。当社の3Dビジョンの出荷はまだ年間1千台に達していません。これからの売上の成長率はまだまだ伸びると考えます。なぜなら中国ではロボット出荷台数の3%に3Dビジョンが使われていますから、この割合を考慮すると日本に3Dビジョンの市場は年間2500台くらいあると見ています」

――ただ、競合製品もあります。

「当社の強みは特定の分野にフォーカスし、アフターサポートは最も充実していると思います」

――特定の分野とおっしゃるのは。

「当社はピッキングと検査にフォーカスし、その分野の高機能で勝負しています。競合他社のなかには1000種類の製品を取り扱い、ありとあらゆる産業分野を対象にするところもあります」

――ヒューマノイドロボットや4脚ロボットも登場しました。貴社はこの動きに対応していますか。

「もちろん対応しています。中国においてヒューマノイドロボットを使うドイツの自動車用ベアリングメーカーなど向けにピッキングと検査用途で納入実績があります。その工場にドイツの首相が見学に訪れたと大きな話題になりました。安全性を考慮したAMRに載せたヒューマノイドです。二足歩行するタイプはダンスをしたりアクロバットな動きをしたりと製造用途でないものが多く、現在当社はそれらを対象としていません」

――貴社は産業用3Dカメラに特化し外乱光耐性やミクロン単位の高精度といったタイプの製品を販売しています。いま最も力を入れる製品は。

「バラ積みされたワークのピッキング用には力を入れており、さらに高精度かつ光を反射しやすい対象物でも認識できる新製品を6月末にリリースする予定です」

19面リレーインタビュー・Mech-MindP2(3DカメラULTRAM).jpg

3Dカメラ

――従来製品との大きな違いは。

「自動車業界に特化した板金モードを搭載し、対象物である板金の形状を高精細に捉えます。また、他社製では認識しづらい透明のワークをよく認識できるようなバージョンアップなどなど」

■2Dカメラ発売へ

――貴社は3Dカメラのみを販売してきました。

「実は2Dカメラを今年の前半に販売する予定です」

――どうして2Dをラインナップに加えるのですか。

「2Dカメラは3Dカメラと一緒に使われることが非常に多いからです。たとえばバラ積みのピッキングをする際、表裏判別する必要があります。その判定には2Dで事足ります。あと2Dカメラの多くはAIの機能がついていません。当社の2Dと3DカメラにはAI機能を搭載します。これまでお客様のなかには3Dは当社製品を、2Dは他社製品を選ばれることがありましたが、今後どちらも当社製品を使えば操作が簡単になりますし、費用も抑えられます」

19面リレーインタビュー・Mech-MindP3(2Dカメラ).jpg

2Dカメラ

――今後、有望と考える産業分野はありますか。

「半導体や医療品の検査とピッキングは引き続き非常に有望だと思います。あとは米国や中国の自動車メーカーが新しい製造プロセスをこれから構築します。それに伴って日本のメーカーも製造プロセスを変えようとしています。EVバッテリーの検査などもその1つです。それらに対して当社はグローバルでかなり多くの経験をもっていますから、日本でも同様に進めることができます」

――ただ自動車は一時のEVへ突き進む方向から一転、ハイブリッド車や燃料電池車も選択肢として残っています。それで業界全体が設備投資になかなか積極的になれない状況にあるようです。

「たしかに方向は単純ではありません。ただ、当社と付き合いのある米国の自動車メーカーさんは特許技術をオープンにすることでグローバルなビジネスチャンスは大きい。それに対して日本のメーカーさんはやや閉鎖的です。実は私は自動車を2台所有しています。ガソリン車とEVです。私の運転経験から例えて言うと、丈夫で安定感のあるガラケーと多機能で知能のあるスマホの違いです。どちらにも長所と短所があります。ビジネスでも多面的に捉える必要があると考えています」




秘訣は正攻法?


中国メーカーが日本で成功するハードルは高いとされる。が、Mech-Mindは売上を年に4割ずつアップし、それをなんなくクリアしているように見える。そう話すと楊培社長から「真剣にビジネスをしているから」と返ってきた。「どうすれば販売を伸ばせるのかを戦略的に考え、人材採用にも力を入れている。だからショールームもつくり、本社(東京・港区)はお客様に近いところに構え、アフターサービスを充実させている」。当たり前のことをいかにきちんと1つずつ実行するかどうかが成否を決めるのだろう。