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レブセル、常温・常圧でCO2回収し高品質な炭酸カルシウムへ
- 投稿日時
- 2026/01/26 13:21
- 更新日時
- 2026/01/26 15:31
バイオマス発電の燃焼灰もガラス原料に
CO2を資源として分離・回収し再利用する「カーボンリサイクル」。日本では温室効果ガス排出量が減少傾向にあるものの世界的には依然増加しており、「排出量の削減だけでは脱炭素化のスピードに追いつかない。CO2の回収・利用(CCU)への転換が必要で、当社に追い風が吹いている」とレブセルの山本健二代表(以下同)は話す。
レブセルは独自のCO2吸収剤「レコライム」を用いたCO2回収とアップサイクルに取り組んでいる。レコライムは空気中のCO2に選択的に反応し炭酸カルシウムに変化。化学吸着法によるCCUでCO2を固定化する。高品質な炭酸カルシウムを作れ、コンクリートや路盤材だけでなく透明なガラスやゴムや樹脂、塗料など幅広い用途に利用可能だ。ガラス製品を先行して進めておりG7広島サミットや大阪・関西万博でも展示・使用された。

炭酸カルシウムに変化するCO2回収剤「レコライム」
「炭酸カルシウムは安定した物質で、保管や貯蔵に特殊な技術が不要。使い道もたくさんあるため日本のように火山が多い地質環境でも地中埋設の課題をクリアできる」。常温・常圧でCO2を化学変化させて回収し、分離回収や大規模設備も要らずに炭酸カルシウムを製造できるシンプルなプロセスを実現できる。
レコライムを用いたDAC(Direct Air Capture)装置は「世界最小クラス」の卓上サイズで、一台で樹齢20年の杉の木10本分が一年間に固定するCO2を吸収。空調家電やビルなどのエアフローを利用すれば電源不要で、オフィスやカフェ、商業施設といった身近な場所で回収できる。「誰もが参加できる温暖化対策を目指している」。「CO2回収の見える化システム」を開発しており、トレーサビリティ機能により結婚式やスポーツイベントの空気を回収して記念品を作るなど、ユニークな付加価値創出も描く。
小型装置による回収量には限界があるため「バイオマス発電所とレコライムのコラボレーション」も進行中だ。原料となる植物が成長過程でCO2を吸収するため実質排出量が抑制されるバイオマス発電だが、発生したCO2をレコライムにより回収しガラス原料として再利用してさらなる排出量低減を推進する。加えて、産業廃棄物の燃焼灰もガラスの原料として活用できると分かり、24年8月にCO2吸収済みのレコライムとバイオマスの燃焼灰だけでガラスを作ることに成功。「不純物が入るため色つきになるがランプシェードや花瓶、ワインのボトルなら製品化できる」。

山本健二代表取締役
さらに重要で面白いことに、と山本代表は続ける。燃焼灰が「吸収剤」として再利用できることが判明した。レコライム製造時に発生するCO2を相殺することで、カーボンネガティブな吸収剤として高品質な炭酸カルシウムを作る技術開発が目下の目標。「ゴミ焼却場の灰も再利用できるのではと新しい可能性も出てきた。将来的にはレコライムの原料となる石灰石を掘る必要もなくなり廃棄物から原料を得る『面白いサイクル』ができる」と目を輝かせる。
■炭酸カルシウムの短期間大量生産も可能
昨年は大きな技術革新も。大阪・関西万博でサントリーとダイキン工業の『高原レストラン 水空』に、レコライムで作った炭酸カルシウムを原料の一部としたビールグラスが採用。「CO2吸収済みのレコライムを短期間で100キロ作らなければならなくなり、元々考えていた方法を一か八かで試し上手くいった。万博で製品として使われたことで実際に使える技術と実証できた。ビールは好きではないのですが…そのグラスで飲んだビールは美味しかったです」と笑う。

CO2吸収済みのレコライムを原料の一部に使用したビールグラスが大阪・関西万博で採用
「特許申請中なので詳しくは話せないが」としながら、レコライムが炭酸カルシウムに変わる過程で発生する熱が、大量生産技術では反応が一気に進み90度まで上がり水も発生する。「レコライムとCO2があれば熱と水が作れる」と空調機の熱交換などにも転用が期待できる。
今後は国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)に出展。真のカーボンリサイクル実現に挑み続ける。
(日本物流新聞2026年1月25日号掲載)