インタビュー
Exotec Nihon 代表取締役 アジアパシフィック地域社長 立脇 竜 氏
- 投稿日時
- 2025/09/29 09:17
- 更新日時
- 2025/09/29 09:30
「サプライチェーンの最適化がビジネスを伸ばす」
国際物流総合展2025で次世代Skypod国内初披露
「自動化はゴールではなくスタート」。今年2月、自動倉庫「Skypod」システムの次世代モデルを発表した仏・Exotecの日本法人を率いる立脇竜氏はそう述べる。物流の2024年問題などを経て、自動化設備に注目が集まった本展の会場で、次世代Skypodシステムの特長と国内戦略について聞いた。

Exotec Nihon 代表取締役 アジア・パシフィック地域社長の立脇竜氏。欧米市場と日本市場の違いについて「インテグレーターの存在」を指摘。「日本には複数技術を束ねて全体設計まで担えるプレーヤーが少なく、個別のソリューション導入に留まりがち。ここを突破しようとする提案が本展では少し見られた。当社もコンサルティング機能と倉庫全体の自動化インテグレーション機能を強化し、お客様の物流最適化を支援する体制の強化を図っていく」
――次世代「Skypod」が初出展となりました。来場者から持ち込まれる課題感にも変化が感じられたのでは。
「はい、課題意識のステージが明らかに一つ上がったと感じています。2~3年前は『とにかく倉庫内を自動化したい』といったご要望が中心でしたが、今回展では『出荷後の効率化』まで含めたサプライチェーン全体の最適化という、より高い視座からご相談いただくケースが多い印象でした。これは、拠点ごとの自動化がある程度進んできたからこそで、『全体で見ると状況が変わっていない』という新たな課題感が生まれていることの表れでもあると捉えています」
――相談内容が深化している。
「単なる現場の効率化に留まらず、会社のビジネス目的を達成するために物流全体をどう設計すべきかという、経営戦略に紐づいたご相談も見られました。Exotec Nihonが管轄するアジア・パシフィック地域では、『物流を起点としたビジネス全体の改革と成長』を特に強調してきたので、お客様が深くリサーチした上で来場されているのだと、非常にポジティブに受け止めています」
――手応えがあったようですね。
「非常にポジティブな手応えがありました。来場者数は2年前より明らかに増加傾向にありますし、今回展は次世代Skypodの国内初実演ということもあり、『Skypodを目当てに来た』といった嬉しいお声かけもいただきました。また、会期中に当社デモセンターで開催した自社展『Open Day』には、連日定員を超えるお申込みがあり盛況でした。議論のレベルが上がっただけでなく、熱量そのものも高まっていると実感しています」
■順立て出庫が物流の先の未来を変える
――次世代Skypodには機能が盛りだくさんです。立脇社長が考える最大の特徴を教えてください。
「進化した『順立て機能』でしょうか。第一世代でも順立ては可能でしたが、次世代ではピッキング能力のさらなる向上と、機能を強化した高度な順立てを実現できます」
国内の展示会で初めて実演展示した次世代Skypodシステム。ラックの形式や機能を見直すことで、第一世代より設置面積を約30%削減できる。
――高度な順立てとは。
「箱ごとの順立てはもちろん、箱の中のピース単位での順立ても可能です。例えば、アパレル店舗向けなら品出し作業がしやすいようにS→M→Lのサイズ順に箱詰めしたり、EC向けなら重たい物や壊れやすい物を考慮して最適な順番で箱詰めしたりと、販売チャネルやビジネスに応じて積載順を自動で組むことができます。この機能が、倉庫から出荷された後の工程、つまり『倉庫の外』の効率化に大きく貢献します」
――他にも日本市場向けでキーになる性能はありますか。
「保管効率の高さです。マニュアル作業に比べて5倍以上の集積率を実現しており、倉庫の省スペース化に貢献します。また、順立て機能やバッファ機能も内包しているため、大型のソーターやバッファ用の設備が不要になります。Skypodは『価格が高い』という印象を持たれている方も多いと思いますが、設備全体のコストで見ればむしろ安くなるケースが多いです」
――競合他社からも同様の製品が出てきています。違いは。
「カタログスペックでは横並びに見えても、実際のピッキング性能や導入後のメンテナンス品質は大きく異なると思います。特に充実したメンテナンス体制は他社にはない強みだと自負しています。世界に3拠点(仏・米・日)あるコントロールセンターでは、24時間365日、世界中のシステムの稼働状況が監視されています。遠隔で対応可能なトラブルは即座に復旧が可能です。また、京都のサービスセンターも含め、国内のメンテナンス専門人材は30人以上にもなります。私たちは『自動化はゴールではなくスタート』だと考えており、ビジネス成長をしっかりと支える体制にお客様からも評価をいただいています」
――導入事例も増えています。
「現在、国内では十数社のお客様で20システム以上が稼働しています。アパレルや雑貨を扱うパル様は、急成長するEC事業の物流基盤として第一世代のSkypodを導入され、先日、事業化拡大に伴うシステム拡張も決定されました。また、次世代Skypodもコンタクトレンズ大手のメニコン様で国内初導入が決まりました。医療からファッションまで多様化する購買チャネルに対応するための新しい物流モデル構築に意欲を示されています」
――最後に読者へのメッセージを。
「物流をコストセンターではなくビジネス成長のドライバー、つまり『プロフィットセンター』と捉えていただきたいです。Skypodは確実にその中心的な役割を担います。本展が終った後も、Open Dayは定期的に開催予定ですので、ぜひ新木場のデモセンターでSkypodの実力を体感いただき、次の時代の物流を共に描いていければと考えています」
(日本物流新聞2025年9月25日号掲載)