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インタビュー

LKジャパン 閔 明鵬 氏/林 文勇 氏
ギガキャストで世界トップ、日本法人が神戸に新工場着工

投稿日時
2025/12/24 11:28
更新日時
2025/12/24 11:32

数十種以上の車体パーツを一度の鋳造で製造する大型ダイカストマシン、いわゆるギガキャスト(型締力6000㌧以上)で圧倒的世界シェアを持つLK(本部・香港)。その日本法人が12月、新工場を着工し、来秋からの予定で4500㌧までのダイカストマシン生産に乗り出す。

同社を訪ね、経営の指揮を執る閔明鵬(みん・めいほう)氏と林文勇(りん・ぶんゆう)氏に話を聞いた。

閔明鵬氏(右)と林文勇氏の代表者2人体制で経営。

倉庫、水産、工作機械などの大手工場が並ぶ神戸複合産業団地(神戸市西区)。一角にLKジャパンがある。

代表取締役は閔氏と林氏の2人。閔氏はLKのタイ子会社社長も兼任し、貿易や営業など「外」の仕事を牽引。林氏はエンジニアでコンサルの経験もあり「内」を統括する。両氏とも日本留学の経験があり、日本語が流暢だ。

■大型機への移行は間違いない

まずギガキャストマシンの現況を聞いた。EVの製造プロセスを変革し世界で注目を浴びてきたが、EV化への傾斜は近年ブレーキがかかり、ギガキャストの話題性も若干後退したと見える。

「ダイカスト機が小型から大きいタイプへ移行してきた、その方向は今も変わっていないといえます」と閔氏が即答した。EV大国の中国では今も新車販売台数ベースで40%超がEV。そのバッテリーケース製造にはギガキャストがもってこいであり「近い将来、全固体電池が普及するようになれば(ケースも小型化し)状況が変わるかもしれませんが、LK全体でみて7000㌧クラス中心に堅調が予測できます」と閔氏が加えた。

LK制16000Tダイカストマシン.jpg

LK最大1万6000tonのギガキャストマシン。2階建ての横長ビルといった大きさだ。

「ただハイブリッド車(HV)が巻き返すなど足元にも変化があり、特に日本は需要の内容をしっかり見たいですね」(閔氏)とも。

続いて林氏に聞いた。LKはギガキャストで世界シェア9割以上との試算もあるが実際はどうか。また日本でもギガの導入が進むが、話に出た日本の需要をどうみているのか。

■2500~4500㌧に照準

林氏はLKのギガキャストマシンについて「最大1万6000㌧の機種があり、世界シェアは6割以上を維持」と前提的に述べた。世界のダイカストマシンメーカーがLKに追随して生産したため独占的ではなくなったが、シェアで断然トップなのは間違いない。

日本の需要を聞くと、「その前にまず、EVの電池ケースはHVの3~4倍ほども大きく、EV向けとHV向けでは使用する機械の大きさも変わってきます」と林氏。「また日系自動車メーカーの生産技術の高さも考慮しています。簡単に言えば小さな機械で大きなパーツを作り上げる力があり、ここも踏まえて需要を見ています」と言う。

結論的に両氏は「800~4500㌧のダイカストマシンを日本で作り、売っていく」とした。「2500㌧クラスが数で有望じゃないか」(閔氏)、「4500㌧も期待できる。車両を支えるサブフレームやドア、HVのバッテリーケース向けに日本の車メーカーやサプライヤーがうまく使ってくれそうです」(林氏)などとコメント。

こうした読みを元に同社は、ギガキャストマシンは本社から輸入販売し、日本では4500㌧までのダイカストマシンを製造することに決めた。

■新工場、来年10月稼働へ

LKジャパンの敷地内に大きな駐車場があり、ここに新工場を建設し現在の本社工場とつなげる。11月10日に地鎮祭を済ませた。来年10月の稼働を目指す。

LKジャパン現工場(建屋).jpg

LKジャパン本社・工場(神戸市)。写真右手前の駐車場に新工場を建てる。

ギガキャストで一躍世界に名を馳せたLKはプラスチック射出成形機、マシニングセンタ、また機械加工や鋳造の周辺装置も手掛けており「経験が多くノウハウでは負けない。自信はある」と両氏。ただLKジャパンに限ればまだ中小企業だ。日本はメンテナンスの要求も厳しいがと問うと「そこがナンバー1の課題」(閔氏)といい、「保全対応として日本人、中国人、ベトナム人の社員を育成強化中です」(林氏)とした。

「マシン生産では日本製のパーツを多く使い、大物を製造する日本の金型メーカーとも手を組んでいきたい。日本のなかで日本市場を開拓したい」と閔氏が力を込めた。



(日本物流新聞2025年12月25日号掲載)