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インタビュー

筑波エンジニアリング 代表取締役社長 大槻 歩 氏 (SIer協会理事)

投稿日時
2025/11/25 13:57
更新日時
2025/11/25 14:01

東日本で「一番頼られる」SIerに
ロボット1台からライン構築まで対応可能

茨城県を拠点に、自動化設備の設計・製作を手掛ける筑波エンジニアリング。プラスチック成形業界向けの自動化設備を得意とし、構想設計から機械・電気設計、部品加工、組立、プログラミング、現地調整に至るまでの全工程を手掛け、高品質なシステム提供を実現している。SIer協会の幹事社も務める同社・大槻歩社長に近況とこれからについて語ってもらった。

――創業の経緯をお聞かせください。

「もともと機械系の商社を手掛けていた創業者(父)が、お客様の要望を受けるうちに『自分で製品を作らなければならない』と考え、計測機器メーカーを設立。その後、カスタマイズ対応が増え、技術部門が独立してできたのが筑波エンジニアリングです」

――ご自身はテレビ業界出身だそうですね。

「大学卒業後、テレビドラマの制作会社に13年勤め、主にサスペンスものなど2時間ドラマを手がけていました。その後、ロサンゼルスへ映画留学などしましたが、『自分の才能はここまで』と限界を感じて業界を離れました。そして、まったく継ぐ気は無かったのですが、気づけば父の会社で働いていました」

――畑違いの世界に飛び込んで、苦労も多かったのでは。

「そうですね。圧縮空気の仕組みすら知らないところからのスタートでしたから(笑)。『社長の息子』という厳しい目で見られるなか、ヒラの営業職として10年近く現場を駆け回りながら学びました」

――現在の主な事業領域を教えてください。

「ロボットを活用した自動化システムの設計・製作です。当社がロボット事業を始めた当初、射出成型機周辺の自動化案件を紹介されることが多く、他社よりこの分野の経験だけは多いのではないかと自負しております。こうしたこともあり、これまでは成形機向けの案件が多かったのですが、最近は物流倉庫など非製造業からの相談も増えています。ビジョンカメラを使ったピッキングシステムなどが増えています」

――人手不足が進む中、従来とは異なる引き合いも増えている。

「そうですね。担い手不足が顕著な建設業界からもお声をかけて頂いています。他業界に比べて本当に人手が足りないとあって、引き合いから導入までのスピード感が他の業界とは全然違う。屋外環境にも対応できるロボットシステムの納入など、これまで想定していなかった開発要素の強い案件も増えています」

■堅実な技術を見せる

――ロボットメーカーとの関係性は。

「当社は2015年より『ファナックロボット会』に加盟しており、主にファナック製ロボットを使用していますが、顧客から協働ロボットのCRXシリーズの需要も確実に増えています。ただ、実際に現場の方と話を煮詰めていくと、最終的に8割は通常の『黄色』を選ばれます。やはりタクトタイムやコストで従来型が圧倒的に勝りますから。残り2割の協働ロボットを選ばれる方は、設置スペースの問題を抱えている現場や、ヒトとロボットが協働することでシナジーを出せるような現場に限られています」

――ロボットSIerにおいては「パッケージ化」がトレンドとなっています。

「当社は完全オーダーメイドにせざるを得ない案件が大半で、共通化できる部分は1割もありません。製品ごとに条件が異なり、標準化しづらいのが実態ですので、パッケージ化とは対極の位置にいるかも知れません。構想から設計、開発、設置、実際の運用に至るまでロボットSIerの仕事は、とかく『足が長くなりがち』な案件が大半。ですが、そこで効率化だけを追えば、私たちは存在意義を失ってしまいます。だからこそ、お客様ごとに設計・製作し、最適解を作るのがエンジニアリング会社の仕事だと考えています」

――茨城県に拠点を置く強みは。

「FA業界は東海地方が中心で、大手のSIerさんも多く東日本の仕事を請け負っているところも少なくありません。一方で、東日本には『もっと近くのSIerに頼みたい』という顧客も多数いらっしゃいます。茨城という立地は大きなアドバンテージだと感じています。これまではロボット単体での導入が中心でしたが、2023年に新工場が完成し、現在はラインビルダーとしての仕事にも取り組んでいます。東日本はこの分野が手薄ですから、『いちばん東のラインビルダー』を目指しています」

筑波エンジニアリング新工場.jpg

2023年竣工の新工場。大型設備やライン構築といった案件にも対応する

――国際ロボット展2025にも出展されます。どのような提案を。

「各社が最先端の製品、ソリューションを提案してくる場になると思いますが、当社はあえて『工作機械×ロボット』という古典的なテーマで出展します。様々な展示会でお客様によく言われるのが『確実に動くものが欲しい』というご意見です。現場での即戦力を求めている来場者も多く、そうした方々に『堅実な技術』をお見せしたいと考えています」

――最後に、今後のビジョンをお聞かせください。

「会社の規模を大きくすることよりも、『筑波さんに任せておけば安心』と言っていただける存在でありたい。社員一人ひとりが誇りを持ち、お客様に信頼される会社であり続けること。それが私たちの目指す姿です」




筑波エンジニアリング

1977年設立 社員30人

茨城県稲敷郡阿見町阿見原5445-8

年間40~50件の自動化案件を納入

インサート成形システムから自動機、検査機、組立機・搬送装置など、幅広い分野の自動化実績を誇る同社。2023年には既存設備の3倍に及ぶ面積の新工場を立ち上げ、大型設備やライン単位での受注もこなす。またファナック製ロボットを中心に扱う同社は、確かな技術力を認められ、公認のロボットシステムインテグレータとして認定されている。





(日本物流新聞2025年11月25日号掲載)