インタビュー
キャドマック 事業推進部企画課 課長 渡邉 光行 氏
- 投稿日時
- 2022/03/30 14:16
- 更新日時
- 2024/08/19 13:20
データ探しに1年で1カ月も浪費―――それを解決する
キャドマック 事業推進部企画課 課長 渡邉 光行 氏
四半世紀以上にわたりシートメタル用CAD/CAMソフトの開発・販売・メンテナンスに特化してきたキャドマック。ユーザー数は2500社以上、納入数はおよそ5000シートに及ぶ。4月に販売を始めるのはデータ管理システム。コロナ禍でデータ管理の重要性がますます高まっていることが追い風となりそうだ。
――工作機械受注など生産財マーケットは概ね好調です。
「当社もコロナ禍でどうなるかと思いましたが、好調です。少なくとも半年、いや1年はこの好調が続くのではないでしょうか。もっとも当社は工作機械受注にそれほど左右されるわけではありません。機械が落ちればCAMが売れなくなるということはありますが、逆に商社さんは機械が売れないんだったらソフトを売ろうとしてくれますので」
――受注環境でポジティブな要素とネガティブな要素は。
「当社の事業は海外はあまり関係しません。工作機械メーカーさんとの連携では中国リスクがありますが、コロナによるパンデミックが世の中を変えており、IT事業にとっては追い風かもしれません。世の中がテレワーク、ネットミーティングにシフトし、新しい需要を生んでいますから。工場設備を家の中から操作したり、プログラム作成を家でやったりするのが当たり前になりつつあります。当社の新しい管理ソフトもちょうど良いタイミングで出来あがってきました」
――板金製造向けデータ管理システム「SMD」を販売されるそうです。
「現在はプレバージョンで4月から販売を開始します。当社に対してCADやCAMの販売会社だと思われていますが、今回はデータ管理システムです。時代も変わってきたので。これまでに取り扱いがなかったわけではありませんが、今回のように総合的に管理ができるシステムには至っていませんでした。当社は主に板金業界向けに商品を扱ってきましたが、このSMDに関しては板金に限らず広く製造業で使える商品です。最大の売りは、PCの中にある見積もり、NCデータなどあらゆるデータを対象に検索できること。そのデータを作成したソフトが何であってもよくて、CADでもCAMでもPDFでもワード、エクセルでもいい。データはいつも整理しているから探せるよ、と言う人もいますが、実際、受注データ、NCデータ、関連するデータ……と多岐にわたり、また仕様が変わったときにそれがなかなか見つけられないことがあります」
――要らないと思われるデータはきれいに整理しませんものね。
「ある調査によると、データの検索や何が必要なのかを調べるのに1日1時間くらい無駄にしているそうです。時間だけでなく作業が中断することで集中力も失う。それを含めての数字ですが、1年間で1カ月近くを浪費している。それを解決するのがSMDです」
■管理対象を指定するだけ
――検索機能に特化したシステムだと。
「必要なものを探し出せないと仕事に着手できません。受注時などに関連したデータを探す、現場に作業指示を出すための図面や指示書、CAD・CAMデータを見つけてひとまとめにして送ることは日常的に行われています。ところがそれに非常に手間がかかっています」
――あらかじめキーワードを設定しておくのでしょうか。
「そうではないのが特長です。一般的なデータ管理は特別なシステムのなかにデータを格納したり整理したりすることから始まりますが、SMDの場合はそのままでいい。管理対象だけ指定すると勝手にデータを解析して、これは近しいデータとしてまとめたりタグ付けしたりしてくれます。グーグルなどの検索エンジンはもっと高機能なものですが、SMDはCAD・CAMデータを解析することもできます。材質や板厚、使った加工機など実際の加工の中身を解析するので、これは一般的な検索システムではできません」
――メインユーザーは町工場ですか。
「そうですね、30人規模のお客様が板金業界では多く、データを駆使していらっしゃいます。まずは100シートの販売を今年目指したい。板金業界の企業向けソフトで100出ると広く認知され普及が進むと言われますから。300を超えればもう自動的に売れます」
――日本のモノづくり企業が生き残るための取り組みは。
「最近は中国のレーザー加工機メーカーが相当な勢いで参入してきています。当社は中国メーカーに対応するためのCAMに関連するポストプロセッサーなどをつくっていかなければなりません。ただ納入するだけでなく、メンテナンスを含めたサポート体制が重要になってくると思います」
「SMD」で検索するようす
(2022年3月25日号掲載)