連載
けんかっ早いけど人が好き Vol.87 岩貞るみこ氏(自動車評論/作家)
- 投稿日時
- 2024/12/24 16:20
- 更新日時
- 2024/12/24 16:24
おしゃべり最強!
やたら長い会議は、本当に時間の無駄だと思う。開催することが目的になっているので、生産性ゼロなのだ。しかし、時間は長くともブレストは違う。ブレスト=ブレイン・ストーミング。出席者がそれぞれ頭のなかにある案を出し合い、メリットデメリットなど前向きに(ここ大事!)話し合って気づきやひらめきを得ていくというもの。雑誌の特集企画や書籍のテーマを決めるときに欠かせない作業である。
コロナ禍はそのブレストができなかった。なんたって編集さんに直接会えない。代わりにリモートで行うのだが、なんつーか、パソコン画面に編集さんの顔が大きく映し出されると、そこから「いいアイディアを出せ」という圧を感じるのである。そうなるともう、いたたまれなくて、そそくさとまとめに入ってしまう。私はリモート・ブレストが本当に苦手だった。
しかし。ついに直に会える時が来た。書籍を書くときはだいたい出版の1年半くらい前にブレストをする。小説などと異なりノンフィクションは取材期間と原稿を書いたあとのチェック作業に時間がかかるので、私の場合はこのくらい前から始まるのである。今夏出版した「こちら、沖縄美ら海水族館動物健康管理室」(講談社)のブレストまでは、コロナ禍がまだ尾を引いていたため編集さんとは会えなかったのだが、次の本はついに膝を突き合わせられるようになったのである。
「久しぶりだから、美味しいもの食べながらやりましょう」そう声をかけられて向かった先は美味しいケーキの有名店。女を3つ書いてかしましいと読むが、二人でも十分騒がしい。会ったとたん、きゃっきゃと世間話に盛り上がり、うるさいのなんの(自分で言うな)。しかし、この時間こそ大事。興味のあることから、気になっている言葉や人などを伝え、なぜそれがいいと思うのかなどを深掘りしていく最強のブレストなのである。気づけば3時間が経過していて時計を見た瞬間、お互いにひっくり返りそうになったが、でも、一分たりとも無駄な時間はなかったので大満足である。もちろん、面白いアイディアもたくさん!
いい時代がもどってきた。現場にも取材に入れるようになってきた。来年も、いい仕事をするぞー!
(日本物流新聞2024年12月25日号掲載)
岩貞るみこ(いわさだ・るみこ)
神奈川県横浜市出身。自動車評論のほか、児童ノンフィクション作家として活動。国際交通安全学会会員。最新刊に『法律がわかる! 桃太郎こども裁判』(講談社)