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インタビュー

スターテクノ 常務取締役 瀬川 裕史 氏(SIer協会副会長〈事業企画部門〉)

投稿日時
2025/11/25 13:29
更新日時
2025/11/25 13:33

自動車部品加工に強く、マテハン分野にも進出
本社工場移転しグループのシナジー発揮

自動車部品の加工システムの構築に強いスターテクノは、切削加工や異材接合を得意とする。一方で近年はマテハン分野に進出し、段ボール製函システムも手がける。国際ロボット展ではグループとしてカバー領域の広さを訴える。

国際ロボット展に出品する、従来より10秒短縮し1函30秒(I貼り)で行う自動製函システム。従来のI貼りだけでなくH貼りにも対応できる。

――最近の貴社の明るい話題をお願いします。

「当社の2025年度(25年1〜12月、第53期)売上高は昨年度と同等で、目標比105%の過去最高の見込みです」

――自動車分野が強いので苦戦されているのかと思いました。

「自動車以外の物流や食品などの分野の仕事も少しずつ増えています。主力の自動車でも投資削減している領域とそうでない領域があります。当社グループは事業を再編し、スター精機が当社の親会社になったことでその射出成形機専用の取出しロボット周辺装置の仕事も増えています」

「丹羽郡大口町の新工場がおおむね完成し、12月に移転する運びです。すぐそばのオークマさんの5面加工機などを新規導入し、大手さんのようにはできないかもしれませんが、これを機にDXやSDGsも進めます。2階建てで延床面積は現在の工場の80%くらいの広さになりますが」

――移転される1番の理由は。

「グループ企業が同じ場所に集結したほうが様々な面で効率がよく、シナジーも発揮できます。たまたま親会社が土地を所有していたので思い切って移転することにしました。土地を除いて数十億円の投資になり自己資本だけではちょっと難しいのですが、親会社の資本を利用できました」

――貴社の強みとなる技術や得意分野を教えてください。

「強みは要件定義ができることだと思います。つまり提案から具体的な設計、部品加工、組立、制御、セットアップまですべての工程を内製できます。各工程にエンジニアを配置しているからです。当社には長年の経験から金属だけでなく、プラスチックやCFRPなどの知見が備わっており2次加工やハンドリングを含めてシステム全体の提案ができます」

――国際ロボット展では何を最もアピールされますか。

「1つは段ボールをロボットで組み立てる生産システムです。スター精機の直交型パレタイザーと連動させた物流業界向けソリューションです。もう1つは自動車部品の生産ライン向けの部品供給装置です。YOODS(ユーズ、山口市)さんの3Dカメラを使ってワークを自動検出してピック&プレイスします。アジリル(本社はスイス)さんとも協業し、従来のパーツフィーダーの代替システムになります。当社が今年度出展する展示会では1番力を入れます」

6面ロボットSIer特集・スターテクノP2.jpg

国際ロボット展に出品する、従来より10秒短縮し1函30秒(I貼り)で行う自動製函システム。従来のI貼りだけでなくH貼りにも対応できる。

■コーディネーターが必須に

――いま抱えていらっしゃる課題は。

「経済産業省が旗振り役として進めているRINGプロジェクト(全国ロボット・地域連携ネットワーク、今年6月30日発足)があります。ロボット導入について地域、学校、企業などが連携した取組で、SIer協会がその一部を担います。私はそのなかのコーディネーター制度をつくるワーキンググループに携わっています。自動化システムを導入する際、生産技術部を抱える大手企業は問題にならないことが多いですが、中小企業は何を自動化すれば最も効果が出るか、自動化を進めるためにどうやって人材育成をするか。その解をもたないケースが多いです。それを後押しする人材『コーディネーター』が必要です。コーディネーターがいないとうまく提案ができず、完成したシステムはうまく使えない、SIerはしょっちゅう呼び出されることになりかねません」

――SIerさんがコーディネーターの仕事もされていたのではありませんか。

「当社については自動車関連のお客様が多く、あまり問題にならないケースが多いです。自動生産ラインが想定されていて、無駄のない生産方式がとられてきましたから。ところが他の分野のなかには生産技術者がいなかったり人数が限られたりして、仕様書を書ける人がいないことも少なくありません」

――コーディネーターを育てるのは難しいですか。

「経験値がないとできない仕事です。体系立てたコーディネーター教育のようなものもありませんから非常に難しい。現場を見て、たとえば工程を分解して、作業分析をして、生産改善を提案できなければなりません。我々SIerがしっかり料金をいただいて、お客様もしっかり利益を出せるように詰めていかないといけません」

「でも悪い話ばかりではありません。経験値を1番もっているのは日本です。ユーザーにとって有用な自動化を提案し、指導できるようにすることは可能です。その際、コーディネーターに頼るだけではなく、各業界のユーザーさんも学んでいただく必要があると思います」




スターテクノ株式会社

1972年設立、社員110人

愛知県岩倉市西市町田羅々23

垂直多関節ロボットを含むシステムで年間60−70セット納入(うち1億円前後は数案件)

バリ取りやパンチング、溶着の自動加工システムなどを開発し、自動車部品加工に強い。自動車産業向けの仕事は売上の8割を占める。近年は垂直多関節ロボットを用いた段ボール製函システムを製品化するなどマテハン分野にも注力。スター精機の100%子会社となり、その自動化部門も担う。グループのシナジーを発揮し、自動車分野以外の仕事を増やしている。12月に本社工場を愛知県丹羽郡に移転する。





(日本物流新聞2025年11月25日号掲載)