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扉の先99/安田倉庫、ラピュタPA−AMRで生産性2倍に
- 投稿日時
- 2025/08/25 09:14
- 更新日時
- 2025/08/25 09:18
人とロボのバランス取れた物流倉庫へ
創立105年目にある倉庫業などを手掛ける安田倉庫は、2030年のあるべき姿である「長期ビジョン2030」で掲げる「YASDAブランド」と「革新的テクノロジー」の融合を目指し、最先端のマテハン設備の活用や物流現場DXに力を入れる。今年6月、大黒流通センター(神奈川県横浜市)にラピュタロボティクス社製のピッキングアシストロボット「ラピュタPA-AMR」を導入。ピッキング工程の生産効率2倍を目指す。
大黒流通センターは、横浜港の大黒ふ頭内に所在しており、首都高速湾岸線などへのアクセスもよく、羽田空港までは30分ほど。

通路幅90センチの場所も走行可能で、保管効率を維持できることが強み
「当社の強みの一つが立地。物流の観点では、大都市圏にアクセスしやすい港湾や空港近接地に拠点を構え、本センターも非常に便利な土地にある。一方で、通勤の観点で見るとやや不便。労働力不足が進む中、働きやすい職場と物流品質の維持・向上の両立が課題になっている」(同社 業務部 経営企画グループ 木村 貴則 マネージャー)
左から安田倉庫の木村氏、森ヶ山氏、石川氏、平岡氏。大黒流通センターでは真ん中のラピュタロボティクス社製ピッキングアシストロボット「ラピュタPA-AMR」を10台活用する
同社は2021年にDX事業推進室を立上げ、ピッキングアシストAMR(自律走行搬送ロボット)や無人フォークリフト、次世代型ロボットソーターなど最先端のマテハン機器を導入。今年5月には医療機器を扱う倉庫でAI画像検品を取り入れるなどハード・ソフト両面で物流現場DXを進めてきた。
「当社はメディカル物流など専門性の高い領域でも実績が多い。都市圏立地を活かし、これまで蓄積された物流ノウハウを持つ専門人材が、顧客要望に応える高い物流品質を強みとしてきた。今後は最先端テクノロジーを活用しながら、人にしかできない仕事に集中できる環境を構築し、さらなるサービス向上を図っていく」(営業企画部 DX事業推進室 森ヶ山 貴久 チーフ)
■ピッキング工程の生産性2倍へ
同センターも精密測定機器の総合メーカーの国内外物流を担う。そのため、精密機器を適切に扱える人材の確保と、変動に強く生産効率の高い現場づくりに課題があった。そこで、2500平方㍍の空間にラピュタPA-AMR10台を配備した。
導入の決め手は走行における「通路幅」だと同センターの平岡怜マネージャーは語る。「保管効率向上のため棚と棚の間の通路幅が90㌢ほどの場所もある。保管効率を維持したまま導入できるAMRの選択肢はそもそもラピュタさんしかなかったことに加え、当社の他のセンターで粘り強く伴走いただいた実績もあったので選択に迷いはなかった」(平岡氏)
実際、PoC期間を始めてわずか6日で従来比1・3倍、最終的には最大2倍の生産性を出した。PoC期間を終えた現在も、同等の数字への道筋は見えているという。
課題がなかったわけではない。通路幅が狭い場所では、ロボットと人がすれ違うのさえやっと。この場合のロボットの運用について、現場のスタッフの要望を取り入れながら改善を図った。
「現場で働くスタッフが使いたがらない設備となってしまうのが一番の問題。現場からの要望は逐次ラピュタさんに伝え、こまめにフィードバック、技術アップデートを入れていただくことで、現場での使いにくさを排除するよう心掛けた」(同センター 石川 黎 氏)
取り組みを推進してきた森ヶ山氏は「前中計内の取り組みを通じて、当社の物流現場DXは着実に進展してきた。今後は他拠点への横展開や新ソリューションの追加検討も視野に入れる」とコメント。同社の人手とロボットの最適なバランスを模索する取り組みは、今後も加速していきそうだ。
(日本物流新聞2025年8月25日号掲載)