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インタビュー

山善 欧州現法長 加藤 朗 氏/山善 インド現法長 原口 明 氏  
山善、海外売上1200億を支えるインド戦略

投稿日時
2026/01/06 09:00
更新日時
2026/01/13 11:27

山善は海外事業で2027年度に売上1200億円を掲げ、その達成に向けインド市場を重要な成長エンジンと位置付けている。工作機械の需要の拡大を背景に現地事業は拡大を続け、拠点数も従来の6から11拠点体制へと移行する計画だ。昨年10月には23年からインド現法長を務めてきた加藤朗氏が欧州現法長(EMEA・インド管掌)に就任し、インド現法長に原口明氏が就任した。複数回のインド赴任経験を持つ両氏に、成長するインドの今を聞いた(以下、敬称略)。

【写真左】YAMAZEN MACHINERY & TOOLS INDIA PRIVATE LTD. Managing Directorの原口明氏
【写真右】YAMAZEN EUROPE GmbH Managing Director(EMEA・インド管掌)の加藤朗氏

――インドへの注目が世界的に高まっています。現地の肌感を教えてください。

加藤 インドの工作機械市場はアップダウンはありながらも着実に拡大しています。202511月までを振り返ると24年度下期に若干市況に落ち着きが見られたため、25年度上期は売上が少し伸び悩みました。一方で、受注は回復してきており下期に入ってからも大型プロジェクトの受注を獲得するなど、再び好況の波に乗れていると思います。

――山善としては10月から体制が変化しました。加藤さんがインド現法長から欧州現法長(EMEA・インド管掌)に、原口さんがインド現法長に就任しました。お二人とも複数回のインド赴任を経験されています。まずは近年のインド市場の環境変化についていかがでしょうか。

加藤 私が初めてインドに赴任したのは2009―10年の2年間。22年に2度目の赴任をして、早3年が経ちました。最初の赴任時は多くの日本人が思い浮かべるザ・インドという感じで、当社としても現法ができて3年、社員数も30人程で、事務所もデリー、プネ、チェンナイと出先にバンガロールがあっただけの小さな所帯でした。当時も次はインドとの号令があり、それなりに成長への実感ややりがいを感じていましたが、仕事のみならず生活面でも多くの難しさがありました。翻って、現在は世界的にもインドへの注目度はすごく高いですし市場も確かに伸びていて、山善としても社員150人、11拠点体制を目指して取り組みを急拡大しています。

原口 私は入社3年目の10年から16年までインドにいました。その頃と加藤さんから引き継いだ現在の商談資料を見比べると、そもそもビジネスの規模が全然違います。私がいた頃はデリーとプネ、アーメダバード担当で、もう一人の日本人がチェンナイとバンガロール担当だったのですが、月1億円ずつ受注すれば御の字。担当地区で月2億売上があれば黒字になるし、利益もそこそこ出る感じでした。今は従業員数が3倍近くなっていますし、受注も数倍ないとやっていけない。案件単位でも扱う機械台数や金額が全く異なっているというのが第一印象です。

■自動車以外も

――主力の需要業種はやはり自動車でしょうか。

加藤 そうですね。今伸びているのは2輪、4輪問わず自動車関係です。どこも切削関係の仕事となると主力は自動車になると思います。次に医療やインフラ、エネルギー関係など。当社もつい先日、エネルギー関係で大型門形機の据え付けがありました。

――今後も自動車を中心に攻める。

原口 現地の報道を見ると自動車はこれからさらに伸びるといった話もあります。当社としても取りこぼしが無いよう、ボリュームをさらに増やしていく必要があると思います。一方で、統計を見ると工作機械の伸び率は年7%程度。単純計算で直近の目標である売上100億円を達成するためには数年かかります。それでは当社がイメージしている成長スピードには全く届きません。つまり、市場と共に成長していくだけではダメだと認識しています。

――どう市場成長の壁を打破しますか。26年、新たな年を迎えたことも含め、意気込みを教えてください。

原口 加藤さんが取り組み始めたSMT(表面実装技術)など電子部品関係は、山善ではあまり実績のない領域ですが、有望な市場であることは間違いありません。盛り上がる市場に乗ることも非常に大切だと思うので、私としてもその方向を踏襲していきます。我々は海外事業で2027年度に売上1200億円を掲げています。その目標達成にインド市場の成長が寄与するところは大きいと思います。目標達成のためにもまずは早急に売上100億円を達成したいと考えています。

加藤 3年の駐在で感じたのは、インド市場がポジティブな方向に動いていて、伸び代は間違いなくあるということです。直近の目標に加え、さらに高い目標を越えていくだけのポテンシャルは確実にあります。その際、今まで取り組んできた生産財、工作機械ビジネスが基軸であることは変わりませんが、目標達成にはそこだけに固執する必要はありません。SMTを始めツール&エンジニアリング事業、産業ソリューション事業でもまだ取り組めていない領域はありますし、山善には家庭機器事業部や住建事業部、TFS支社など様々な事業領域があります。今後さらに成長していくためにも、株式会社山善としてインドでビジネスをどう展開していくかという視点が重要になっていくと思います。



(日本物流新聞2026110日号掲載)