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インタビュー

三明機工 代表取締役社長 久保田 和雄 氏(SIer協会会長)

投稿日時
2025/11/25 13:24
更新日時
2025/11/25 13:28

DX駆使した新工場、26年末竣工
生産能力40%向上へ

鋳造はじめ産業現場の自動化に強い三明機工は3Dシミュレーションを利用してフロントローディング(設計・開発の初期段階で後工程の問題を検討し改善すること)を推し進める。一方でティーチングの教育ツールまで自社開発し、国際ロボット展ではそれらを実演する。来年12月に竣工する新工場についても聞いてみた。

――ここ最近の景況感は。

「最近、自動化の仕事の機会は多く、当社の売上は昨年より上向いています。特に鋳物業界。なぜ鋳造の現場で自動化ニーズが多いかというと、やはり重労働で人が集まらないから。人が足りないから仕事が回りません、では済まされない時代ですから問題は深刻です。設備投資などをして対応しなければなりません」

「一方で当社が工場をもつタイの景気はよくありません。補助金が打ち切られ、新車が売れていません。厳しいのは中国も同様で、GDPが成長したと報道されましたが、本当に伸びてるのかなと疑いたくなります」

――国際ロボット展で何を訴えますか。

「当社は、お客様が本当に求める自動化を形にするシステムインテグレーターであることを正面から訴えます。その横でティーチングを勉強するための『デジタルトレーナー』(現在ファナックと安川電機のロボット向けの計2台)を紹介します。デジタルトレーナーはパソコンモニターに実在のものと瓜二つの3Dシミュレーションロボットが現れ、それを実際のペンダントで自由に動かすことができます。メーカーが用意するシミュレーションは単にロボットを動かすだけのものが多いのですが、デジタルトレーナーの中には物理演算が入っているので、掴んだものを放せば落下するといったことまでリアルに再現できます。これを用いてティーチングしたプログラムを実機に移せば、実在するロボットが同じように動いてくれます。また段ボール箱の解体・開封・折畳みを行う装置ではロボットのもつポテンシャルを引き出して提案します。また24時間無人でグラインダーやバフかけ作業ができるシステムも実演します。長時間労働を開放し、1年365日で8760時間の自動稼働に挑戦します」

6面ロボットSIer特集・三明機工P2.jpg

走行レールをもつ自動注湯装置。年内に鋳物工場へ納める。

――同展に中国製ロボットが多数登場しそうです。

「協働ロボットに関しては中国製が非常に幅を利かせています。しかも日本の商社がこぞってそれらを販売しています。そうすると、どうしてもユーザーはそれら安いものに目がいってしまいます。そのユーザー企業の仕事がうまく回ればいいのですが、導入した当初はよくても、不具合があった際のアフターサービスが日本製のようにうまく機能しないので、ユーザーさんは結局は困り果てているところが多いようです」

■高さのある装置の受注も

――ここ本社・工場の目の前の広い土地に新工場を建てられるそうです。

「基礎工事を始めたところで来年の12月に完成する予定です。サプライチェーン対策の大型補助金の適用を見込んでいます」

――新工場の最大の狙いは。

「当社の設計部隊は現在40人体制ですが、2階、3階に分かれています。その設計を新規採用を含めて計50人以上に増員し、新工場のワンフロアに集約します。そこには開発室も設けます。手狭になっていたVRSC(バーチャルロボットソリューションセンター)も移設し、講習を充実させてお客様にさらに活用してもらえるようにします。これまでは単体や小規模のシミュレーションは可能でしたが、大型のバーチャルソフトを組み込んで大型プラント全体を模擬実験できるようにします」

「現在の工場は2階部分を展示場および食堂兼大ホールにしていましたが、元々クレーンを設備していましたから、そこを工場にします。食堂や更衣室は新工場に移します。新工場は2階建てですが高さ19㍍と建築法ぎりぎりまで高くします。1階の工場スペースの高さは13mほどありますから、これまで以上に背の高いシステムを受注することができます。工場と設計でデジタルで繋がるようにして図面などを情報共有します」

――DXで生産能力が相当アップしそうです。

「40%くらい能力が上がってくるのではないでしょうか。それにはますます仕事を受注してこないといけませんね(笑)」

――人を増やされ、人材育成で不安はありませんか。

「不安がないといえば嘘になります。人材育成はやはりOJTで行うしかありません。結局は当たり前のことを当たり前にできる社員を教育していかねばなりません。凡事の徹底ができる社員づくりです。問題に直面しても誰かがやってくれるだろうと目を背けがちです。挨拶するだとか、戸を閉めるだとか。そんな基本を含め、当たり前のことがきちんとできて初めて人間的に成長できると思っているんですよ」




三明機工株式会社

1978年設立、社員約110人

静岡市清水区袖師町940

自動化システムを年間約120件納入

熔解プラントの自動化を得意とする。需要業種は自動車・電機などのFA(売上の約5割)、アルミダイカスト(2割)、鋳造(2割)、液晶パネル製造ライン(1割)など。ユーザー工場の細部まで再現した3Dシミュレーションによる提案で、製造ラインの垂直立ち上げを導く。一方でティーチペンダントをつないで産業用ロボットのティーチングがバーチャルで習得できる「デジタルトレーナー」を開発。これに協働ロボットも扱えるバージョンも加えた。



(日本物流新聞2025年11月25日号掲載)