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ライフテック、CO2排出ゼロの暑さ寒さ対策

投稿日時
2025/10/15 16:05
更新日時
2025/10/15 16:08

ライフテック(岐阜県)が開発した「サーモバリア」は、光熱費を使わずに建物内の暑さ・寒さを和らげる遮熱シートだ。アルミ純度99%以上のアルミ箔を使用し、太陽から放射される輻射熱を97%カットすることで、効率的な熱対策を実現する。

サーモバリア スカイ工法施工例

「工場は特に屋根の面積が大きく、太陽からの輻射熱が内部の暑さの大きな原因になります。当社の特許である『スカイ工法』は、屋根の表面に遮熱シート(サーモバリア)をぴったりと張るのが特徴です」と、布目五輪男代表(以下同)は語る。従来、遮熱シートは屋根の裏側(下側)に取り付けるものがほとんどであり、表面に露出した状態で施工する例はなかったという。まさにコロンブスの卵的発想だが、台風などの自然環境にさらされる屋根表面への接着は技術的に困難を極めた。

「シートを屋根に貼るとなると、通常は接着剤を想定します。しかし、接着剤では塗布してから乾くまでのオープンタイム(乾燥待ち時間)が必要で、その間に風が吹けば持ち上がり、張り付かなくなってしまいます」。

そこで同社が発案したのが、両面テープを使う工法だ。最良の両面テープをメーカーに依頼し、ライフテック側は両面テープに適したシートの裏地を開発することで工法を完成させた。接着剤の専門家である大学教授に相談したところ、粘着性のある両面テープの方が接着剤よりも劣化速度が遅いため、施工に適しているとお墨付きを得た。

接着強度も確認済みだ。日本建築総合試験所で、風速40メートルの台風の風が吹いても飛ばないことが確認された。「期待耐用年数は10年~15年を想定しており、その周期で張り替えをお勧めしています」と話す。

冬場についても効果が期待できる。「輻射熱をカットするから冬は寒くなると思われがちですが、実際は逆です。冬はそもそも太陽からの入熱よりも、屋根を通して工場内の暖房熱が外に失われる方が大きいのです」とする。遮熱シートが魔法瓶のように内部を保温する役割を果たす。スカイ施工は同社の他、研修を実施してIDを取得した全国約130社の代理店が担当する。

■熱源自体を覆うフィット工法も

スカイ工法開発から数年後には、サーモバリアを縫製加工し、乾燥炉や機械などの熱源を覆って暑さを大幅にカットする「フィット工法」の特許も取得した。炉や機械自体に直接シートを貼ると熱がこもり悪影響が出るため、「蚊帳のようにすっぽり覆って、排気する」構造になっている。

「施工した企業の経営者から、『従業員から、サーモバリアを設備してくれてありがとうと言われました。こんなこと言われたことがない』という声をたくさんいただいています」。暑さ寒さ対策は、これまで経営課題になりにくかったが、地球温暖化や人手不足による従業員の定着の重要性から、近年は関心が高まっている。

「CO2削減への社会的関心が高まり、サプライチェーン全体で取り組む中、省エネ仕様であったとしても空調機器はCO2を排出します。我々の対策では、エネルギーを必要としないのが好評の理由の一つですね」。

サーモバリアの売り上げはこれまで毎年50%増で伸長してきたが、熱中症対策への関心の高まりもあり、今期は100%増に迫る伸びで着地する見込みだ。「遮熱市場は、今後も広がっていくはずです。そこにシンクロして成長するためには、ナンバーワンブランドになる必要があり、シェアの50%を占めることが今の目標です」と力強い。

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ライフテック  布目五輪男代表



(日本物流新聞2025年10月10日号掲載)