インタビュー
三菱電機 機器事業部ロボット・センサ部 ChiefExpert 武原 純二 氏
- 投稿日時
- 2025/03/31 09:58
- 更新日時
- 2025/03/31 10:01
サーボ・NC制御でロボットを速く動かしピタッと止める
三菱電機はシーケンサーやサーボ、ソフトウェアなどの製品群をもち、トータルでソリューション提案ができる数少ないFA総合メーカーだ。レーザーや放電の加工機も数多くもつが、自動化のカギとなる産業用ロボットを中心に話を聞いた。

単身赴任で埼玉に暮らす武原純二氏。荒川沿いを葛西臨海公園までクロスバイクで2時間ぐらいかけて走るのが気分転換になっている。
――貴社のロボット事業の景況感は。
「日本ロボット工業会の予測では2025年度の国内向け出荷額は前年度比102%、グローバルでは105%と微増のようであり、当社の25年度のロボットの国内事業も工業会予測と同等のイメージです。当社の国内の主なお客様は電気電子、半導体、自動車部品分野になりますが、なかでも半導体関連では、回復時期が見込んでいた24年度後半から25年度の後半くらいへずれ込む見込みです。その後は復調する見込みのため26年度は勢いづくと見ています」
――貴社は多関節ロボット、スカラーロボットをお持ちです。
「10キロ、20キログラムと高可搬のスカラータイプはアームも長く、さらに需要が高まるバッテリー搬送などを想定して開発しました。スカラーロボットは水平方向のピック&プレイスが基本で高速性能が求められますが、一方で当社はより付加価値を提供できる多関節ロボットにも力を入れていて、競争力を発揮しています」
――競争力はどの部分で発揮しますか。
「当社はFRシリーズに様々な機能を詰め込んでいます。ロボットは一般的には搬送用途に使われることが多いのですが、当社は比較的小型のラインナップを昔から展開していることもあり、単なる搬送だけでなく組立て作業も含めて人が行う作業をロボットで代替しましょう、と提案してきています。そのためのラインナップの整備と機能開発を進めているところです。特にセンサーと組み合わせることで知能化し巧みな作業ができるようになってきていますし、力覚センサーを使って接触力を検知して繊細に動きを制御できます。当社では社内に高いサーボ制御やNC制御の技術を保有しています。ロボットにおいてもそれらの共通技術を活用して速く動かしてピタッと止める、指令に対して速く精度よく追従する、を実現していて、特にそこが当社の強みです」
■導入前・後のサポートに力
――とりわけ協働ロボットはアジアの新興メーカーの台頭が目につきます。
「中国のローカルメーカーの台頭と、そのうち協働ロボットは日本へも進出してきていると認識しています。その協働ロボットの価格は日本メーカーに比べても高い優位性を示していると聞きますが、当社は価格で競争しようとは思っていません。当社としてはお客様への導入前および導入後のサポートを通じて、安心して導入いただき、長くお付き合いいただくことに重点を置いています。それは協働ロボットでも産業用ロボットでも同じですし、海外でも基本的には同じです」
――貴社は協働ロボットもお持ちです。
「2020年5月に発売した、アーム長が900㍉ほどの機種(MELFA ASSISTAシリーズ)があります。ほぼ大人の腕の長さですね。人との接触を許容する協働ロボットとはいえリスクアセスメントは必要で、現場の教育も大変です。それだったら安全柵で囲い産業用ロボットを導入したほうが手っ取り早いと考えるお客様も多いようです」
「協働ロボットのカテゴリーでラインナップを増やすことも大切ではありますが、安価な中国メーカーなどに対抗しようとするとどこかで無理が生じます。たとえば近年、可搬質量が増していますが、ロングアームの30キログラム可搬の協働ロボットの安全対策は、小型のものと同じで十分かというと、決してそうではありません。可搬質量が増せば、当然人へのリスクも上がります。人との接触機会をなくす運用なのであれば産業用ロボットに安全センサー、エリアセンサーを組み合わせてセットアップした方がお客様には安く提供できると考えます」 ――おそらくスピードも早いでしょうしね。
「そうですね。人がロボットに近づけば低速にして、もっと近くなれば停止する。という使い方は協働ロボットで当たり前にやっていますが、それは産業ロボットでも同じことだと考えます」
汎用シーケンサ「MELSEC iQ-Rシリーズ」との連携でロボットのより高度な作業とIoTを実現する「MELFA FRシリーズ」
FA総合メーカー
シーケンサーにサーボ、CNC、産業用PC、センサー、インバーター……。手がける製品を挙げるときりがない。三菱電機の強みをひと言で表すなら「FA総合メーカー」だろう。武原氏は「多くの製品群をもち、トータルでソリューションを提案できるのは1番の強みです」と話す。機械の稼働状況をデータで取得し、それを分析し、個々のユーザーにフィードバックできるのはもちろん、広範囲を見れば工場全体の最適化、エネルギーマネジメントになり、引いてはカーボンニュートラルにつながるという。
(日本物流新聞2025年3月25日号掲載)