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インタビュー

テクノソリューションズ 東京営業部営業課課長 帖佐 征一 氏/3Dものづくり推進部AMチーム チームリーダー 福原 聡 氏

投稿日時
2025/08/22 09:00
更新日時
2025/08/22 14:57

治具製作における3Dプリンター活用
最新トレンドを探る

加工における高精度化、高生産性を支える治具。だが、近年のモノづくりにおけるトレンド「多品種少量生産」において、治具は一品一様となるケースも多く、調達コストや保管場所の確保といった課題も挙がる。こうしたなか、昨今では3Dプリンターを治具製作に活用する動きが加速している。国内外の3Dプリンターを広く扱うテクノソリューションズの帖佐氏、福原氏に最新の業界動向と活用事例について聞いた。

【写真左】帖佐征一氏、【写真右】福原聡氏

――昨今の3Dプリンターの売れ行きについてお聞かせください。

帖佐(征一氏) ここ数年、売上金額、台数ともに順調に伸びています。金額の高い金属3Dプリンタはなかなか導入が進みませんが、樹脂系の3Dプリンターは様々な製造現場が積極的に導入を進めています。

――治具製作を目的とした導入は増えているのでしょうか。

帖佐 以前は試作などを目的とした導入も多く見られましたが、最近はまさしく「治具を作りたい」というニーズが圧倒的に増えています。これまで他所に治具製作を依頼していたが、QCDの観点から内製に切り替えたい、発注先が廃業してしまったからやむなく内製に踏み切るなど様々なきっかけで3Dプリンターを導入するケースが増加しています。

――具体的にはどのような3Dプリンターが求められているのでしょうか。

福原(聡氏) やはり造形スピードと精度、一定以上の耐久性をクリアしている機種が人気です。3Dプリンターもピンキリあり、数万~数十万円で買えるものもありますが、精度や速度、メンテナンスといった部分で大きく劣り、製造現場での運用は現実的に難しいと思います。

――貴社で売れ筋の機種は。

帖佐 最近ではグーテンベルグのプリンターが選ばれるケースが増えています。造形速度、精度、造形物の強度が従来の3Dプリンターに比べて圧倒的に優れており、大きくセールスを伸長しています。

写真1g-zero.jpg

グーテンベルグ「G-ZERO L1」

――グーテンベルグとはどのようなメーカーでしょうか。

福原 大田区発の3Dプリンター開発ベンチャー企業です。純国産の産業用3Dプリンター『G-ZERO』シリーズは超高速・高精度造形に強みを持っています。一般的な3Dプリンターの造形速度は40~80㍉毎秒程度であるのに対し、G-ZEROは500ミリ以上の造形が可能です。上位機種の「G-ZERO MP-1」と「G-ZERO L1」は、最高造形速度700ミリ毎秒、という超高速でのモデリングを実現します。

■設計ソフトからサポート

――高速で高精度のモノを作れるとのことですが、樹脂ですと治具にするには難しい面もあるのではないでしょうか。

帖佐 グーテンベルグは化学メーカーの大塚化学さんと協業し、専用のフィラメント「POCHICON(ポチコン)フィラメント」を開発しています。このフィラメントは高い寸法精度と強度、熱耐性、耐薬品性などが特徴で、特にPPSフィラメントは金属パーツに近い強度と耐薬品性を両立しています。

写真2大塚化学.jpg

大塚化学のポチコンフィラメント

ポチコンはガラス繊維の数千分の1という超微細なチタン酸カリウム繊維TISMOの配合により、高強度・高剛性、寸法安定性を実現します。G-ZEROが高速かつ高精度の造形ができる理由のひとつがこの素材にあります。また層間密着性も非常に強く、XY方向では、射出成型品以上の引張強度、曲げ強度を実現しています。

――速度、精度に加え強度、耐久性まで兼ね備えているとなると、もはや3Dプリンター選びはグーテンベルグ「G-ZERO」一択になりそうですね。

福原 汎用性も高く、これから3Dプリンターで治具を製作しようとお考えの方にG-ZEROは最適だと思います。ただ、用途によってはレジンやカーボンなどを使う他の3Dプリンターのほうが良いケースもありますので、導入をご検討の方は当社にどんどんご相談頂ければと思います。

――G-ZEROの導入事例で変わったものがあればお教えください。

帖佐 最近では食品関連の企業から、工場内で使う治具を内製化したいというものがありました。とはいえ、さすがに設計ソフトが無ければ3Dプリンターは使えません。当社はソリッドワークスをメインに各種設計ソフトのベンダーをやっておりますが、さすがに食品工場で治具を作るためだけにソリッドワークスを入れるのはコスト的に見合いません。そこでお勧めしたのが中国のZWソフトの「ZW3D」です。こちらはソリッドワークスとほぼ同等の性能ながら、導入コストをかなり抑えることができます。

――貴社は積層造形の最適化を図れるソフトも扱っています。

福原 積層造形ならではの設計が可能な「n-TOP(旧n-Topology)」を用意しています。こちらは3Dプリンター向けのモデリングソフトウエアで、トポロジー最適化はもちろん、従来のCADでは作成が難しいラティス形状や表面のテクスチャをかんたんかつ高い自由度で作成可能です。軽く、早く、直感的に使えるソフトですので、治具製造にもお役に立てると思います。

写真3ZD3D.jpg

ローコストで導入可能な3DCAD「ZW3D」