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けんかっ早いけど人が好き Vol.113 岩貞るみこ氏(自動車評論/作家)

投稿日時
2026/01/23 16:00
更新日時
2026/01/23 16:03

元日とデパ地下

今年の元日は各地のデパートがこぞって休業した。いいことだ。店員さんにだって家族や友人がいることだろう。仕事から離れることはもちろん、初詣やおせち料理を囲むという新年の行事だって大切だ。存分に正月を満喫し、日本の文化を味わうべきである。と、二十歳の成人式の式典を端から考えずにバイクで走り回っていた私に言われたくないかもしれないが。

送られてきた写真。光り輝いて見えました。

年末にこの報道が流れたとき純粋に、よかったねえ、正月くらいゆっくりしてねと母親のような気持ちでねぎらったあと(お節の準備でゆっくりどころじゃない人も多かろうが)、はっと気づいた。

ケーキをどうする?

我が家は正月に親族一同が集まるのだが、一週間後に誕生日を迎える母のお祝いをまとめてやるのが通例となっている。いつもは私がデパ地下でケーキを調達してから向かうのだが、そのデパートが休業なのだ。

一週間後にふたたび全員が集まるのは無理だ。一カ月後であれば集まれるが、こんなに遅れてやるのも気分が悪い。となれば、地の果てまでも母の好きな苺のショートケーキを探しに行かなければ。

あわててインターネットで検索をすると、大手菓子チェーンが元日から開いているという。しかし、残念なことに最寄りの店舗は10時開店である。これでは間に合わない。次に、もっと近い場所に、別の大手菓子チェーンの店舗があることがわかった。しかも9時開店である。意気揚々と向かい、元日の予約をと切り出すと「もう受付終了なんです」と絶望的な返事が返ってきた。がーん。どどど、どうしよう。

姉に窮状を伝えたところ、数日後、ラインで写真が送られてきた。そこには、生クリームとスポンジケーキミックスの写真が貼り付けられているではないか。添えられたメッセージには、

「スポンジは、前日に焼いておく。イチゴを買ってきて」

姉―! 神!(もちろん、私がスポンジケーキを焼いたら悲劇になることを想定しての対応)。ええ、イチゴ、奮発しましたよ。ひとパック千五百円!

そして迎えた元日。ひ孫を膝の上に乗せてケーキを食べて母、大満足。今年もピンチをチャンスに変えることができた(姉が)。よい年明けである。

(日本物流新聞2026年1月25日号掲載)

岩貞るみこ(いわさだ・るみこ)

神奈川県横浜市出身。自動車評論のほか、児童ノンフィクション作家として活動。国際交通安全学会会員。最新刊に『こちら、沖縄美ら海水族館動物健康管理室。』(講談社)