インタビュー
近藤製作所 スマートファクトリーラボ・FAシステム 営業部門長 次長 村松 勲 氏
- 投稿日時
- 2025/11/25 13:47
- 更新日時
- 2025/11/25 13:51
脱クルマ掲げ、3品業界に挑む
ターゲットは段ボールや部品箱
ハンド&チャックメーカー、自動車部品メーカー、ロボットSIerの3つの顔をもつ近藤製作所は各事業が他の事業の成長に貢献する稀有な会社だ。自動車分野への依存度が高かったが、この5年ほどは脱クルマに取り組み、売上割合を逆転させた。

――最近の景況感はいかがですか。
「ご存知のように当社は工作機械周りの自動化製品をつくってきましたが、工作機械と自動車は結びつきが強く、その自動車は転換点を迎えています。当社は脱クルマを掲げ、3品業界や木材加工業などに注力しています。私の属するスマートファクトリーラボがそれを狙って立ち上がった事業部です」
――ロボットハンド&チャックは業界トップの1200種をお持ちですから、食品業界にも十分通用しそうです。
「食品そのものは形状・サイズに個体差があり衛生的に気を使う必要もあり、当社の知見は少ないです。でも包装されたものだと掴みやすくなるし、それらを格納した段ボール箱をパレットに積むのであれば扱いやすい。ロボットも使えるしガントリーローダーでもいい。そこでそのあたりを入り口にして参入しました。この領域なら食品に限らず様々な業種にも適応できますし、システムの標準化もできます」
――自動車とそれ以外で売上割合はどれくらいになりましたか。
「3年くらい前まで自動車が7割、非自動車は3割でしたが、昨年から非自動車が自動車を上回りました。非自動車分野を狙った、箱の積み下ろし作業に向く『パレタイザーガントリー』を取り扱い始めたのはこの5、6年。基本、国内向けです」
――パレタイザー・デパレタイザーは多くのメーカーが提案しています。競争は熾烈では?
「ですねえ。展示会に足を運べば協働ロボットがその役割を担っています。ただ当社は、多様なハンド&チャックをもつので掴み方を含めて提案すれば差別化につながります。そこでロボットとガントリーを使った2種類のシステムを用意し、お客様に選んでもらうことにしました。ガントリーを扱う会社は少なく、当社は特殊対応ができます。たとえば3つのパレットを1つのガントリーで処理したり、3つのコンベヤから流れる品物を3つのパレットに振り分けたりできます」
――パレタイザーガントリーはSIer事業の一環として取り組まれているのですか。
「正確に言うと『スマートファクトリーラボ』が画像認識、AI、IoTを利用してパレタイザーガントリーを広めています。ロボットやガントリーを使ってセルからラインまでの自動化ニーズに対応するのが『FAシステム』です。この2事業がSIer事業を担います。ほかにブレーキやエアバッグの部品をつくる『自動車部品』、ロボット周辺機器をつくる『ハンド&チャック』の計4事業があります」

パレタイザーガントリー
■ジョイント、ガントリー、ロボ台車を出品
――国際ロボット展で何をアピールされますか。
「ロボットアームとハンドをつなぐ『ロータリージョイント』を出品します。アームとハンドは電気の線とエアーのホースでつながっていて、ハンドが360度以上回転するとこれらを巻き込んで絡まり断線することがあります。断線すると復旧するのに何時間、下手すると1日を要する大問題になります。ですからあらかじめロータリージョイントでつないで断線するのを未然に防ぎましょうと提案します。見た目もスッキリします。実はこれ、オンリーワンの製品で、売上は右肩上がりです」
「このほか自動車業界向けに『部品箱用パレタイザーガントリー』でパレタイズ・デパレタイズを実演しますが、箱の掴み方に特長があります。部品箱はすき間なく敷き詰めると掴み代が2辺に限られます。そこを掴んで運ぶことができます。箱の大きさが変わってもきれいに積み重ねられます。またファナック製30㌔可搬の協働ロボットを用いた、移動式のロボ台車も出品します。アルミダイキャスト製品の工場などを狙ったもので、ロボットが動いても台車を安定させる機構をつけたことで揺れを防ぎます。多品種小ロット加工のさまざまな加工機へ移動が可能です」
――いま抱えていらっしゃる課題は。
「まだ大半はエアー式ですが、ハンド&チャックの業界にも電動化の波があります。電気式になれば大きな電流を流すことになりロータリージョイントにもこの対応が必要になりそうです」
「パレタイザーガントリーが扱う箱は、使い込まれると擦り減ったり丸くなったりして厳密には個体差が生じます。納品前の当社の試験でうまくいっても、お客様の現場で実際に流通している箱だと、多数の箱の1個、2個がうまく載せられないことがあります。そこはお客様にご理解いただき、擦り減った箱を取り除くなどして対応していただけるとありがたいです。このご理解がないと幅広い分野への自動化はなかなか浸透していかないと思います」

ロータリージョイント(RJ、左)とRJなしで絡まったエアーホース
株式会社近藤製作所
1956年設立、社員約380人
愛知県蒲郡市元町12-1
自動化装置を年に250件納入(ラインを含む)
自動車部品の量産から自動化ラインの構築、ロボットハンド&チャックの設計製作を担う。主に自動車部品、電機分野向けのハンド&チャックのラインナップは約1200種と国内トップクラス。国内生産拠点としてSIer事業の3工場(坂本、埼玉、浜町)、ハンド&チャックの1工場(幸田)、自動車部品の2工場(音羽、佐賀)の計6工場をもち、タイ、米国、中国にも拠点をもつ。
(日本物流新聞2025年11月25日号掲載)