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けんかっ早いけど人が好き Vol.86 岩貞るみこ氏(自動車評論/作家)

投稿日時
2024/12/09 16:22
更新日時
2024/12/24 16:24

書く瞑想

瞑想が流行っている。大手IT企業では、会社内に瞑想ルームを作っているほどだ。情報過多と言われる現代、脳は高回転で働き続けて疲れ果てている。瞑想はそんな脳を一旦立ち止まらせる。休息をとった脳は集中力が高まり、仕事の効率も上がるというのだ。ほうほう。そう聞いて私もさっそく取り入れてみたのだが、うまくいかない。瞑想中は自分の呼吸に集中せよと言うのだが、そうしていると寝落ちしてしまうのだ。ぐー。

継続は力なり。来年の今頃はきっと達筆の域に(希望)。

そんなときに出会ったのが、書く瞑想と言われるジャーナリングである。手にペンを持ち、紙にひたすら書いていくというもの。何を書くかは自由で、今日のこと、自分の夢、悩みごと、恋愛話などなんでもいい。とにかく自由に、つらつらと思い浮かぶものを書いていくのである。毎日でも週一でも5分でも一時間でも、ペースも自由。文体も自由だ。でも、日記とは少し違う。起きたことを書くだけでなく、そのとき自分がなにを感じどこがよかったのか、なぜそう思ったのか自分に問いかけて深く深く心のなかを見つめる作業は、自分の好きなものや嫌いなものが見えてくるし、その理由もクリアになっていく。嫌な人に会ったときなど、なにが気に入らなかったのか、どう応えればよかったのかがわかる。すると最後は、けっ、こんなことで気分を害していたのか、ぐだぐだ悩むのは、やめだやめ!と、やたら晴れやかな気持ちになるのである。これぞ、瞑想の効果!

こうしてみると、私がこの原稿を書くのも、ジャーナリングに近いことに気づく。自らの恥をさらけ出しつつ俯瞰で見つめ、笑い話として読んでもらう。編集部に送信したあと、すっきりするのはそのせいか。

ところで、転んでもタダでは起きないケチな私は、このペンで書くジャーナリング作業をもっと有効活用できないか考えてみた。そして、これまたトップアスリートが心がけている「左右バランスを整える」でひらめいた。そうだ、左手を使えば右脳が鍛えられる。左手で書いたらいいじゃん! ここで、左手ジャーナリングをはじめてから三カ月目の私の筆跡を紹介しよう。最初は象形文字のようだったが、今は読めるようになった。来年の今頃、どれだけ上達しているか、実に楽しみである。

(日本物流新聞20241210日号掲載)

岩貞るみこ(いわさだ・るみこ)

神奈川県横浜市出身。自動車評論のほか、児童ノンフィクション作家として活動。国際交通安全学会会員。最新刊に『法律がわかる! 桃太郎こども裁判』(講談社)