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upcycle interior、「思い出」に機能持たせアップサイクル
- 投稿日時
- 2025/06/27 09:27
- 更新日時
- 2025/06/27 09:32
学校備品やランドセルをインテリア家具に
SDGsの広がりにより、廃棄されるものを新たに作り変え、さらに価値を高めるアップサイクルの取り組みが注目されている。

小学生の思い出が詰まったランドセルを壁掛けインテリアに
upcycle interior(大阪市)では、廃校になった学校の備品や楽器をインテリア家具に生まれ変わらせる。タンバリンを照明に、サックスをテーブルに、ランドセルの「かぶせ」を時計に、『捨てられるモノに遊び心を』というコンセプトに基づいたユニークな製品が話題を呼んでいる。代表の土井健嗣さんは、平日は会社に勤め、もっぱら週末は作品製作に充てる。主な販売はECサイト。「作ったそばから売れる製品もあり、平日は母が手伝ってくれますが、そろそろマンパワーが足りません」と朗らかに話す。
実家が家庭塾を開いていたことから学校備品に馴染みがあったという。アップサイクルに取り組むきっかけは10年ほど前に、少子化により廃校する学校が増えているとニュースで見て、不要になった机やイスを譲り受けローテーブルやローチェアにリメイクしたこと。フリマサイトに出品すると購入者が現れ、好感触を得てECサイトを立ち上げラインナップを増やしていった。近年のSDGsやエコ意識の高まりを受け「活動範囲が一気に広がり、想像を超えるスピード感になっている」と話す。
サックスのフォルムをそのまま活かしたテーブル
もともとDIYが趣味だったがモノづくりに関して素人だった土井さんは、近所の職人に相談し、ヒントを聞きに行くこともある。照明の配線を通す穴は傷つきにくいよう補強材を使う、楽器の土台の固定で使う留め具のアドバイスなど長く使い続けられる耐久性を大切にする。
「一目で元の素材がわかるもの、一般的に多くの人が使っていた製品をアップサイクルしたい。それ自体に愛着を持っているものの方が、インテリアとして長く使い続けられる気がします」。その狙い通り、エコ意識の高い購入者だけではなく「懐かしい」、「子どもが使っていたランドセルを時計にして結婚式のプレゼントに」と言った特別な思い出として選ばれることも多い。
もう一つのこだわりは、自然な経年変化の質感を活かすこと。簡単なふき取りや汚れは落とすが、なるべくそのままの風合いを残す。「業者さんにピカピカの新品同様に戻してもらったら味がなくなってしまって。不安もありましたが、逆にネットで買っていただいた方に『思ったよりきれいすぎる』とクレームをいただいたことも(笑)」
■自治体や企業からのオファーも
遊び心あふれるデザインやコンセプトに共鳴し、ある二輪車メーカーから「大量のストック部品を廃棄する際に、なにかに活用できないか」と声がかかった。他にも、大阪の堺市から「廃棄自転車でなにか作れないか」と相談が寄せられていると言う。
また、最近海外への販売を開始し、オランダやアメリカなどからの購入者も増えているという。圧倒的に人気なのは、学校机の天板に折り畳み脚をつけたキャンプ用のローテーブル。
自らの活動を通じてアップサイクルがより盛んになれば、と土井さんは願う。「例えば6年間使うランドセルはかなり丈夫に作られており、別の製品に加工するのが実は難しい。使い終わった後アイテムを分解して新たな形にできるよう、最初からアップサイクルありきの製品が出来れば、アップサイクルがさらに浸透するかもしれません」
upcycle interior 土井 健嗣 代表
(日本物流新聞2025年6月25日号掲載)