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インタビュー

IDECファクトリーソリューションズ 取締役最高執行責任者 武仲 清貴 氏

投稿日時
2025/11/25 14:14
更新日時
2025/11/25 14:19

産ロボの性能もつROKAE製協働ロボに照準
ROCKYプロジェクトで儲かる仕組みに

IDECファクトリーソリューションズは10年にわたる協働ロボット導入の知見を生かし、中小製造業の人手不足解消と生産性向上を支援する「ROCKYプロジェクト」を今年4月に本格始動した。中国ROKAE(ロッケー)社製の協働ロボットを軸に、全国の販売・SIパートナーとともに新たな市場を切り開く。

――立派なビルがここ本社だけでなく向かいにもあります。

「2022年に本社の向かいに工場を増築し生産キャパシティーを高めました。年間約200社に利用いただいている『協調安全ロボットテクニカルセンター』もそこに併設しています。当社は協働ロボットを中心にFAシステムやセキュリティシステムなどのSIerとして事業展開しています。IDECグループ全体の売上の一部を担い、国内外の製造業に幅広いソリューションを提供しています」

――貴社は協働ロボットに特化されています。

「当社はROKAE社製協働ロボットの日本の販売総代理店的な立ち位置、デンマークの搬送型ロボットMiRの販売代理店でもあります。通常の代理店とは違い、当社はシステム構築まで行えることが強みです。さらにカナダのRoboDK社のシミュレーションソフトも長年取り扱っています。大手ロボットメーカー各社さんは自社製品用のシミュレーションソフトを用意されていますが、当社が扱うソフトは新しい協働ロボットに対応できる柔軟性があります」

――ROCKYプロジェクトを始動されました。

「当社はSIerとして元々産業用ロボットを扱ってきましたが、協働ロボットにフォーカスして10年になります。当初は大企業中心の導入が多く、中小企業への普及は課題でした。安全対策のコストなど導入のハードルが高く、生産技術部隊がいないため要件定義などに躊躇する、と課題が多いからです」

「そこでロボット導入に関わる企業がどこもきちんと利益をいただける構図を作らなければと、ROCKYプロジェクトを始めました。協働ロボットは中国、韓国、台湾製もあり、どう選択していいのかわからないユーザーさんが多い。当社はこの10年間、様々な製品に触れさせていただき、社内評価をし、1社に絞り込みました。それがROKAE社です。中小企業さんを元気にしたいという思いをもつ販売店さんやSIerさんと連携し、導入を進めるのがこのROCKYチームになります。映画『ロッキー』のエイドリアンのように主人公を支援する意味を込めました。『三方よし』の精神で持続可能なビジネスモデルを構築していきます。現在17社で構成し、今期中に25社くらいまで拡大できる見込みです」



10面ロボットSIer特集・IDECファクトリーソリューションズP2.jpg

国際ロボット展に出品するROKEYの協働ロボット「CRシリーズ」。全軸にトルクセンサーを標準搭載し、アームを細かく動かして勘合性を確かめながらギヤなどを組みつける。

■協働ロボで位置繰返精度±0.02ミリ

――どうしてROKAE製ロボットを選ばれたのですか。

「中国製造2025に呼応して10年ほど前に中国でロボットメーカー8社ほどが起業しました。ROKAE社はその1社で、北京でスタートし現在は山東省に本社を移しました。産業用ロボットメーカーとして始まり、協働ロボットやヒューマノイドロボットまで手がける数少ない企業です。モーターや変速機の高性能化により、位置繰返精度±0.02ミリ、軌跡精度1ミリ以内を実現しています。さらに軌跡登録が可能なダイレクトティーチング機能を備え、教えた動きを忠実に再現できます」

「3~45キログラム可搬をラインナップし、自動車業界などで近年ニーズが高い32キロ、45キログラムに対応します。ダイレクトティーチングについては軌跡を登録できるので、人が教えたのとまったく同じ動きを再現できます」

――勝算はありますか。

「当社には10年の蓄積があるほか、当社が運営する協働ロボットの駆け込み寺のようなサイト『協働ロボット・com』(https://www.kyodo-robot.com/)で約9000人の個人リード(見込み客)があり、中小製造業の現場に最適な提案を進めています。人手不足や品質課題に直面する現場に、協働ロボットは大きな価値をもたらします。当社は安全技術とSI力を武器に、導入の不安を解消し、現場に寄り添った提案を続けます」




IDECファクトリーソリューションズ株式会社

1972年設立、社員122人

愛知県一宮市東島町2-8

ROCKYプロジェクトで来期200台導入を目指す(3年後に1000台へ)

オートメーション・センシング事業などを展開するIDEC(株)が100%出資し、制御機器・ハーネス製品の設計・製造や制御ソフト、図書館管理システムの設計開発を担う。ロボットSIerとしての事業は2014年に本格始動し、協働ロボットに特化。親会社の機器を使ったインテグレーション能力に強みがあり、リスクアセスメントやコンサルティングなど安全技術を伴う提案に定評がある。中国ROKAEの協働ロボットを中小企業に広める「ROCKYプロジェクト」を25年4月に本格始動(パートナーは17社)。



(日本物流新聞2025年11月25日号掲載)