1. トップページ
  2. インタビュー
  3. C&Gシステムズ 代表取締役社長 伴野 裕之 氏

インタビュー

C&Gシステムズ 代表取締役社長 伴野 裕之 氏

投稿日時
2025/12/10 14:40
更新日時
2025/12/10 14:45

DXインテグレータとして事業領域拡大

日本を代表する製造系CAD/CAMメーカー、C&Gシステムズの社長に今年10月1日付で伴野裕之(ともの・ひろゆき)氏が就任した。

CGSグループは今年4月、抜本的な組織再編を実施し純粋持株会社体制に移行。C&Gシステムズはグループ内(HD内)の事業会社として活動中だ。また再編と前後し、NTTデータエンジニアリングシステムズとの連携強化契約(今年1月)、ソディックとの生産システム共同開発など新たな動きが急。伴野社長はグループが掲げる「製造業DXインテグレーター企業への進化」を具現化する牽引役を担う。

――旧役職が常務開発本部長。ずっと開発畑ですか?

伴野 はい。R&D一筋でした。CAMのモデリング開発から、CAMのサーフェス機能をバージョンアップしたCADに融合させたり。社長就任の3日前までプログラムをいじっていたほどです(笑)。

――すると、貴社の技術的な強み・弱みはよく把握されていると思います。

伴野 金型向けに特化したCADCAM機能が昔からの強みです。このコアな部分に軸足を置きつつ、(金型だけじゃなく)金属加工全般に貢献できる技術や事業を伸ばします。既に数年前から取り組みは進んでいますが、さらに、の思いですよ。

――約20年の実績を持つ生産管理システムも、刷新して当初の金型向けだけでなく量産部品加工向けも順調と聞きます。

伴野 少しまとめて言いますと、金型業界は生産量(型数)こそ減少傾向ですが生産額は減っていません。つまり付加価値が高まっていると理解できます。そうしたなかで高度化・自動化といったニーズが増えていて、実は同じことが部品加工にもあてはまります。私どもはCAD/CAMをベースに自動化へ、工程管理へとお手伝いできる領域を増やすことに注力していきます。

――その手応えは感じていますか?

伴野 ええ。当社社員の40%近くが技術者で、技術志向型企業として成果を上げています。ただ自前だけでできるとも考えていません。製造業向けソリューションやクラウド事業に強いNDES社(NTTデータエンジニアリングシステムズグループ)へ51%出資(今年10月)したことが象徴的かもしれません。

――どんなソリューションを目指される?

伴野 ほんの一例ですが、技術者である私の目線で言えば加工の自動工程設計などをやりたいですね。荒→中仕上げ→仕上げと分かれる金属加工の流れ全体を自動化するのは非常に難しいのですが、だからこそ他社の優れた技術とコラボして進めたい。加工条件の自動算出などはかなり進んでいますよ。

伴野 それとひとつ付け加えれば、金型や金属加工の難しさをよく知る我々だからこそ、工程管理にしても優れたソリューションを提供できるんだとの自負があります。

■グローバルニッチトップへ

――3次元設計ソフトでは欧米勢が世界を席巻していますが、話をお聞きしていると彼らとは違った提案を市場に問うということのようですね。

伴野 汎用的なCADなりシステムは彼らに任せればいいと思います。私どもはそこに付加価値をつけるソフトを提供します。独自に提案する場合もあるし、世界的な汎用ソフトにアドオンする形にもなります。

――役割ははっきり見えていると。

伴野 言葉にすればグローバルニッチトップ。CGSグループでは「製造業DXインテグレーター企業への進化」を旗印にしています。HD(CGSホールディングス)社長の塩田が「仲間を増やして製造業の進化に貢献しよう」とよく言うのですが、社内外の資源を組み合わせたチームだからできる製造業のDXを切り開いていきたいと思います。

――そうした取り組みの広がりは既に足元の好業績にも現れていますね。注力の海外展開にも活かせそうです。

伴野 海外比率は北米・アジアなど約25%です。国によって日系中心、ローカル主体と異なりますが、未開拓のインドも含め一層強化します。

――今12月期のグループ売上高の見込みが46・68億円。28年に70億、30年に100億円を目指す計画を公表されています。

伴野 はい。売上70億円への道は見えてきた感じです。ニッチトップの経験をベースに他社の技術資源も活用して100億円企業に果敢に挑戦します。




インタビュー+α


挑戦しますと括った伴野社長は、社長就任来、社員にも「失敗を恐れず常に挑戦して欲しい」と言っているそう。取材では「もうこれで満足と足を止めたら最後、衰えるだけです」とも。仕事のつきあいで始めたばかりのゴルフも「1年で100切りに挑戦したい」と意欲満々?



(日本物流新聞2025年12月10日号掲載)