インタビュー
牧野フライス製作所 執行役員 西野 正 氏
MC、EDM、レーザーで全加工を視野に
- 投稿日時
- 2026/03/11 13:49
- 更新日時
- 2026/03/11 13:54
金型、航空機分野で存在感を発揮する牧野フライス製作所はレーザー加工機をラインナップに加え全方位を狙う。主力のマシニングセンタでは5軸機のバリエーションを増やし、トラニオンタイプでは弱点を解消した機種を用意した。

牧野フライス製作所 執行役員 営業本部本部長 西野 正 氏
土日のどちらか、あるいは両方にチョコザップでウォーキングをするという。
――年初に日工会さんは1兆7000億円、日本ロボット工業会さんは1兆円超えの年間受注見通しを発表され、今年の生産財市場は上向きそうです。
「楽々クリアできる数字ではないでしょうけれど、現実性のある数字かと見ています。中国が読み切れないという部分はあるにしても、アメリカはおそらく今年は好調だろうと見ています。航空機関係が上向き、自動車関係も復調の兆しがあります」
――貴社はいかがですか。
「先ほどお話したようにアメリカは今年は好調に推移するとみています。昨年、中国はEV関係などの比較的大きなプロジェクトがあり、そこそこ良かったのですが、今年も同様の数字が見込めるとは言い難いですね。そこをインドでカバーしたいところですが、インドの実情を見ると、そこまで大きな伸びを示していません。ですから商圏になりうる新規分野を調査しているところです。ヨーロッパに関してはこれ以上は悪くならないと思うので多少は増加すると見ています。日本国内は半導体産業が上向くような動きが出てきています。ということを総合すると、今年は昨年より多少はよいと思います。ただ、為替がどう動くかですね。これだけはまったくわかりませんから」
――貴社は立・横のマシニングセンタ(MC)を金型、航空機をはじめとする様々な分野に提案される一方で、レーザー加工機も用意されています。
「レーザー加工機をなぜ取り扱い始めたかというと、コアであるMC、EDM(形彫放電加工機、ワイヤ放電加工機)がありますが、たとえば航空機エンジン部品の中でセラミックがコーティングされ、それに穴あけする部品があります。セラミックをコーティングすると通電性がなくなるので放電加工機では加工できません。そこでミーリングとEDMとレーザーですべての加工ができるという形を作っていっています」
――全方位で攻めると。
「全方位というか全加工方法というか。すべてを網羅した形の商品構成です。それに加えて今度、新工場(山梨県富士吉田市、5月稼働予定)ができるので、そこで大型機のリードタイムの短縮を目指します。ですから全方位というよりは多忙業種を狙います」
■弱点カバーしたトラニオン機
――ヒューマノイドロボットが登場したり、半導体市場のスーパーサイクルがいよいよ今年来るのではないかと言われたりしています。貴社も注目されていますか。
「中国の不足分を埋める対策の一つに人型ロボットもあります。ただしこの分野は精度はそれほど要らないと言われるなかで、減速機の部分は高精度ですので、当社のターゲットになり得るかもしれません。半導体に関してはチャンバーの生産数がこの春頃から爆発的に上がるという話もあり、それに付随する部品の需要も出てくる可能性があります。またパソコンのメモリー関係が不足していて、それに伴う半導体製造装置の需要が増えるという話もあります。いずれにしても半導体製造装置が売れないと当社に仕事はきません。半導体や半導体製造装置のサプライヤーさんの話を聞くと、総じてこの春先から仕事がでてきそうという話があります。ただ、(半導体製造の設備稼働率が)100%を超えないと既存の設備で間に合うということもできます。明るい兆しであることは間違いないのですが」
――いま最も売り込みたい製品は。
「5軸立形MC『DA300』『DA500』や昨秋のEMOで初披露したトラニオンテーブルの5軸横形MC『a630iT』などでしょうか。トラニオンは両側で支えるゆりかご構造で、5軸機のなかで1番メジャーでスタンダードと言えますが、どうしても視認性や接近性が悪いという欠点があります。当社はそのトラニオンで最も後発ですから、それらの欠点を多少なりとも改善して視認性や接近性を良くしたのがa630iT(最高主軸速度毎分1万回転、最大積載質量1000㌔グラム)です。けっこう注目度は高いと思います」
――売行きはいかがですか。
「初披露が去年の9月で、国内の展示会ではまだ出品していませんからこれからです」
――1番のターゲット分野は。
「トラニオンタイプはある程度汎用性のある5軸機なので、航空機、半導体分野などすべての業種がターゲットになります」
――今後有望と捉えるマーケットは。
「やはり半導体、航空機、防衛、宇宙でしょうか。そこに自動車が出てこないのはちょっと寂しいですが。航空機メーカーは相変わらず10年以上の受注残を抱えています。宇宙に絡んではスターリンク関連の部品の話も聞きますので当社にとってもプラスに働くかもしれません」

トラニオンテーブル採用の「a630iT」。スラントコラム構造と作り込まれた50番主軸で重切削・高精度加工が可能
大型機の納期短縮へ
「多忙業種を狙う」と言うマキノのカギとなるのが、厚木事業所(神奈川県愛川町)以来12年ぶりとなる国内新工場(山梨県富士吉田市、5月稼働予定)だ。ここで航空機や半導体製造装置、自動車などの分野を対象とした大型機を製造する。大型機の需要が国内外で拡大していることに対応し、そのリードタイム半減を目指している。
(日本物流新聞2026年3月10日号掲載)