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両備ホールディングス、生ごみを事業所で自家『消滅』

投稿日時
2026/01/14 10:20
更新日時
2026/01/14 10:23

微生物の力で燃やさない処理

環境省によれば2023年度に国内で排出された一般廃棄物は3897万㌧、処理には2兆2912億円の経費がかかった。一般廃棄物の2~4割が生ごみだと言われる。生ごみは水分を多く含み、焼却時に多量のCO2を排出し、処理を外部委託するとコストもかかる。回収して飼料等に有効活用するにも、たまたま隣が牧場でもない限り輸送費用は無視できない。

ミズナルの設置イメージ

食品ロスが社会問題化しているが、一方で発生した生ごみをどう処分するかも課題だ。たい肥化、燃料化など様々なアプローチが試されているが絶対的な正解は見つかっていない。この問題に両備ホールディングスの社内カンパニーのひとつ、両備テクノモビリティーカンパニーの中西宏彰氏は「生ごみを出した現場が処理するのが理想ではないか」と提言する。同社は2020年に全自動・消滅型の生ごみ処理機「ミズナル」を開発。生ごみを微生物で分解処理し、水と炭酸ガスに変えることで環境への貢献を目指す。

ミズナルは投入した生ごみ(有機物)をおおむね24時間以内に微生物の力で処理する装置だ。装置内部の環境をバチルス菌(枯草菌)が活性しやすいよう散水や攪拌、温度調整で整え、残渣の分解を促進する。装置は二層構造で、卵の殻や骨などの無機物は取り除く必要があるが、それ以外の有機物は比較的速やかに分解されて下層に落ち、さらに細かく分解される。例えばキャベツを1玉投入すると「5時間でほぼ形がなくなり食物繊維の多い芯もほぼ24時間以内に分解される」という。残った水はそのまま下水に排出できる。1日に50~250㌔まで処理できる6種類の装置をラインナップし、1台でスーパー、病院、学校など様々な現場の生ごみ処理を賄うことが可能だ。

定期点検で清掃、微生物の追加などを行うことで10年以上の稼働が期待できる。生ごみの処理を有償で外部委託する事業者は多く、大型の機種だと7~8年の償却が見込めるという。

■異業種への挑戦

両備ホールディングスを中核とする両備グループは、交通・観光、情報、生活、物流の4つの事業部門を柱に、約50社、従業員数約1万人を擁する企業グループだ。地域公共交通の維持に加え、ICTやまちづくりなど多角的な事業で地域社会の発展を支えている。

両備テクノモビリティーカンパニーは元々車両の整備事業が中心だったが、2020年にグループ内でマリン用トレーラーなどを製造販売する部門と統合し、開発製造機能を持つようになった。両備グループはかねて環境問題への積極的な取り組みを推進しており、それに合致する製品としてミズナルの製造販売が始まった。

現在は食品スーパーを中心に実績を積んでおり、中西氏も「生ごみ処理に課題を感じている事業者は多い」と実感を込めて話す。「今後、生ごみの委託処理費用は長期的に上がると考えられる。廃棄コストが上がれば自家処理がより有力な選択肢となり、食品工場やセントラルキッチン、大手製造業の社員食堂でも需要が見込めるのではないか」

両備ホールディングスとしては異色のビジネスで、従前の事業とは顧客層も違う。だが中西氏は「世の中に求められている製品だと感じる」とやりがいを実感する。「今後も導入先を増やして、少しでも環境の維持に貢献できれば嬉しい」

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生ごみの投入直後(左)と投入から24時間後(右)。上の層から生ごみが消えたのがわかる

(日本物流新聞2026110日号掲載)